Leeの『101』を通して考える、僕らのスタンダード – The ManRay –

by Mastered編集部

新進気鋭なラグジュアリー・ストリートの波やインディペンデントブランド、そしてメディアに上がるスタイルサンプルの数々など、さまざまな価値観の混在するなかに身を置く僕らは、たまに何を基準に服を選べばいいか分からなくなることがある。それは服だけでなく、音楽や食べ物においても同様だ。
本特集では、Lee(リー)が開発したデニムの元祖モデル『101』を、スタンダードと所縁のある多様なミュージシャンに着こなしてもらうとともに、“スタンダード”について、彼らの記憶を辿りながら再考。
第6回目は、誰もが通ってきたであろう2000年代、ガレージロックリバイバルの懐かしいサウンドを奏でる、クールな佇まいが魅力のロックバンドThe ManRayが登場。彼らの音楽にも通ずる、土臭く、時代に媚びない思考性や、今後についてをたっぷり語ってもらった。
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※本特集内に掲載されている商品価格は、すべて税抜価格となります。

Photo:Shota Kikuchi 、Styling:Hisataka Takezaki、Hair&Make-up:Seiko Harada、Model:The ManRay、Edit:Atsushi Hasebe、Text:Marina Haga

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都会に住んでいても都会っぽく生きてないし、生きられないんですよね。(Takuro)

Takuro Asato(Gt./ Vo.)
AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT(LM5101-526)13,000円(Lee Japan TEL: 03-5604-8948)、old parkのジャケット 28,000円(HEMT PR TEL: 03-6721-0882)、FILL THE BILLのTシャツ 10,000円(FILL THE BILL MERCANTILE TEL: 03-6450-3331)、その他 スタイリスト私物

—はじめに、今の若手バンドは都会っぽい、いわゆるシティポップが多いなかで、The ManRayはそれに逆行する土臭いロックなような気がします。それに至った理由はあったりするのでしょうか。

コガコウ(以下、コウ):他と同じような事やってても面白くないってのと、自分たちがグッとくるポイントがそこだったんですかね。

アサトタクロウ(以下タクロウ):みんな共通で好きなのは、The Beatlesとかぐらいなんですが、結局バンドサウンドでやるってなって、やってたらグッとくるのが土臭いものになったのかなと。

—それはバンドを続けているうちにそうなっていったんですか。

タクロウ:そうですね。例えば、別に田舎(沖縄)に執着するつもりはないけど、都会に住んでいても都会っぽく生きてないし、生きられないんですよね。渋谷や原宿にもあまり行かないし、華やかなこともしないですし。

—そういう思考性になったきっかけとかはあったりするのですか。

Ryuji Ooshiro(Dr.)
101 PROJECT SLIM RIDERS (LM9664-346) 17,000円 (Lee Japan TEL: 03-5604-8948)、URUのフライトジャケット 50,000円 (STUDIO FABWORK TEL: 03-6438-9575)、WRAPINKNOTのシャツ 25,000円 (HEMT PR TEL: 03-6721-0882)、STILL BY HANDのTシャツ 8,500円 (STYLE DEPARTMENT TEL: 03-5784-5430)、BLOHMのシューズ 28,500円 (STUDIO FABWORK TEL: 03-6438-9575)

コウ:あー、それは実は自分でも考えたことがあったんですが、結局よくわからなかったんですよね(笑)。土臭さってのとは少し別ですが、最先端よりも懐古主義な部分が強く、そういう思想になったのはおそらくですが、映画が入り口だったのかなとは思います。そのほかにも、ファッションとか小説とかいろいろな要素に影響されてこのような考え方になってきた感じはあります。

オオシロリュウジ(以下、リュウジ):音楽も映画も小説でも、昔からお互いに好きなやつを教えあってましたからね。

—具体的にはどういう映画が好きなんですか?

タクロウ:ジム・ジャームッシュみたいな、ああいう世界観が好きですね。

コウ:『イージー・ライダー』とかアメリカン・ニューシネマとかにも影響受けましたね。

—なるほど、たしかにオールドファッションですね(笑)。

タクロウ:きっとああいう時代を体験してないからこそ、楽しそうに思えるんですよね。あとは憧れみたいなのもあったり。

Ko Koga(Ba.)
AMERICAN RIDERS 101Z STRAIGHT(LM5101-50)13,000円 (Lee Japan TEL: 03-5604-8948)、KUROのアーミージャケット 42,000円 (KURO GINZA TEL:03-6274-6257)、MARKAWAREのカーディガン 27,000円、MARKAWAREのTシャツ 20,000円 (ともにPARKING TEL: 03-6412-8217)、 FILL THE BILLのスニーカー 15,000円(FILL THE BILL MERCANTILE TEL: 03-6450-3331)

Lee 『101』
ブランドを代表する最もスタンダードなモデル。ジップフライモデルで、ストレートなシルエットが特徴。

—タクロウさんはロンドンに留学していたんですよね。音楽で影響受けたことはありますか。

タクロウ:イギリスの音楽に影響を受けたというよりも、音楽の聴き方を教えてもらった感じはあります。ちょうどルームメイトがDJやってて、それまであんまり聴かなかったヒップホップやブレイク前のジェームス・ブレイクみたいなダークで重厚なサウンドを教えてもらったり。クラシックというよりは、その当時イギリスで流行ってる今っぽい音楽を色々と教えてもらいましたね。

—そのせいなのか、バンドの初期の楽曲が今とは少し異なり、エレクトロ寄りな気がしました。

タクロウ:そうですね。昔の楽曲とかはトロ・イ・モアにハマっていたこともあってかなり影響を受けていたかもしれません(笑)。音の処理の仕方が面白くて、自分でも作ってみたくなったんですよね。

—それでバンドでやっていくうちに今のように削ぎ落とされていったんですね。

リュウジ:そそうですね。それぞれのパートが楽しみながら自由にやっていたら自然とこういうスタイルができてました。