Leeの『101』を通して考える、僕らのスタンダード – Dos Monos –

by Atsushi Hasebe

新進気鋭なラグジュアリー・ストリートの波やインディペンデントブランド、そしてメディアに上がるスタイルサンプルの数々など、さまざまな価値観の混在するなかに身を置く僕らは、たまに何を基準に服を選べばいいか分からなくなることがある。それは服だけでなく、音楽や食べ物においても同様だ。
本特集では、Lee(リー)が開発したデニムの元祖モデル『101』を、スタンダードと所縁のある多様なミュージシャンに着こなしてもらうとともに、“スタンダード”について、彼らの記憶を辿りながら再考。
第7回目に登場してくれたのは、去る5月、アメリカのレーベル、Deathbomb Arc(デスボム・アーク)との契約を果たしたDos Monos(ドスモノス)。ヒップホップにフリージャズやプログレッシブロックのエッセンスを盛り込んだ、エクスペリメンタルなサウンドを展開する3人組のヒップホップクルーだが、そんな彼らにとってのスタンダードとは?
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※本特集内に掲載されている商品価格は、すべて税抜価格となります。

Photo:Shota Kikuchi | Styling:Hisataka Takezaki | Hair&Make-up:Masaki Takahashi | Model:Dos Monos | Text:Yuzo Takeishi | Edit:Atsushi Hasebe

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自分の音を言語化してくれたのは、デスボム・アークが初めてですね。(荘子it)

荘子it(トラックメーカー/ラッパー)
Dos Monosのトラックメーカーとして、そのビート作りを担うほか、yahyelや向井太一へのトラックの提供でも注目されている。
リジットの『101』はジャストフィットで穿くとキレイめなスタイリングにも似合う。
AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT(LM5101-500) 12,000円(Lee Japan TEL:03-5604-8948)、TOGA VIRILISのポロシャツ 24,000円(O 代官山 本店 TEL:03-6416-1187)、StitchandSewの腕時計 26,000円(VA-VA TEL:03-6434-1373)、その他スタイリスト私物

TAITAN MAN(ラッパー)
Dos Monosのラッパー。バンド、DATSへ作詞を​​​​提供する​​​などの個人​​活動も行っている​​​​​。
『101』のスタン ダードなシルエットはオーバーサイズで着用すれば、オールドスクールな穿きこなしにも最適。
AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT(LM5101-500) 12,000円(Lee Japan TEL:03-5604-8948)、SON OF THE CHEESEのシャツ 18,000円(SON OF THE CHEESE TEL:03-6427-1986)、O -のTシャツ 12,000円(OVERRIVER TEL:03-6434-9494)、BOSTON CLUBのサングラス 24,000円(GLOSS GINZA TEL: 03-5579-9890)、NEON SIGNのネックレス 25,000円(O 代官山 本店 TEL:03-6416-1187)、NIKE SPORTSWEARのスニーカー 14,000円(NIKE CUSTOMER SERVICE TEL:0120-6453-77)

—デスボム・アークとの契約が決まった経緯について教えてもらえますか。

荘子it:自分たちの音楽を気に入ってくれる人は、むしろ海外にいるんじゃないかと思って、最初から海外のレーベルにアプローチしたんです。その過程でいろんなレーベルを調べているとき、PitchforkっていうメディアのBEST NEW MUSICに選ばれていたJpegmafiaを聴いたらすごくカッコよくて……。その彼が所属してるのが、デスボム・アークだったんですよ。面白そうだから音源を送ってみたらすぐに「他の曲も聴かせて」みたいなレスポンスがあって、何度かラフなやりとりをしてたらいつの間にか契約しちゃった(笑)。

TAITAN MAN(以下TAITAN):メール7通くらいの往復で「じゃあ、契約で」みたいな。向こうもゴリゴリのメジャーレーベルって感じじゃないから、純粋に音が気に入ったアーティストには声かけて……みたいなスタイルらしく、展開は速かったですね。

—どのへんの音が気に入った、みたいな話はありましたか。

荘子it:直接、「オマエらの音楽のどこが好きだ」とかはまだ言われてないんですけど、デスボム・アークのインスタに「ブーンバップなヒップホップのノリに、フリージャズの小さなバンドがいくつも同時に演奏してるようなうわものが乗っかってて、これはすごく面白い」みたいなことが書かれていたんです。このコメントって、自分がトラックを作っているときに頭の中で想像している情景にすごく近いんですよ。日本でもライブはやってるんですが、やばいノリばかりがクローズアップされて、音については具体的に語られないですからね。だから、音を初めてちゃんと言語化してくれたデスボム・アークは、すごくフラットに聴いてくれたんじゃないかと思いますね。

—フリージャズとかプログレのエッセンスがDos Monosのサウンドのアクセントになっていますが、こうした音楽はいつ頃から好きだったんでしょうか。

荘子it:高校1年くらいですかね。中学で楽器をやるようになってから、いろんな音楽を聴くようになって、掘っていくうちにフリージャズとかプログレも聴くようになりましたね。こういう音楽って、今のシーンではあんまり聞こえてこない音だから面白いですよね。

TAITAN:初めはニルヴァーナとか、90年代ロックのコピーバンドとかやってたんですけど、だんだん逸れていきましたね。キング・クリムゾン、ピンク・フロイドから始まって、気づいたらプログレにどっぷり。だから、実は僕らってヒップホップ畑じゃないんですよ。

荘子it:ヒップホップは一番最後に聴いたジャンルかもしれないですね。先に現代音楽とかを聴いて、ようやくヒップホップにたどり着いた感じ。

TAITAN:プログレって、展開がころころ変わって、興奮の渦がどんどんできていくのが、当時の僕には最高の快感だったんですよ。だから、ヒップホップみたいにずっとループしてる音楽は、一番遠いところにあったんですよね。