Photo:Shota Kikuchi | Styling:Hisataka Takezaki | Hair&Make-up:Saori Hattori | Model:TWEEDEES | Text:Yuzo Takeishi | Edit:Atsushi Hasebe
12歳で女優としてデビューし、その後2007年から本格的に音楽活動をスタートさせたボーカルの清浦夏実。かたや1997年、今や伝説のグループとなったCymbalsを結成し、以降、ソロ活動のみならず、CMやアニメーション、テレビ番組の作曲・編曲を数多く手掛けているベーシストの沖井礼二。このふたりによって2015年に結成されたTWEEDEESは、同年『The Sound Sounds.』をリリース。上質で華やかなポップサウンドは、音楽専門誌のレビューでも高い評価を獲得した。そのTWEEDEESが2018年10月31日にサードアルバム『DELICIOUS.』をリリースする。そこに詰め込まれているのは、TWEEDEESらしい”王道ポップス”をさらに昇華させた鮮やかなサウンドだ。
—TWEEDEESのサウンドは、年代をまたいでポップス全般を包括している印象を受けますが、楽曲を手掛けるうえで意識していることはありますか?
沖井礼二(以下、沖井):まず、僕と彼女の年齢がすごく違うんですよ。21歳離れているんだっけ?
清浦夏実(以下、清浦):そうですね。私は28歳になりました。
沖井:そして僕が49歳なのですが、正直言って、聴いてきた音楽は何ひとつ合わない(笑)。そんな状態でも、ふたりで納得できる音楽ができれば、おそらくどの年代でも関係なくいい作品になるだろうと。つまり「話が合わない」っていうのが制作するうえでのヒントになっているところがあるんです。
清浦:だから私が最近の面白い音楽を沖井さんに教えたり、沖井さんは例えば昔のロックを私に教えてくれたり……。
沖井:あなたに教えることはもうやめたけどね(笑)。いや、あなたが理解できるかどうかではなくて、教えた挙げ句、僕のような脳になってしまったら意味がなくなるから。
清浦:たしかに、そうですね。でも、なれないし……なりたくない(笑)。そもそもバックボーンが違いますからね。異物同士なのがTWEEDEESの面白いところ。ほかのバンドにはない部分だと思いますね。
—音楽を作るうえで明確なターゲットはありますか?
沖井:ポップスは若い人の音楽だと考えているので、できれば10代、20代に響く音楽を作りたいという思いはあります。僕は来年50歳になりますが、若い人たちが「いいな」って騒いでいるものって、結局は40代、50代にも届くんですよ。今、TWEEDEESのサウンドはほぼ僕が作っていますが、やはり10代、20代と同じ感性では作れない。若い世代のための音楽は、10代、20代の人たちに任せておいて、では、長年音楽を聴いてきた、演ってきた人間が作る10代、20代のための音楽ってなんだろう……ということを考えますね。
—その考えは長年活動されてきたことによるものですか?
沖井:僕も昔はターゲットを意識していませんでした。その頃は僕も20代でしたから。でも、彼女とバンドをやり始めたときに「普通にやっていたら20代には届かない」ことが分かったんですよ。
清浦:沖井さん、それ、古いです。もう少し分かりやすくしてください……って(笑)。
沖井:結構ダメ出しを食らうんですよ。最初は傷ついたりもしましたけれど(笑)。だから今は、2018年に18歳の沖井礼二がいるとして、その彼が聴いて喜ぶ音楽を作りたいと思っています。1987年当時の沖井礼二ではなく、2018年に18歳である沖井礼二に向けて。それが、自分のなかでいちばん気をつけていることですね。