1周年特別再ダウンロード企画! 『Mix Archives All Remastered』vol.2

by Yu Onoda and Yugo Shiokawa

毎月お届けしているMasteredレコメンドDJへのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する『Mastered Mix Archives』も、前回で無事1年続いたということで、今回は4週に渡って1周年を記念したスペシャル企画をお届け。 なんと、過去12本のミックス音源を再び期間限定でダウンロードできるようにします!

しかも、ただの再配信ではなく、THA BLUE HERBにCALM、TRAKS BOYSに(((さらうんど)))、LUVRAW & BTBに七尾旅人などの作品やライヴのPAを手がける敏腕エンジニア、得能直也氏の手によるリマスタリング音源。すでにダウンロード済の方も、是非チェックを。

4週連続の第2回目となる今回は、Bushmind、COS/MES、Back To School(SHINGOSTAR & YO!HEY!!)の三本立てで、前回同様ライター小野田雄氏と担当編集である私塩川との対談で振り返りつつお届けします!

※ダウンロード期間は終了しました。

→ vol.1 二見裕志・PUNPEE・Max Essa編
→ vol.3 CHIDA・MOODMAN・CRYSTAL編
→ vol.4 川辺ヒロシ・LATIN QUARTER・池田正典編

#4 Bushmind

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ライター 小野田(以下O):個人的な話になるけど、去年聴いたヒップホップのアルバムではBushmindの『Good Days Comin’』、それからそのちょっと前に出たERAの『3 WORDS MY WORLD』が相当素晴らしくて。そのリリース・タイミングでこの2枚の紹介がてら、Bushmindに登場をお願いしたという。

編集 塩川(以下S):お恥ずかしい話、僕、それまでBushmindはちゃんと聴いたことがなかったんです。でも『Good Days Comin’』が最高だったから、過去のミックスも掘り下げてきいてみたら、ヒップホップに寄ったミックスもいいし、メロウなミックスも、テクノ・ミックスもいいし、どれも最高なんですよね。それからERAの登場も、自分のなかでは去年最高のトピックスだったというか、周りでも一大現象でした。

O:Bushmindが参加する"美味しさ音楽探検隊"ことSeminishukeiクルー、それからレーベルだとPRESIDENTS HEIGHTSもすごく面白い動きをしてるしね。

S:ネット発の要注目新興ヒップホップレーベル、rev3.11から先月リリースされたERAのEP『JEWELS』にもBushmindが一曲提供していますが、これも当然間違いの無いクオリティでした。

O:BushmindのトラックやDJの特徴は、本人も語っているように、サイケデリック感覚にあると思うんだけど、ここでは生音中心のミックスには彼らしい一筋縄ではいかないサイケデリック感覚が表れてるな、と。

S:ですね。このミックスを聴いて、世のB-BOYがどう思ったのか気になるし、『Good Days Comin’』とセットで聴くことで色々見えてくるものがあるんじゃないかな、と思ってます。

 

#5 COS/MES

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S:このミックスって、実はリマスターで再発されたファースト・アルバム『Sadistic Skatepark』の元ネタを使ったミックスになっているんですよね。

O:しかも、CDに鉄がパッケージングされた重量のあるオリジナル盤に対して、リマスター盤のパッケージは軽量化がテーマになっている関係上、このミックスも低ビットレートの軽いデータになっていたという。

S:でも、ファーストが当初そういう仕様で出ていたということを知らないと、まったく意味が分からないという(笑)。それを5iveや共同レーベルオーナーのChida君に伝えたら、「だよねぇ」って(笑)。

O:しかも、今回、5iveにリマスターの話をしたら、「リマスターするなら、新しいミックス作りたいんですけど」って言われて(笑)。その申し出はうれしかったんだけど、そうするとこの1周年企画のコンセプトが分からなくなるからってことで、諦めてもらったんだけど、そういう攻めの姿勢が良くも悪くもCOS/MESらしいというか(笑)。

S:5iveはスケーターだから、そういうスタンスも納得というか。そのうえでCOS/MESのファースト『Sadistic Skatepark』とセカンド『GOZMEZ LAND – CHAOSEXOTICA』は名盤だと、僕は思ってるんですけど。

O:ルーツにヒップホップを持ちつつ、それをダンス/サイケデリック・ミュージックに発展させたうえで、さらにそれが世界で認められたわけだから、間違いないでしょ。

S:COS/MESには今後も注目していただきたいですね。こちらのインタビューもあわせて是非。

 

#6 Back To School

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S:小野田さんにとって、この2人は毛色が違ったんじゃないかなって思いつつ、僕の好きなラインではあるので、彼らはこのタイミングでぜひ紹介したかったんですよね。

O:毛色が違うという以上に、面白そうだけど、自分ではとても追い切れないヒップホップのフィールドを追求している2人組という意味で、Back To Schoolはものすごく刺激的で面白かった。

S:日本ではそこまで知られてないかもしれないですけど、放課後ラップの象徴的に扱われていたマック・ミラーなんかは、インディーズで出したアルバムが全米1位になっているくらいの人なのに、メジャーなヒップホップの箱で当時あんまりプレイされていなかったっていう変な矛盾。それを彼らはポップに切り裂いてくれましたよね。

O:ネット全盛の今でも、まだまだ音楽情報の伝達に変なバイアスがかかってるところがあるもんね。

S:キャリアの長いSHINGOSTARさんはもちろんのこと、草食系と見せかけて鋭いものを隠し持っているYO!HEY!!くんのパンクさがまた面白いんですよね。

O:そして、インタビューでも語っていたように、サンプリングネタにMGMTだったり、インディーズ・ロックが使われているクロスオーバー感も色んなリスナーに開かれているところがまた最高だよね。

S:日本でも、例えば、toeをサンプリングしたヒップホップが出てくるようなことがあってもいいんじゃないかな、とか。

O:今年のサマソニにマック・ミラーもついに来日することだし、放課後ラップが盛り上がるといいよね。

S:ですね。マック・ミラー観たい!