深化を続ける東京中華 – ストレンジな魅力を放つ4軒のチャイニーズレストラン –

by Nobuyuki Shigetake and Mastered編集部

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歌舞伎町 叙楽苑

日夜問わず銃声が飛び交い、老若男女問わず”人死に”が絶えない、新宿・歌舞伎町。2003年に石原都知事によって実施された浄化作戦以来、命の危険を感じるようなピリついた雰囲気は街から失われたように感じるが、それでもまだ、角を曲がれば異空間へ繋がっているであろう”怪しすぎる路地”が張り巡らされた、日本屈指のカオスタウンは健在である。

叙楽苑は初見では100%辿り着けない。というか「ここ、入って大丈夫……?」となること請け合い。エリア一帯に漂うサイバーパンクな雰囲気は、かつて中国に存在していた魔窟・九龍城、はたまた『ブレードランナー』や『AKIRA』の世界観を彷彿とさせる。

鬼が出るか蛇が出るか、と階段を上がり戸を開けると、人の良さそうな台湾人のママがお出迎え。歌舞伎町で30年以上にわたり営業をしている叙楽苑の特徴は、本場の台湾料理をジャポナイズしたメニューの数々。ベーシックなメニューからあまり他のお店では見られないものまで、よりどりみどり。

四川牛肉湯麺 900円(税込)
辛いものが苦手な人こそ食べてほしい。

名物メニューで「クセになる」と評判の四川牛肉湯麺。見るからに辛そうな色をしているが、むしろ甘めで、刺激は少ない。どちらかというと”スパイシー”と表現するのが的確かもしれない。よく煮込まれて油もしつこくないホロホロの牛肉がこれでもかと入っており、ネギや白菜、トマト、ちんげん菜、高菜と、野菜の具も多い。麺は太めの湯麺で、汁ともよく絡む。

量が多いのでワンパク小僧以外は取り分け推奨。

焼餃子 800円(税込)
美しい焼き上がり具合。

餃子はなんと8個入り。ニンニク、生姜はあまり強くなく、台湾のそれらしい塩ベースの味付けとなっている。肉餡はぎっしりでかなりジューシー。重くなく、やや揚げ焼き気味で食感も良いから、どちらかというと酒の肴向け。

全体的に派手さはないが、長きにわたって愛されていることを裏付けるような安定感。場所はともかく、地元の食堂のような雰囲気だ。歌舞伎町を知り尽くした遊び人たち御用達の銘店中華、新宿ナイトクルージングの〆として、是非ともご賞味あれ。

【店舗情報】
叙楽苑
東京都新宿区歌舞伎町1-3-10
電話:03-3202-2243
営業時間:17:00~翌4:00
定休日:なし
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13029594/