対談:Mocky × Campanella

by Yu Onoda and Keita Miki

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Campanella:貴重なエピソードをどうもありがとうございます。Mockyはいまだに現行のヒップホップをチェックしていますか?

Mocky:付き合いがあるラッパーは何人かいるけど、そこまで熱心ではないかな。ただ、ヒップホップというのは音楽の歴史において、音楽の複雑な構造をシンプルにした功績があると思っているし、リズムの大切さを僕に教えてくれた音楽だから、Feistと一緒に仕事をしている時しかり、そのスピリットはいつもここにあるよ(といって胸を叩く)。

Campanella:Feistとヒップホップはどんな繋がりがあると思いますか。

Mocky:Feistはゆったりしたバラードを演奏している時でもいつもヒップホップのリズムを感じているんだよ。何故なら、ゆったりした曲でもリズムは大事というか、リズムが狂った曲はみんな聴かないよね。それにヒップホップはビートとマイクだけで時代を切り開いたインディペンデントな音楽であって、そのシンプルな力強さは、彼女の作品だけでなく、どんな音楽にも求められるものなんじゃないかな。ただ、いまのヒップホップは過度に商業的になってしまっていて、「Bitch!」って言いまくってるDrakeのような音楽は今の自分にとって耳障りだし、聴いていると落ち込んでくるXXXTentacionや6ix9ineといった新しいアーティストをもし僕の小さい子供が見つけて聴いていたら、多分めちゃくちゃ怒るだろうね(笑)。何故、彼らの音楽がリスナーを落ち込ませるかというと、今のアメリカの時代背景が反映されているからであって、そういう意味ではリアルな音楽なんだと思うけど、ネガティヴな音楽ばかりではなく、もっとポジティヴなもの、#MeTooのムーヴメントに象徴される今の時代に即した作品がもっと増えたらいいのにって、個人的には思うんだけど、そういうのはおじさんの意見なのかもしれないね(笑)。

— そう言いつつ、昨年11月にリリースした新作アルバム『A Day At United』はMockyがコンポーザー、ドラマーに徹した非常に先進的なインストゥルメンタル・アルバムですよね。

Mocky:そうだね。今回のアルバムは、エレクトロニックミュージックからアコースティックミュージックに移行した2009年のアルバム『Saskamodie』以降の流れの延長線上にあって、その先をどれだけ行けるのかを追求した作品なんだ。どういうコンセプトかというと、Miles Davis(マイルス・デイヴィス)が『Kind Of Blue』を作ったやり方、メロディを書き留めたメモのみを持参してスタジオに入って、John Coltrane(ジョン・コルトレーン)やBill Evans(ビル・エヴァンス)たちとその場の即興演奏でアルバムを録音した手法に近いものなんだ。

Mockyのアルバム『『A Day At United』』