2013年秋のブランド大特集 VOL.05:[CHRISTIAN DADA]

by Mastered編集部

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ことメンズにおいては完全に形骸化したといっても過言では無い、現在の東京コレクションにおいて、たった一人気を吐く男がいる。敬虔なキリスト教徒(CHRISTIAN)と、破壊の象徴であるダダイスム(DADA)をその背に背負った男は、ただ一人、自らの信じる”モード”の道を突き進む。編集部が厳選した今注目すべきブランドに1ブランドずつ登場してもらい、新作アイテムの紹介とデザイナーへのロングインタビューを全5回に分けて実施していく人気企画『ブランド大特集』。最終回となる第5回目に登場してもらうのは、デザイナー森川マサノリの手掛けるブランド、[CHRISTIAN DADA(クリスチャン ダダ)]だ。

一般的にはKISS、Lady Gagaなど、世界的なスターとの関係性で広く知られる[CHRISTIAN DADA]だが、Mastered初登場となる今回のインタビューでは、”FENGHUANG”というシーズンテーマを掲げた2013年秋冬コレクションを通して、ブランド、そして森川マサノリ自身の本質にフォーカス。去る9月、原宿にオープンを果たしたばかりのブランド初の路面店にて、じっくりと話を聴いた。

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→VOL.02:[MARK McNAIRY for Heather Grey Wall]はこちらから
→VOL.03:[DIGAWEL]はこちらから
→VOL.04:[Sasquatchfabrix.]はこちらから

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Photo:SATORU KOYAMA(ECOS)
Interview & Text:Keita Miki

「ライブみたいなことがしたいんです。並んで待ってくれる分、楽しませたいというか。観客を並ばせて、待たせて、それで10分弱のしょうもないショーを見せるくらいなら、ゆっくり展示会をやっていた方が全然良いと個人的には思います。」

—[CHRISTIAN DADA]の2013年秋冬シーズンのテーマは”FENGHUANG(鳳凰)“。森川さん自身はこのコレクションを通して、どんなことを表現したかったのでしょうか?

森川:テーマは「鳳凰」ですけど、コレクション全体で言えば、”融合”ってことを軸にしましたね。なので、今回のコレクションでは、クチュールっぽい総刺繍のアイテムと、普通に街で着るようなリアルクローズが混在していたりもするし、色々なものを混ぜ合わせたシーズンにはなっています。それは、パターンをはじめとした細かい部分にも言えることで、例えば布帛のものを普段カジュアルウェアを手掛けている工場に縫わせてみたりだとか、そういうところも含めて、融合ってことを表現したかったのかなと。

—コレクションを制作する時はどのような順序で制作を行っていくのでしょうか?

森川:僕の場合は、まずはじめに見せ方を決めてからがスタート。ショーで見せるのか、他の方法で見せるのか、それを一番最初に決めます。見せ方を決めて、テーマを決めて、最後に洋服のデザインに落とし込む。厳密に言えば、見せ方とテーマはほぼ同時にイメージするんですけどね。このテーマでこういう発表をしたら面白いんじゃないか、とかそういう想像から制作をスタートすることが多いです。特にこのシーズンに関しては、ショーのスタートから、フィナーレまで、全てが最初に見えていました。”FENGHUANG”ってテーマにいきついてからは、演出、音楽、モデルが歩くスピード、全てが頭の中に浮かんできた。まぁ、要はデザイン画から入っていくようなタイプのデザイナーではないと思います。

—ということは、自分の中に常にやりたいテーマや見せ方といったものが存在する?

森川:うん、何かしらあったりはしますね。あるにはあるんですけど、すぐ忘れちゃうんですよ。でも、逆に言えば忘れてしまうようなモノはやりたくないから、メモも取らないし、時間が経過しても自分の中に残っているモノを使うようにしています。

—[CHRISTIAN DADA]はレディースも展開していますが、メンズもレディースも今話していたような順序で作っていくのでしょうか?

森川:基本的には同時にやっていきますね。ショーのルックの順番や構成を意識しながら作っていくので、必然的にそうなることが多いです。

—2010年にブランドをスタートして、1年後には既にランウェイショーを行っているじゃないですか。これって、日本のブランドだと結構珍しいことだとは思うんですが、ブランドを始める前から、ランウェイに対するこだわりはあったのでしょうか?

森川:こだわりという程では無いんですが、ランウェイで洋服を見せるのが単純に得意なんですよね。展示会ベースのブランドをやっていた時期もあったんですが、結果としてランウェイが自分に一番合ってるなと思って。展示会ベースにすると、どうしてもリアルクローズをメインに持ってくることが多くて、”ファンタジー”が無くなっちゃうんです。その点、ランウェイなら自分らしいファンタジーを作れるし、自分はそっちの方が得意かなって。でも、ランウェイに固執している訳では無く、他の方法の方が面白いと思えば全然その方法でやりますよ。ただ、日本はインスタレーションに対するプライオリティが低すぎますよね。それは実際に1度インスタレーションをやってみて、痛感しました。そういう部分を変えたくてやったようなところもあったんですけど。

—森川さんはブランドをスタートする前、海外にいらっしゃったので、発表の場を海外にするっていう選択肢もあったとは思うんですが、あえて東京を選んだ理由は?

森川:ベースとして最終的には日本でやっていくだろうなと思っていたし、何より自分自身が生まれ育った国ですからね。もちろん、販売形式を考えても日本のマーケットは無視出来なかったし、ロンドンで発表するとなると一からチームを組まなきゃならないっていう物理的な問題もありましたけど。継続的にやることに意味があると思うし、結果的には東京を選んで良かったと思っています。

—本格的にランウェイをスタートさせてから2年が経過しましたが、自分の中での表現の幅というのは広がりましたか?

森川:そうですね、一番最初のコレクションを見たくないと思う位には(笑)。決して驕りでは無く、自分を支えてくれる工場も増えましたし、並行して色々なモノを見られるようになったので、キャパシティという意味では大きく広がったように思います。

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