日本最高峰のラッパー、KOJOEが見つけた『here』

by Keita Miki

NYにてキャリアをスタートし、日本への帰国からの僅か数年にして一気に日本最高峰のラッパーの1人へと上り詰めたKOJOE。Olive OilやAaron Choulaiなど、ヒップホップの枠組みにとらわれないプロデューサーと共に多くのタッグ作品をリリースしてきた彼が、約4年半ぶりとなるソロアルバム『here』を遂にリリースした。
ひたすらにストイックに音楽と向き合い続けたKOJOEにとっての現在の居場所とも言える『here』、そしてそこから先、彼が見据えるものとは一体なんなのだろうか。中野にあるKOJOEのスタジオにて話を訊いた。

Photo:Kota Shoji、Interview&Text:Maruro Yamashita、Edit:Keita Miki

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十人十色で人生ってのはある訳だし、自分の”here”っていうものを知らずに、他の人の何かばかり追っかけていても、絶対に幸せにならないと思うんです。

— 最新作の『here』はKOJOEさんのオリジナルアルバムとしては約4年半ぶりのリリースとなりますが、アルバム以外にはその間にも沢山のリリースがありましたよね。そもそも、今回の収録曲は『here』のために制作されたものだったのでしょうか? それとも、日々の制作の結果として『here』が出来上がったのでしょうか?

KOJOE:いや、スイッチを入れてから『here』用に作りましたね。本当は、昨年に5~6枚同時進行で、色んな人とEPだったりアルバムを沢山作ろうと思っていたんです。修行じゃないですけど。本当に色々なプロジェクトがあって、同時に進めてますみたいなことをマサトくん(Jazzy Sport所属で、本作『here』のA&R)に話したら、「それ1枚のアルバムにしちゃったほうが良くないですか?」って話になって。それが頭の隅に残っていて、色んな人からもらった楽曲を並べていたら、たしかに1枚にまとめた方が良いんじゃないかな、とある日思って。元々の計画的には5~6枚、一気に作っちゃって、半年に1枚くらいのペースでどんどんリリースしようと思ってたんだけど、効率よく6枚リリースしたとしても、最後の6枚目のアルバムが出るのは3年後になっちゃうし、そうすると自分の中では古い作品になっちゃうから、出したくないって思いそうだなと。それを考えたら、1枚にまとめたほうが手っ取り早いし、そういえばソロ名義だと随分出してなかったなってことにも気付いて。それで、色んなビートがあった中から『here』用に絞っていって、アルバムを作った感じですね。

— 現状の最新リリースはAaron Choulaiとのジョイントアルバムである『Ery Day Flow』ですよね。

KOJOE:ですね。それが2017年の5月末のリリースです。

— 実際にリリースされているもの以外にも、それだけ大きな構想があったんですね。

KOJOE:そうなんですよ。

— ここ数年はOlive OilやAaron Choulaiなど、1人のプロデューサーとの共作が続いていましたが、1人のプロデューサーとがっつり組んで制作される作品と、様々なプロデューサーと共に制作する作品とでは、取り組み方も全然違うものですか?

KOJOE:いや、そんなこともないですね。コラボアルバムっていうのも、ビートを作るのが1人のプロデューサーっていうだけで、アプローチはあまり変わらないんですよ。1人でもその人は色々なビートを作る訳だし。もちろん、そのプロデューサーの色にはなりますけど、基本的にアプローチは変わらないです。今作とこれまでの作品との大きな違いってことで言えば、今年の3月にこの自分のスタジオを構えて、自分でミックスしたりとかして、より自分の音の好みを出すようになったってことですかね。俺自身も今回5曲セルフプロデュースしているし、今までのアルバムよりも、一層自分の色や性格が出せたかなとは思います。