対談:Seiho × 木村太一

by Yu Onoda and Keita Miki

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— サウンドに関して、マリンバや弦管楽器的な音色を活かした”Wareru”は、Seihoくんが2018年8月に発表したシングル”Tears Off The Dress”で使っている管楽器的な音色と共通点がありますよね。

Seiho:そうですね。去年あたりから、生音と生音をサンプリングしたようなソフト音源、それから電子音の差をどこまで縮めることが出来るかということを考えていて。僕は逆説的な人間というか、みんなは生音の良さばかりを語るけど、僕にとっては、それと同じぶんだけ電子音の良さがあるし、そういう両極があって、物事は成り立っていると思うんですよ。だから、みんなはアナログレコードの良さばかりを語るけど、圧縮されたデジタル音源にも同じ分だけ良さがあるはずで、僕の音楽は根本的な部分でそのギャップを一貫して扱っているつもりなんですよ。つまり、人は物事の見やすい部分しか見ようとしないけど、それと同じ分だけ対極の部分もあるし、同じ分だけ良さがあるということを説明するために、生音と電子音をミックスする手法を用いているんです。そうすることによって、生まれる明らかな差は僕のなかで善し悪しが両立している状態であって、善し悪しつけられるものではないということを表現したいんです。

— ”Wareru”における生音をヘリテージ、電子音をイノベーションに置き換えれば、その2つを共存させた形で具現化した今回のジャケットのコンセプトとの共通点が浮かび上がってくる、と。そういう曲に対して、木村さんは映像のアイデアをどのように発展させていったんですか?

木村太一:最初はSeihoくんに着物、5lackに甚平を着てもらって、京都で撮影することを考えていたんです。でも、Levi’s®さんからお話を頂いてからSeihoくんのなかでショートフィルムのアイデアが生まれて、そこから考え方を180度変えましたね。ただ、考え方はがらっと変えつつも、僕らの共通認識として、曲から受けた夏っぽい印象は変わらずにありましたし、不思議なのは電子音なのに自然のイメージがあって、「撮影するなら都会じゃないよね」って。僕のなかで、Seihoくんと5lackの曲で、みんなが想像するであろう都会のイメージとは違うことをやったほうが面白いでしょということで、全く別のストーリーを考えていきました。