2018年6月の「うますぎる店」 3選(Personal Lists)

by Kentaro Kabaya and Keita Miki

巷に溢れる「リストもの」では一切食指が動かないというワガママな僕らの為のリストを編集部員が、そしてゲストエディターが、自由気ままにパーソナルな視点で作り上げる『Personal Lists』。
今月もBAL(バル)の蒲谷健太郎氏をゲストエディターに召集し、2018年6月の「うますぎる店」 3選をお届け。
日々、様々な飲食店に足を運ぶ蒲谷さんが2018年6月に足を運んだ「うますぎる店」をチョイスしてもらいました。

1. BOLT

相変わらずディレイ気味のアップですみません。涼しくなったり暑くなったりわけがわかりませんね。
さて、6月の美味しかったもの。

新宿からも程近く、風情のある大人の町、神楽坂。最近になってやっとこの辺りのお店にも来られるようになりました。友人若夫婦とお邪魔して来ました。

フレンチをベースにしながら和の要素も取り入れたお料理と、お酒は自然派ワインが中心とのこと。前評判も高く、とっても気になっていた。
お店はカウンターのみ。先に着いてしまったので、ビールで喉を潤しメニューを眺める。どれも気になる悩む悩む。

まずは焼き茄子のなめろう、いさきの焼霜。皮つきの刺身を炙り、その後水に晒すという手法の焼き霜。焼きなすの香ばしさと、皮の香ばしさが相まって複雑な味わい。

そら豆サラダはたけのこときゅうりをトマトソースで合えたもの。そら豆の旨味の強いこと。

鰯のタブレは、ああ夏が来たなって感じの爽やかさ。ディルがいいアクセント。

次は揚げもろこし、お祭り風。たっぷりと青海苔がもぶれついた(この前覚えた高知弁で、まとわりついたみたいな意。面白い)揚げたとうもろこしの甘みと、青海苔の香りが合わさってつまみとしても完成度たるや。うまい~。

お次のサマートリュフのチーズトースト。もはや反則技的チーズトーストにトリュフ。こんなん絶対美味しいに決まってる。

仔牛の胸腺、リードヴォーの煮干しバターソース。煮干しバターは以前もここで紹介したsisi煮干淡の高山シェフが特別に卸しているものだそう。ぷりっぷりっとした食感に旨味の塊バターが染み渡って至高。

シグニチャーの牛カツは脂が甘くて甘くて。赤身肉なので見た目とは裏腹にさっぱりとした感じさえ受ける。好きです牛カツ。

そして〆はスープドポワゾンのカレー。こんなカレーがあったら反則(反則続き)な旨味の凝縮は異常なまで。サラサラと食べれてしっかりと満たされる。ワインもきちんと説明していただけて、いろいろ選べるし、なんともいいお店。季節が変わる毎に訪れたいそんなお店でした。

【BOLT】
東京都新宿区箪笥町27 神楽坂佐藤ビル 1F
TEL:03-5579-8740
https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13210695/

2.呑ん処二◯九

渋谷に飲食店は星の数ほどあれど、なかなか自分的にちょうど良い居酒屋っていうのが見つからなかった渋谷にてイイお店を発見。発見というか、ここでも紹介した神戸のナジャのご主人が東京に来られていた時に悔しがるほどに良いお店だと絶賛されていて、これは行かねばと思っておりました。

道玄坂の途中、雑居ビルの一階奥にお店はあります。

男性のみ24歳以下は23時までのご来店をお断りと一風変わった敷居。若いお客さんより大人向けに、ということであろうか。

大衆居酒屋的な雰囲気に、冷蔵庫には自然派ワインがずらり。それもいい感じのラインナップ。話題の国産ものから、アフリカのワインなど、どれもきちんと選ばれていてボトルの価格も良心的。サワー類も焼酎はキンミヤ、シャリキンやバイスなどしっかり大衆路線もカバー。

料理のメニューも豊富。天ぷら、寿司、すきやきとなんでもこざれ状態。凍らせたバジルペーストによく冷えたトマト、ガーリックチップに燻製卵かな? の男のポテサラ、なめろうと、どれも一工夫してあってちゃんと美味しく、気が利いている。

天ぷらはインスタ映え狙いな(笑)某ハンバーガーチェーンを大胆にパロった袋に入った大根の天ぷら。これがちゃんと美味しいので絶対に頼んだほうがイイやつ。

なんと、鶏の素揚げもある。砂肝とぼんじりの素揚げで、ナチュラルワインをコップでガブガブ。なんとも理想的なスタイル。大好きトロたくなどお寿司もあって、外国からのお客さまにも喜ばれそう。

大人数で行っても少人数でも。しっかり長居しても、軽く一杯で二軒目に行ってもいい。元気の良く感じの良い接客も◯。某ブランドで働く友人が、「具合が良い」と言っていて、なるほどうまい言い方と膝を打った次第です。

【呑ん処二◯九】
東京都渋谷区道玄坂2-9-10 松本ビル 1F
TEL:050-5594-8386
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13215584/

3.DA PEPI

おじいちゃんおばあちゃんの原宿(すでに死語か)と呼ばれる巣鴨。馴染みがなく、行くことがなかったのですが、最近ご飯好きの人たちの中で話題のイタリア郷土料理のお店がこちら。

ずっと気になっていたのですがなかなか機会がなく、タイミングよく友人が誘ってくれたので総勢5人で行って来ました。

巣鴨って駅から離れると閑静な住宅街。お店が見えて来ると、まずファサードが素敵すぎる。蔦で覆われた建物に、ニョキッと突き出たカッコいい看板。絶妙なフォントと色で現地感あります。めちゃイタリアっぽい。これだけでいいお店だなってわかっちゃう。フォトT作りたい。作らせてください。

お店はテーブル2席とカウンターのこぢんまりとした感じ。シェフと奥様かな?の2人で仕切る。

あれも美味しそうこれも美味しそうとメニューを眺め、まずズッキーニのインサラータ。どシンプルな、極薄くスライスしたズッキーニとパルミジャーノにオイル塩胡椒。調味料をきちんと良いものを使えば、シンプルなものがご馳走になる例。

レバーのクロスティーニ。レバーの香り、凝縮した旨味とパンの焦げ目(これ重要)が渾然一体となっておりますな。

フィノッキオーナとルッコラパルミジャーノ。フィノッキオーナとはフェンネルの入ったサラミのことだそう。爽やか〜。

玉子焼きは半熟至上主義の僕ですがこれはちゃんと火が入ってて完成する感じ。

そしてパスタ。イタリアって途中でパスタが出て来るよね。イカエビパスタは、オイル系で大好き太麺。魚介のプリッとした食感にニンニクの香り。これはもう間違いないヤツですね。ハイ。もう一品のパスタはパスタアルフーモ。トマトピューレ、スモークベーコンと唐辛子、生クリームのパスタだそう。濃厚ソースでワインが進む、呑める炭水化物。

メインのお肉は牛ハツ。パンっと張った美しい火入れのハツに、たっぷりの美味しいオイルと大蒜ゴロリ。生でもあまり匂いのしない大蒜だからガリガリ食べてくださいと。一緒に食べたほうが圧倒的に美味しい。

フリットも食べたいよね水茄子のフリット。ガリガリ。レモンをギュッとね。カリフラワーとサマートリュフも追加。これがたまらんやつでした。ずっと永遠にチマチマと食べながらワインが呑める。

最後はグラッパやって〆。ワインもあまり見たことがない、どうだ、自然派ワインだぞっていう感じじゃないけど、こだわって作ったら自然派になりました的(勝手な予想)な、要するにすっごく好みのワインがずらり。

とにかく全部がシンプルだけどキチンとした素材と、手間をもって作られたお料理で満足度が非常に高い。巣鴨とちょっと場所は離れてますが、わざわざ行く価値ありです。青山あたりにあったら値段も倍はしそう。

また大好きな通いたいお店が出来ました。愛してやまない現地再現系。毎月行こうと決めました。あまり流行って予約が取れなくなったら嫌だな。

【DA PEPI】
東京都文京区千石4-25-6 荒井マンション 101
TEL:03-6902-1095
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132301/13124157/

POSTED BY

蒲谷健太郎

1999年創業のbalanceweardesignを経て、都市環境に順応したトータルウェアとグラフィックの提案をコンセプトに、1990年代のミックスカルチャーにインスパイアされたリアルクローズを展開する。音楽とファッションの親密な繋がりをものづくりに反映したハイカジュアルなストリートウェアに定評あるBALのデザインを担当。