深化を続ける東京中華 – ストレンジな魅力を放つ4軒のチャイニーズレストラン –

by Nobuyuki Shigetake and Mastered編集部

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大塚 世界飯店

以前にスナックの連載で紹介した通り、”オイリー”な街としての印象が強い、豊島区は大塚。”3回行っても1万円でお釣りがくるピンサロ”や”100%いかがわしいことをしているマッサージ屋”が所狭しと立ち並び、図らずとも街の観光需要の大半を担っている。

”風俗店が多い街には、美味い飯屋がある”というセオリー通り、長きに渡って愛顧を授かっている多数の銘店が大塚にはあるが、ここ世界飯店はその筆頭であり、唯一無二。

”世界中の飯が食べられる食堂”をコンセプトに大塚で産声をあげた同店は、1982年創業の多国籍・薬膳料理店。オープン当初はベトナム料理を中心にサーブしていたが、フレンチやイタ飯、ワインなどの欧米文化が隆盛したバブル前夜の東京では”早すぎた”ため、少々苦戦したんだとか。

焼鴨飯 1,000円(税込)
通称”パリパリ”。スープ、漬物付き。

看板メニューの焼鴨飯。鴨肉にはビタミンA、ビタミンB2、コラーゲン、カリウム、カルシウム、鉄分などがたっぷり含まれているとのことだ。さらに、体内のコレステロール濃度を低下させる働きがあるため、さまざまな成人病を予防する効果があるとされているらしい。ダイエット効果もあるようだ。

とまあ、”能書き”は置いておいて、口に運ぶと、シンプルなルックスとは裏腹に複雑な味わいが広がる。丁寧に作られていることがよく分かる。一緒に提供される3種の辛味ソースはそれぞれ個性的なため、序盤、中盤、終盤と味変をしながら飽きることなく食べ進めることができる。

背後に気配を感じて振り返ると厨房には鴨たちが。

焼餃子 500円(税込)
中の肉餡はやや甘めの味付け。

酒の肴としても楽しめそうな程良いボリューム感の焼餃子は、卓上に置かれたオリジナルのニンニク醤油で頂く。同じく卓上に置かれた特製ラー油は、誇張ではなく事前の注意喚起が必要なほど激辛。

駅至近、翌2時(調子が良い時は4時)までの営業時間は、どうやら大塚という街にフィットしているそうだ。飲み、遊び帰り、はたまた仕事帰りの人々で店内が盛り上がりを見せるのはむしろ終電付近から終電後。思いっきりダーティに遊んですり減った心とお腹を満たしに、是非とも足を運んでみてほしい。

【店舗情報】
世界飯店
東京都豊島区北大塚2-14-8 日米ビル1F
電話:03-5972-1966
営業時間:11:00~翌2:00
定休日:なし
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132302/13002724/