日本最高峰のラッパー、KOJOEが見つけた『here』

by Keita Miki

2 / 6
ページ

— より一層KOJOEさんの色が出せたとのことですが、今作には非常にバラエティに富んだ楽曲がラインナップされていますよね。トピックもビートのフロウもバラエティに富んでいて、盛り沢山って感じで。最近はサクッと聴き終わるアルバムが多い流れの中で異色とも言えるかと思います。そういう作品にしたのは、意識的にですか?

KOJOE:最初は1枚のアルバムにまとめて出そうと思ったんですけど、もうちょっと他にもビートがあったから、1枚を12曲くらいにしてサクッと出して、その次に残りの10曲ぐらいを、ツアーが終わった瞬間に出すとかそれくらいのスパンでやろうかなとかまた考え出して。更に、その間にインストアルバムを入れたらとか俺が暴走し出したんで、マサトくんが、「落ち着けKOJOE、止めたほうが良いぞ」、と(笑)。最近はそういうアドバイスを素直に聞くようにしてます。たしかに、近頃は聴き応えがあるアルバムってのも少ないし、18曲まとめて1枚にして出そうかなって気持ちはありましたね。

— 最近はアドバイスを聞くようにしてるということですが、それは何かきっかけがあっての変化なんですか? 昔だったら聞いてなかったかもしれない?

KOJOE:昔は自分のやりたいようにしかやらないって感じでしたからね。昔っていっても、最近ですけど(笑)。

— その変化の理由は?

KOJOE:どんな分野にもその分野のプロっているじゃないですか。俺は音を作るプロで、色んなことに口出ししていると、結局全部が中途半端になっちゃって、ビジネスの部分とかの詰めが甘くなっちゃうから。俺は商売が苦手なんで。本当にやりたいことしかやりたくないというか、商売のために何かに寄せていくってことをしたことがなかったから、他人の言うことも聞かなかったんだと思うんですよ。今回の『here』は特に、これだけ沢山の人が参加してるし、俺だけのストーリーでは無いので。そうなった時に、これを成功させるには皆の力が必要だし、やっぱり商売のプロの人に頼んで、意見も聞いて、最大限の広がりをみせたいというか、色んな人に聴いてもらいたいって言うのが、優先順位として一番にあったんですよ。

— では、今作ではKOJOEさんは、ご自身の得意なことである、音を作ることに専念できたということですね。

KOJOE:専念できましたね。