2018年2月の「うますぎる店」 3選(Personal Lists)

by Kentaro Kabaya and Keita Miki

巷に溢れる「リストもの」では一切食指が動かないというワガママな僕らの為のリストを編集部員が、そしてゲストエディターが、自由気ままにパーソナルな視点で作り上げる『Personal Lists』。
今月もBAL(バル)の蒲谷健太郎氏をゲストエディターに召集し、2018年2月の「うますぎる店」 3選をお届け。
日々、様々な飲食店に足を運ぶ蒲谷さんが2018年2月に足を運んだ「うますぎる店」をチョイスしてもらいました。

1. 滕記熟食坊

西川口がアツいと聞いたのが昨年。「ん? あの風俗とかいっぱいあって怖いとこでしょ?」と思っていたらどうやら近年警察による一斉摘発で風俗街が一変。空洞化した街が中華街化しているとのこと。某グルメ雑誌で取り上げられたり、某お昼の顔だった方の名物深夜番組でも特集されるというマニアックな街に。食の趣味の合う友人夫婦と美味しいものを求めて遠征してきました。

お昼すぎから予約していた、滕記熟食坊。まずもって僕ら以外は全員中国人と思われる方達。現地感に心踊ります。テーブルには巨大な鉄鍋が鎮座。青島ビールで喉を湿らせつつ、あったら注文してしまう定番の干し豆腐と板春雨をつまみに注文。うまいうまい。もちもちした食感の板春雨がいい。

盛り合わせをお願いしたチャーシューなどのお肉。ハチノスなど内臓系も独特の味付け。これもビールが進みます。メインの鍋は”杀猪菜”を注文。巨大骨つき肉、豚バラ、凍らせた豆腐、豚血の腸詰、ホルモン、春雨を次々と具材が入りグツグツと。鍋の縁に肉まんの皮のような団子をペタペタ。

正直言って見た目は美味しそう!とは言い難いですが、食べてびっくり。想像の軽く3倍は超えてくる美味しさ。クセもなくただただ美味しい。豚骨ベースのスープに、発酵白菜と骨つき肉の出汁が出まくり。むちゃくちゃ美味しかった。

ただ、量がハンパじゃないのでお持ち帰り(タッパーも用意してくれてます)。後日自宅でスープを伸ばして、もう一回楽しめました。西川口、町全体も異国感があって小旅行気分で楽しいです。おすすめ。

【滕記熟食坊】
埼玉県川口市西川口3-30-12
TEL:048-258-8888
https://tabelog.com/saitama/A1102/A110201/11042830/

2. SISI煮干淡

「貸切にはまっている」というと特別待遇をうけやがってと思われるかもしれませんが、熱意と思い切りで何とかなったりするもの。店主と仲良しというわけでもなかった友人が、店主のインスタでの「貸切もできるよ」の言葉に、意を決して連絡してみたら出来ましたとのこと。その行動力たるや。

そもそもこちらは、煮干をベースにした和え麺的解釈でパスタを提供する、ロメスパの新境地を開いたお店。普段のメニューはパスタ一択。友人のシェフがインスタで大絶賛していて、むむむと気になり訪問したところ、なんじゃこりゃ美味すぎる! 即チェーン展開して職場の近くに欲しい! と思ったものです。(※詳しくは2017年11月の「うますぎる店」 3選を参照のこと)

聞くと店主の高山さんはイタリアンの名店「カルネヤ」のオーナーシェフ。そりゃうまいはずだ。そこで高山シェフの手がける貸切コース料理ときたら美味しいに違いないと期待大。

入るなりカウンターに肉塊のデビルズタワー(未知との遭遇)。すげえ。生ハムと煮干しバターのブルスケッタ。煮干しバターが美味すぎる。プニプニした弾力が火入れの手間を感じる日向鶏ボリットペペロナータ。

フルーツのバランスのよい、焼いたスカモルツァのサラダ、驚愕のイチボのタルタルは、店主が「うちの西麻布のお店では一皿5000円だよ」とニヤリ。ひぇ~。

煮干しの旨味が凝縮されたスープドポアゾン。和牛のカツレツ。(これが悶絶美味しかった)切り出されたデビルズタワーはビステッカに。美しいですね。美味しいは美しい。付け合わせのカーボロネロがまたGOOD JOB。

〆は煮干しバターのパスタ。それでも収まらず、やっぱりレギュラーメニューのパスタも食べたいと、この日が初訪の方もいたので注文。店主高山さんがボソッと「すげー食うな……」と呟いていたのが印象的でした(笑)。

【sisi煮干啖】
東京都中央区日本橋小舟町4-9
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13214435/
https://www.instagram.com/si.si.nibotan/

3. 純手打ち讃岐うどん 蓮

讃岐うどんが好きでして、色々と都内を食べ歩いております。東京出身の自分ですが、蕎麦よりもうどん派です(もちろんお蕎麦も好きですが)。

「蓮」の前身にあたる「綾」が、僕の東京近郊で食べられる中でのベストだったのですが、昨年、惜しまれつつも閉店。代わりとなるお店を探して、根津の「根の津」、十條の「いわい」なんかも行ったのですが、美味しいのだけどしっくりこず。

そこへ、お弟子さんにあたる方がそのまま店舗を引き継ぎ、始められたと聞き早。開店時は「依然と比べると……」というような意見も聞きましたが、天ぷらは揚げ立てになり、うどん自体は、あのコシの強さがしっかり引き継がれていた。讃岐うどんでも、あまりコシが強くない方が好きという方も多いですが、僕は強めが好き。やはり関東ではなかったのがこのコシの強さ。お出汁にはまだ若干の改良点はありそうだが僕は気に入ってます。

「綾」の時は『ひやひや』や、『ひやあつ』を良く注文していましたが、『釜玉』や『醤油』など、うどん自体を味わう方向に。特に釜玉は途中でごまラー油で味変出来るのだけど、それもまた抜群に美味しい。アクセスは車がないとちょっと不便ですが、月一以上のペースで間違いなく通ってしまいそう。

【純手打ち讃岐うどん 蓮】
神奈川県川崎市宮前区犬蔵1-9-21 コーポ向井 1F
TEL:044-982-0640
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140507/14068957/

POSTED BY

蒲谷健太郎

1999年創業のbalanceweardesignを経て、都市環境に順応したトータルウェアとグラフィックの提案をコンセプトに、1990年代のミックスカルチャーにインスパイアされたリアルクローズを展開する。音楽とファッションの親密な繋がりをものづくりに反映したハイカジュアルなストリートウェアに定評あるBALのデザインを担当。