Photo:Shota Kikuchi | Styling:Hisataka Takezaki | Hair&Make-up:Masaki Takahashi | Model:Kick a Show | Text:Yuzo Takeishi | Edit:Atsushi Hasebe、Nobuyuki Shigetake
2016年に1stシングル『Delicious Summer』を発表し、2年後の2018年には1stアルバム『The Twelve Love』をリリース。一方で、多くのライブをこなしながらフェスにも積極的に出演することで、着実にファンを獲得してきた。そして2019年4月からはデジタルオンリーでEP3部作のリリースをスタート。『Purple Sugar』、『Bitter Orange』に続く3部作のラスト『Sour White』は、Kick a Showらしい上品なムードを携えながらもこれまで以上に表現の幅を広げた、なんとも心地よい1枚に仕上がっている。
— 2019年はEPのリリースパーティーにフェス、ツアーと、より精力的にライブ活動を行なっていますが、オーディエンスの反応はいかがですか?
Kick a Show:昨年以上に盛り上がっていただいているのは実感しています。特に9月に行われた『りんご音楽祭』は、昨年も多くのお客さんに来ていただいたのですが、今年はそれ以上でした。通路を越えて坂の上までお客さんでいっぱいでしたからね。
— 2018年に1stアルバムをリリースされてから反応が変わってきた感じでしょうか?
Kick a Show:そうですね。自分たちでも、計画して徐々に流れを作っていこうとしているのですが、1stアルバムをリリースして、今年4月と6月のEPでだんだんと形になってきている感じがします。
— 10月4日には3部作のラストとなる『Sour White』がリリースされました。
Kick a Show:『Purple Sugar』、『Bitter Orange』ともに、色と味覚を組み合わせたタイトルにしていて、それは今回も同様です。色は全体のトラックのニュアンスなのですが、例えば『Purple Sugar』であれば”Purple”っぽい──華やかななかに怪しさがあるトラックを表していて、一方の”Sugar”は甘めのリリックというコンセプトにしていました。今回の『Sour White』では、爽やか──言い換えると今までになかったような新鮮味のあるトラックで、リリックも無色の”White”が示すとおり、自分の色があまり出ないような内容にしています。その新鮮味を表すのがプロデューサー陣。いつもはSam is Ohm(サムイズオーム)にプロデュースをお願いしているのですが、『Sour White』はokadadaさん、G.RINAさん、HABANERO POSSE(ハバネロ・ポッセ)のBINGOさんにプロデュースしてもらい、自分の色よりも新鮮さを重視して作った感じですね。
— アルバムやEPはどういった作り方をしているのですか?
Kick a Show:先にアルバムのコンセプトを決めてから作るんです。昨年のアルバム『The Twelve Love』も”12のラブソングを作る”というコンセプトを決めてからリリックを書き始めたんですが、コンセプトを絞った方がリリックが浮かびやすいんですよ。それはシングルも同様で、まずは曲の大まかなコンセプトを決めるのですが、大抵はコンセプトがそのままタイトルになっていますね。
— アルバムだけではなく、EPでもフィーチャリングのアーティストを積極的に起用されていますが、その理由について教えてください。
Kick a Show:毎回、自分が一緒にやりたいと思った人を招いているんですが、それだけではなく、どんな人とやってもマッチできるっていうところを見せたいんです。3部作のEPでも2曲以上はフィーチャリングのアーティストを入れていますが、『Sour White』はプロデューサーを3人も招いているので、フィーチャリングはGAGLE(ガグル)のHUNGERさんだけになってしまいました。
— Kick a Showの楽曲はセクシュアルなリリックが特徴的ですが、こういった表現を取り入れているのは音楽的な影響からですか?
Kick a Show:もともと、父親の影響でR&Bとかが好きだったんです。父親がモータウン・レーベルから出ているレコードや、歌謡曲の短冊形CDを集めていたんですよ。高校生になった頃に「この曲はなんだろう?」っていう感じで聴いていくうちにだんだん好きになっていったんですが、今書いているリリックはほぼそのあたりの曲から影響を受けていますね。
— 具体的にはどういったアーティストですか?
Kick a Show:The Isley Brothers(アイズレー・ブラザーズ)とかThe Jackson 5(ジャクソン5)あたりをすごく聴いていましたね。日本だと山下達郎さんとか吉田美奈子さんとか。ポップスや歌謡曲ってリリックにムーディーな感じがあると感じていて、自分が歌うメロディも歌謡曲っぽさを意識して作っています。
— 今年リリースされた2枚のEPにも収録されていますが”Just The Two Of Us”(Grover Washington, Jr.)と”接吻”(ORIGINAL LOVE)をカバーした理由について教えてください。
Kick a Show:高校生の時によく聴いていたんです。もっとも、Grover Washington, Jr.(グローバー・ワシントン・ジュニア)の曲なんて、ほぼこの曲しか知らないくらい。でも「大空にふたりだけの城を築き上げよう」みたいなリリックが好きで……。ロマンがあるなぁって(笑)。
— リリックに惹かれることの方が多いですか?
Kick a Show:そうですね。音楽はメロディを先行して聴き始めるんですけど、リリックが良くなかったらだんだん聴かなくなります。やっぱり、リリックの善し悪しは大きいですね。
現在、渋谷、恵比寿、中目黒を拠点に活動するKick a Showが育ったのは新潟。父親がコレクションしていた膨大なレコードやCDもさることながら、高校時代に通った新潟市内のクラブやそこで知り合った仲間、さらにはセレクトショップが、現在の彼の音楽やファッションスタイルを形成するベースとなったようだ。
— この特集はLeeの『101』にちなんで”スタンダード”をテーマにしているのですが、Kick a Showにとってのスタンダードは、やはりR&Bになるのでしょうか?
Kick a Show:R&Bはもちろんなのですが、あとは高校時代に趣味程度にDJを始めたんですけど、その頃はハウスやニューディスコなどもよく聴いていたので、ダンスミュージックも好きですね。ヒップホップは掘り下げて聴くというよりは、新譜を次々に聴いているという感じです。
— ひとつのジャンルに固執していないんですね。
Kick a Show:高校生の頃から「音楽はなんでも聴きたい」っていう欲求があるんです。でも、根底にあるのはやっぱりモータウンですね。
— モータウンのどういった部分に惹かれたのですか?
Kick a Show:ラブソングが多いんです。DeBarge(デバージ)っていう兄弟グループがモータウン・レーベルから出ているんですけど、彼らの音楽をよく聴いてましたね。内容はラブソングなんですけど、どことなく歌謡曲に似ている部分があるんですよ。例えば、南佳孝さんってすごくキザなことも言うのに、自分に自信がないような、ちょっとダサい感じのオチがあるんですが、DeBargeもそういう感じ。歌詞のなかにオチがあるっていうのが好きですね。
— 音楽活動はDJからスタートしたのですか?
Kick a Show:佐渡島で生まれて、3歳の時に新潟市内に移ったんです。地方なので高校の頃からクラブにも入れたんですが、そこでできた友だちと情報を共有したりして、その流れでDJを始めた感じですね。
— 普段のファッションについて聞きたいのですが、好んでいるスタイルはありますか?
Kick a Show:唯一、シルエットは重視していて、自分が好きなシルエットの服を出しているのは北欧のブランドが多いんです。Études(エチュード)とかHenrik Vibskov(ヘンリック・ヴィブスコフ)とかは高校生の頃から好きで、今でも着ていますね。地元の先輩がやっているセレクトショップがあって、そこに通って先輩から教えてもらったのがきっかけです。
— ゆったりとしたシルエットは昔から好きなんですね。
Kick a Show:ファッションも、音楽を聴き始めた頃から好きになったんです。最初はスキニーとかもチャレンジしてみたのですが、脚が細すぎるので、それが露骨に出ちゃうと自分でも気持ち悪いなって感じて(笑)。そこからですね。ゆったりしたシルエットにシフトしていったのは。そのなかでも、テーパードがかかっているものが好きですね。ストレートでデカいっていうよりは、足首がシャープで腰回りから腿にかけて太いパンツをよく穿きます。
— デニムを穿かれることはありますか?
Kick a Show:北欧系のブランドが出しているデニムは穿いていたのですが、実は、Leeは今回が初体験なんです。最初は結構硬いのかなと思ったのですが、実際に穿いてみると馴染んでくるのが分かりますね。そういった部分では上品さも感じます。
— 今日穿いたような、オーバーサイズで太めのストレートというシルエットはいかがでしたか?
Kick a Show:新鮮でしたね。今回は自分が好きな感じにスタイリングしていただいたので、この雰囲気に合わせられるようなLeeのデニムをワードローブに加えられたらなぁと思います。
— 最後に今後の予定について教えてください。11月9日には1年ぶりのワンマンが予定されていますね。
Kick a Show:今年はWWW Xでライブをやるのですが、昨年よりもステージ、キャパシティともに倍になるので、とにかくオーディエンスでパンパンにしたいっていう気持ちです。昨年以上にパフォーマンスもグレードアップしていると思うので、その辺りをお客さんにも楽しんでいただけたらと思っています。
開催日時:2019年11月9日(土) OPEN 17:00 / START 18:00
開催場所:WWW X
東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル2F
料金:3,500円(前売)、4,000円(当日)
出演:
Kick a Show
Guests:
Buddy
Caryn 10
eill
G. RINA
G.G. Ujihara
HUNGER
reverv kueen
ZEN-LA-ROCK
◼︎収録曲
01. Wasted Time(Prod. by Hiro ”BINGO” Watanabe)
02. On Your Mind(Prod. by G.RINA)
03. Astrology Night(Prod. by okadada)
04. A Little Bit Of Summer feat. HUNGER(Prod. by Sam is Ohm)
05. Something About Us(Remixed by Sam is Ohm)
アメリカを代表する老舗デニムブランド、Leeのアイコンであり、最もスタンダードなモデル。
往年のライダースジーンズを現代風にアレンジした日本製の本格モデルは、デニム本来の質実剛健な無骨さを持ちながら、合わせる洋服を選ばない高い汎用性が特徴。
【Lee商品のお問い合わせ先】
Lee Japan
TEL:0120-026-101
http://www.lee-japan.jp