7週連続でお届けするニューバランスとClusterの特別コラボレート企画も早3週目。現在アメリカ国内でのみ行われている「US574」のパーソナルカスタムサービスを、ニューバランス ジャパン全面協力のもと特別に利用し、日本のファッション界をリードする7名に自分の好きなカラーの一足を作ってもらおうという、スニーカーファンならずとも要注目の短期集中連載であります。
第3回となる今回ご登場いただくのは、昨年秋冬シーズンよりスタートを切った新興ブランド、『メタファー(METAPHORE)』デザイナーの川口大輔氏。アメリカ的なアイテムであるトートバッグに、イギリス的なゲームバッグのディテールを盛り込んだバッグが業界でもスマッシュヒット中の注目株による、「発想の転換」が炸裂した今回の一足。その手法はもちろんのこと、ニューバランスとの出会いから同氏愛蔵のレアモデルまで、ざっくばらんに語っていただきました。どうぞお楽しみください!
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Vol.4 栗野宏文(ユナイテッド アローズ 上級顧問・クリエイティブアドバイザー)9月5日(月)更新予定
US574 by Daisuke Kawaguchi (METAPHORE)
初登場となるブラックソールにも目を引かれますが、注目すべきはパーソナルIDを使ってヒール部分に施した謎の模様!カスタムの新機軸を打ち出した、ある意味問題作な一足を大解剖します!
インタビュー
— まず、ニューバランスとの出会いについてお伺いできますでしょうか。
川口:一番はじめに買ったのはM576です。高校生の頃、JDスポーツが別注したパープルスウェードのモデルをイギリスの雑誌「iD」で見てとても気になっていたんですが、当時はそれが手に入らなかったので、同じように上品な雰囲気を携えている、M576のバーガンディを買ったんです。
入り口がそういう大人っぽいモデルだったので、それ以降ニューバランスにはスポーティというよりも、どちらかというと革靴的なニュアンスを求めているんですよね。ニューバランスって他のスポーツブランドとは違って、どこか上品な側面がどのモデルにも存在しているじゃないですか。そこがお気に入りですね。
— どのようなスタイルで合わせていたのですか?
川口:僕は勝手に、ニューバランスっていうのは足首を見せたほうが綺麗にハマるスニーカーなんじゃないかな、と思っているんです。だから、ショーツに合わせることが多かったですね。
— 夏のシューズという感覚ですか?
川口:秋冬はジーンズに合わせてみたりもしましたが、やはり夏場に活躍する機会が多かったような気がします。
— 今日もちょっと足首を見せるスタイルですよね。
川口:そうですね。今日履いている576の20周年モデル”LM576UK”は、まさに革靴感覚という感じの一足ですね。スニーカーというよりは、歩きやすい革靴。
これ、高級なヌメ皮を使っているんですけれど、紫外線に当たることでベージュだったアッパーが、だんだんアメ色に変化していくんです。履き込んで色が濃くなったときの為に、ブラウンのシューレースまで付属してたりしてるあたりもおもしろいというか、気が効いてますよね。まぁ実際値段も5万円近くて、本当に革靴級。シューキーパーまで付属していていたのには驚かされましたが(笑)。
3年ぐらい前に購入したんですが、1〜2回履いたきりで、ずっと眠らせていました。頻繁に履きだしたのは最近なんですよ。現在、エイジング中です。
— 普段は革靴の方が多いのですか?
川口:ブーツを履くことが多くて、あまりスニーカーは持っていないんです。
— その数少ないスニーカーのなかに、ニューバランスが入っているということですね。
川口:そうですね。現状では、この20周年のLM576UKとグレーのM1300、この2足を所有しています。
— ちなみに、一番好きなモデルは何ですか?
川口:やっぱりそのパープルスウェードのM576ですかね。これは未だ手に入れられていないですから(笑)。普通パープルってどぎつい印象の色じゃないですか。なのに、ニューバランスの手にかかるとそれが上品に見える。そういうところに惹かれますね。
— ちなみにいわゆるビッグ"N"とスモール"N"どちらが好きですか?
川口:断然ビッグ"N"ですね。スモール"N"って、マークが刺繍なので遊べるポイントが少ないんですよね。ビッグ"N"の場合は、まず土台があって、その上にシートが重なって、という形なので、配色でも遊べるし、立体的に見える。だから僕はスモール"N"のモデルは買ったことがないんです。でも、今後はちょっと履いていきたいですね。
— いままで何足くらいのニューバランスを履いてこられたのでしょうか?
川口:10足くらいですかね。マスタードカラーのM574も持っていましたし、オールホワイトのM576も気に入っていましたし、いろいろ履いてきましたね。やはり、上品なカラーリングなものが多かったと思います。
— やはり川口さんにとって「上品さ」というのが大きなキーワードなのですね。
川口:多分、僕だけじゃないと思うのですが、ニューバランスに興味を抱いたきっかけというのは、ラルフ ローレン(Ralph Lauren)が「雲の上を歩いているようだ」と絶賛したM1300だったわけなんですが、当時のハイエンドモデルらしく、やっぱりすごく高価だったじゃないですか。なので、ニューバランスは「高級なスニーカー」というイメージが刷り込みされているんです。しかもM1300っていう靴は、ラルフ ローレンが「スニーカーだけれど、大人が履いても良い上品な靴だ」とお墨付きを与えているようなものですしね。憧れましたよ。
— 現在は、どのようなスタイルでニューバランスを合わせていますか?
川口:7分丈かショーツか、長いパンツだったらグラミチのクライミングパンツですね。グラミチのパンツって、裾に向かってグッとテーパードが掛かっているので、ニューバランスのシューズとの相性が良いんです。ニューバランスのシューズは足元でコーディネートを引き締めてくれるので、トップスに気を使わなくても良いというのも魅力的ですね。
— 今回のカスタムモデルについて話を伺いたいと思います。なぜ、このカラーリングにしたのですか?
川口:先ほどの話ともつながるのですが、革靴をイメージしたカラーにしようと思って、最初はオールブラックにしようとしたんですが、それだとスニーカーらしさがあまりにも無くなってしまうな、と。ソールをホワイトにすればだいぶスニーカーらしくもなるんですが、日本の市場でスタンダードになっているホワイトソールっていうのはちょっと避けたいなと思ったんですよね。もうそういうスニーカーは散々見てきたので、「新しさ」ということについて考えたときに、やはりソールはブラックだろうと。僕も含め、ブラックソールのスニーカーを苦手としている人でも、それを克服することができるようなものを作ろうと思ったんです。
— あと特徴的なのは、ヒール部分の刺繍だと思います。このカスタムサービスで、こういう使い方があったのかと驚きました。
川口:そうですね。本来は、この部分に自分の名前だとかメッセージだとかをアピールする場所として設けられているはずなんですが、僕はここを柄として使いたかったんですよ。これは大文字の"I(アイ)"で、あまりに距離は短いのですが、ストライプ柄をイメージしています。他にも大文字の"O(オー)"を入れてドット柄、というのも最初から考えていたんですが、最終的にはまとまりのよかった"I"にしました。
あと、せっかく作ったポイントなのに、うるさく見えてしまっては本末転倒なので、この"I"で作られたストライプを目立たせるため、ヒール部分のニューバランスロゴはブラックアウトさせてもらいました。
— あまり今までになかった発想ですよね。
川口:このカスタムサービスでも、ハートとかダイヤとか、そういう柄も選べるようになったら面白いですよね。
— こちらのシューズは、どういうスタイルに合わせたいと思いますか?
川口:このシューズに関しては、足首見せのスタイルではなく、ブラックのハイソックスに合わせたいですね。昔、マーク・ゴンザレスがブラックのハイソックスにブラックソールのスニーカーというスタイルでスケートをしていた時期があったんですが、そんなイメージですね。そういう合わせ方って今あんまり見ないので。
— カスタムサービスを使った感想はいかがでしょうか?
川口:アッパーのカラーにベージュが欲しかった、というのが正直な感想ですね。それと今回、タン部分のラベルをレッドにしているんですが、これは洋服屋的な発想で、ピスネームとしてカラーを選んだんですよ。ここのカラーがもっとバリエーションあっても面白いかな。コストもかからないでしょうし。
— 日本でもこのサービスをやったほうが良いと思いますか?
川口:やるなら他のモデルも欲しいと思います。今は、TwitterやFacebookなど、パーソナルな部分が大切にされている時代じゃないですか。そういう時代にすごくマッチしていますよね。
— では、最後の質問になりますが、今後、ニューバランスに望むことは?
川口:おそらく、多くの方が上品な雰囲気を携えているシューズブランドだと思っているはずで、それがニューバランスの強みでもあると思います。単純にスポーツや機能性に特化するだけでなく、「上品さ」を意識したスニーカーという打ち出しはニューバランスにしかできないし、今後もそうあり続けて欲しいと思っています。
現在、ニューバランス ジャパンでは、オフィシャルFacebookファンページにて、”44 styles of newbalance”と題して、日本を代表する44人のクリエイターがニューバランスについて語ったインタビュー動画が公開中。
リレー方式で44人、毎日更新されるスペシャルコンテンツとなっていますので、こちらもあわせてチェックしてみてください!
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