日本最高峰のラッパー、KOJOEが見つけた『here』

by Keita Miki

3 / 6
ページ

— そういった心境の変化も関係しているのかもしれませんが、14曲目の3rd “I”って曲からは、より自由になっているというか、失礼な言い方になるかもしれませんが、一皮剥けたような印象を受けました。

KOJOE:やっぱりOliveくんにはHip Hopのトレンドとか関係なく、ずっと自分の音を作り続けてきたから、完璧にシグネチャーなサウンドがあるじゃないですか。それって普遍的なもので、自分の中で最新のものを常にアウトプットしているから、流行りに関係なく、あの人が新しいものを作れば、新しいものだって聴いている人が感じると思うんですよ。そういうのって凄い大事だなって、彼との出会いで思わされまして。ここ3、4年、Aaronだったり、本当に音楽的なスキル、表現が豊かな人たちが周りにいるんで。5lackもそうですけど。考え方とか、音楽に対しての表現方法が、流行りにとらわれない豊かなものを持ってる。そういう人たちが周りにいてくれたおかげで、俺自身も音楽的に豊かになろうと思って、ジャズの人とバンドをやったりとか、ある意味では修行期間だったってのは多少ありますね。あと、自分のスタイルに関して言えば、例えば歌を歌うにしても、俺はR&Bとか、ソウルの人たちも大好きだから、あんな風に歌えるようになりたいなって思いながら、今まではそういう風に歌える楽曲を作ってたんですよ。でも、それもどうでもよくなっちゃって。その人たちにはその人たちのスタイルがあって、俺にはそんなふうに歌うことはできないから、自分の自由な歌い方で良いんじゃないかなって思うようになったというか。

だから、3rd “I”ではあえて力を抜いて歌っているんです。でも、結果として力を抜いて自分なりにやったら、キレがある歌が出来た。「あ、良いじゃん」みたいなのはありましたね。自由になった感じ。自分を自分自身で赦す訳じゃないですけど、多少認めてあげるっていうか。甘くなるとかじゃなくて。なんかないですか? そういう瞬間って。もちろん、てっぺんを追いかけるのは大事な事なんですけど。

— なるほど。そういう想いがあったんですね。

KOJOE:あと、自分のことを歌うのに飽きたって部分もあって。もちろん、自分のことを歌ってる曲もありますよ。でも、心の持ちようで聴く人の受け取り方が全然変わるというか、今までの楽曲は、自分のストーリーだったり、挫折だったり、ペインやラブを、「聞いてくれー! これが俺のストーリーだ分かるか!?」みたいな感じで伝えていたのが、今はどっちかというと、今回のアルバムは特になんですけど、どういう楽曲を作ったらリスナーの人がぶち上がってくれるかなーとか、そういうのを楽しみにしながら作った曲が多くて。「このラッパーの組み合わせとか絶対ないじゃん」とか、例えば”Prodigy”とかそうですけど、「このビートをこう使ったら、ぶち上がるんじゃないか?」とか、そういう目線で曲を作ったのが大きな違いですかね。そうすれば自分のことを歌っている曲でも、リスナーは感動するんじゃないかなとかってことを考えました。ある種、俺自身を1人のアーティストとして客観的に見て、外からプロデュースしたというか。