Kick a ShowとSam is Ohmが貫き続ける「逆張り」の美学

by Yu Onoda and Keita Miki

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— OrangeはFrank Ocean(フランク・オーシャン)の『channel ORANGE』とか?

Sam is Ohm:そうですね。

Kick a Show:あとは夕焼けに合いそうな、夕日を想像出来そうなサウンド。歌詞もそういうイメージに若干寄せたところもあったりして。

Sam is Ohm:Orangeって、個人的にはソウルトレイン全盛期、1970年代ソウルのアートワークのイメージが強い気がして。だから、ソウル、R&Bだったり、ブラックミュージックの原点に立ち返って、”Natsuka Shit”ではMary Jane Girlsの”All Night Long”のベースラインを弾き直して使ったりしています。

— そして、Ohmさんがサウンドプロデュースを手がけた”Purple Sugar”、”Bitter Orange”に対して、外部プロデューサーを起用した10月リリースの最新作にして3部作最終章”Sour White”におけるWhiteが意味するものとは?

Kick a Show:”Sour White”に関しては、まっさらな自分を届けたいという意味でのWhiteでもあって。そう考えた時、”Purple Sugar”、”Bitter Orange”を僕とOhmさんの2人で作ってきて、2人の間だと今までと違ったことをやろうとしても、どうしても色味が決まってしまうので、外部のプロデューサーにお願いしました。

Sam is Ohm:これまで、僕らは常に逆張りの発想で作品を作り続けてきたんですけど、それが続くと逆張りにならなくなってしまうという(笑)。だから、サウンド面での色を一旦リセットしようという意味でWhiteをテーマに選びました。

— では、楽曲の方向性に関しては、参加プロデューサーのHabanero PosseのBINGOさん、G.RINAさん、okadadaくんに委ねた、と。

Sam is Ohm:丸投げに近い形ですね。

Kick a Show:BINGOさんにプロデュースをお願いした1曲目の”Wasted Time”はトライバルなハウスビートをベースに、アドバイスを頂いた歌詞もBINGOさんらしいというか、俯瞰的な視点でダメな女性を想像しながら書きました。「酔っぱらって気づいたら……」というふざけたタッチの歌詞なんですけど、当初は「気づいたらホテル……」というストーリーだったんですね。

Sam is Ohm:でも、それだと今までのKick a Showのままなので、「気づいたら熱海……で足湯……」というストーリーにしたのはBINGOさんのセンスですね。