私の選んだ腕時計。荻原桃子(UN3D.):Seiko Lukia『SSQV032』

by Mastered編集部

7 / 12
ページ

私の選んだ腕時計。 – 藤内裕司(WISLOM™ (OVERGARMENTS)):Seiko Astron『SBXB111』

時計も洋服もトータルの佇まいに目がいく

—はじめに、Seiko Astronに惹かれたきっかけを教えてください。

藤内:“世界初の GPSソーラーの時計”というキャッチフレーズに興味を持ったのが始まりでした。3年ぐらいシンプルな黒の時計を探していたのですが、どれも自分のスタイルにしっくりくるものが見つからなくて。普段、黒の服を着ることが多いのですが、黒でトータルを統一した時に、シルバーの時計やプラスチックのスポーツウオッチを腕に着けるっていうのは、僕の中でミスマッチ感があったんですね。Astronは、事前に広告で見かけるデュアルタイムのモデルを拝見していて少し知識はあったのですが、調べてみると機能性を追求しているにも関わらずいろいろなシリーズがあって。なかでも「8X Series World-Time」はシンプルなデザインが魅力的で、ダイヤルのレイアウトやケース曲面の質感なども洗練されていて本当に理想的な時計でした。あとは、せっかく現代を生きているので、デザインだけでなく、実用の美っていうところでGPSソーラーを追求しているところも惹かれてしまいますね。エネルギー消費を抑えるために、標準電波受信やBluetoothを盛り込んで「極力GPSソーラーを使わない」のではなく、省電力化を追求してGPSソーラー単独で毎日使えるようしているのもすごいと思います

—GPSとおっしゃっていましたが、お仕事で海外へ行くことは多いのですか?

藤内:そうですね。今のブランドは日本が主な拠点なのですが、前職のMHLではロンドンとのやり取りが多かったのでよく行き来していました。この業界にいると、どうしても海外との仕事が多くなっていくのでGPSがついていて、時刻合わせが簡単にできるというのるはすごく嬉しいですよね。あとはソーラーウオッチなので、止まらないしバッテリーを気にしなくていいっていう点でもすごく助かります。スマートフォンが人々の生活の主流になって以来、それらが自動で情報を拾ってくれるので、日常生活で何かを手動で合わせるということが、以前より億劫に感じるようになってきていると思うんですよ。そういう点でも時代に合っている気がします。

世界初のGPSソーラーが搭載された腕時計として2012年に登場し、エポックメイキングなモデルとなったAstron。その「8X Series World-Time」シリーズにあたる『SBXB111』は、GPS衛星電波受信に特化したシンプルなダイヤルレイアウトが特徴で、ミニマムでシャープなデザインが魅力。グローバルに活躍するビジネスマン向けに機能を追求しつつも、ファッション感度が高い人々の心を捉えた21世紀という時代にふさわしい時計となっている。

—藤内さんのライフワークの中で、時計はどういう存在なんですか?

藤内:生活に欠かせないものですね。基本的に、平日はクライアントさんと商談で、土日は事務所で集中して製作作業というワークスケジュールで動いているんですが、特に平日は小刻みに時間を気にしながら行動することが多いんですよ。僕の場合、スマートフォンはメールや調べものの際に使用したいツールなので、見やすい少し大きなサイズのものを使用していて。これを、時間を確認するのために何度もポケットから出すのが嫌なので、できれば普段はパンツや胸のポケットに収めておきたいんですよね。そんな時に手元で瞬時に時刻を確認できるのはやっぱり便利だなって感じます。

—時計を選ぶ際に、どういうところを重視しますか。

藤内:最初に目がいくのは、時計全体の佇まいですね。僕の服も素材からこだわっているので、佇まいを重視して構想を練っていて。服を纏った状態と人に見せる時にハンガーにかけた状態の両方を気にしながら作っているのですが、そのせいか時計も手元に身に着けた時の佇まいと、置いた時の美しさやその趣がすごく気になるんですよ。この時計の場合、フェイスのシンプルさや薄さが本当に美しくて。GPSやソーラー充電を始めとするさまざまな機能が付加される中で、ここまで潔く削ぎ落とした時計っていうのはあまりないんじゃないんでしょうか。逆に、機能を追求したアウトドアウオッチだと要素がプラスされることでハードな見た目になってしまうと思うんですよね。WISLOM™の服も最低限まで削ぎ落として、一見普通に見えるんだけれど、着てみると実はポケットの中にポケットがあるとか、そういうちょっとした心遣いの機能を追求しているんですよね。同じくAstronも、スーパークリア コーティングを施したサファイアガラスの質感や視認性に優れた針など、見やすいようにほんのすこしの気遣いが詰め込まれている。そういう細かい所の組み合わせで、おそらく全体の雰囲気を作る佇まいっていうのが最終的に決まってくると思うんです。

—そんなWISLOM™の洋服を使った、コーディネートのポイントを教えてください。

藤内:最初に少しお話した通り、今日の装いのように普段から黒を身に着けることがほとんどなのですが、中でも服のサイズ感を少し崩す着方が好きで。最近はビックサイズのシャツや軽めのジャケットなどをカジュアルに袖をまくって着るのが定番になりつつあって、その時に黒の服の色味と、肌の色と時計のトーンの組み合わせが僕にとって重要なんです。 今日のコーディネートは、手元にアクセントを置くというより、ほんのり光るシックな黒のカラーのAstronを全体に馴染ませた感じがポイントですね。あと僕自身、服の裏地をブルーの配色にパイピングしていたりするぐらい、黒とブルーの組み合わせが好きなので、フェイスのブルーのカラーが効いているところも気に入っています。シンプルで全体的に落ち着いた印象を保ちながらも、時計で遊び心と高級感のある雰囲気にまとめました。