Vol.05 COS/MES – 人気DJのMIX音源を毎月配信!『Mastered Mix Archives』

by Yu Onoda and Yugo Shiokawa

MasteredレコメンドのDJのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する大好評企画「Mastered Mix Archives」。前回ご紹介したDJ/トラック・メイカーのBushmindに続き、5回目となる今回は2010年にワールド・ワイドなブレイク・スルーを果たした、Flaticと5iveからなるレフトフィールド・デュオ、COS/MESが登場!!

2011年に入ってからも快進撃が続くCOS/MESは、7月にDJとしてロンドン、ポルトガル・ツアーを敢行。そして、アメリカ、イギリス、ベルギー、東京のレーベルから5枚の12インチ・シングル/リミックスをリリースする一方、6月には幻の1stアルバム『SADISTIC SKATEPARK』リマスター盤を再発。さらに10月22日(土)から東京・神泉の地下空間ファクトリー、THUG FOR LIFEにて『SADISTIC SKATEPARK EXHIBITION』を行う。このエキシビジョン開催を記念して、『SADISTIC SKATEPARK』リスナーならば「!」となること間違いなしのミックス音源、そして、本邦初公開となるエキシビジョンのティーザー映像とともに、無国籍かつハイファイな亜熱帯サウンド・ジャングルを切り開く彼らの最新インタビューをお楽しみください。

※ダウンロード版の提供は一週間限定となります。お早めに。

※ダウンロード版の配信は終了しました。

僕らはサンプリングをベースに作っているんで、そんなに器用にあれこれ出来ないんですよ。「君たちのファンだから、胸キュンで激アッパーなエレポップをリミックスしてくれ」って言われても、「そんなの無理でしょ!」みたいな(笑)。(Flatic)

— 2011年も終盤に差し掛かりましたが、今年の活動も昨年同様、精力的ですよね。
まず、7月に5iveはENEレコーズのChidaくんと2人で、ロンドン2箇所とマンチェスター、ポルトガルのリスボンとギマレス、ペニーシェというヨーロッパ各地を回ったDJツアーがありましたけど、反応はいかがでした?

5ive:初海外で初ツアーだったんですけど、全箇所よかったですよ。ホントはCOS/MESの2人で行きたかったんですけど、Flaticがスケジュールの都合上行けなかったんですよね。でも、ENEレコーズのChidaくんと僕らのレーベル、Funikiのジョイント・レーベル、FUNIKI ENEをスタートさせたこともあって、今回はChidaくんと行くことにしたんです。ただ、飛行機に乗るとなると、重量制限の関係でレコードを何箱も持っていけないので、COS/MESが昔から好きだった曲やよくプレイしていた曲、それと家にあったFlaticのレコードを厳選して持っていったんです。

— じゃあ、欠席せざるを得なかったFlaticのスピリットは持っていった、と。

COS/MES(コスメス)
アーティスト集団「他社比社」の音楽部門を担当する、Flaticと5iveからなるレフトフィールド・デュオ。緻密なサンプリングが織り成す無国籍的密林ビートは、日本のみならず海外でも高く評価されており、NYのレーベル「ESP Institute」からも作品をリリースしている他、パリの有名セレクトショップ、coletteが監修するコンピレーションにも楽曲が収録されるなど、依然世界中から熱視線を浴びる存在である。

Flatic:はははは。

5ive:でも、持って行ったCOS/MESクラシックが向こうでも通用したんですよね。あと僕らは自分たちの曲をプレイしないんですけど、Chidaくんが代わりにプレイしてくれて、ばっちり盛り上がったので、うれしかったですね。あと、ポルトガルでも「お前らのレコード持ってるけど、よかったから遊びに来たぜ!」って人が各地にいて、「高速になります」って日本語で書いた紙を持ってたり(笑)。

Flatic:向こうではChidaくんと5iveのどっちが先にDJしてたの?。

5ive:Chidaくんですね。僕はビビりなんで、まずはChidaくんにがっつりフロアをかき混ぜてもらいながら様子を見て、何でもありな状態になってから勝手にやらせてもらってたという(笑)。全箇所、Chidaくんが最初でしたね(笑)。ただ、向こうは「楽しもう」っていうフロアのヴァイブスがスゴかったので、緊張することなく、とてもやりやすかったです。まぁ、それもすべてChidaくんのおかげなんですけどね(笑)。

— はははは。DJ歴20年のChidaパイセンはさすがですね。

5ive:あとはロンドンでイジャット・ボーイズのコンラッド、ソフト・ロックス、レイ・マン、ポルトガルでティアーゴの家に遊びに行ったんですけど、みんな、都会のなかでも人間らしい生活をしてるんですよね。そういう意味で自分が置かれている東京での生活、生活があるうえでの音楽について考えさせられましたね。

— そして、作品リリースでは6月にFUNIKI ENEからファースト・アルバム『Sadistic Skatepark』のリマスター盤がリリース→関連記事されたわけですけど、リマスターを経た音の変化というのは?

COS/MES『Sadistic Skatepark (Remastered)』
FUNIKI ENEより今年6月にリリースされた、COS/MESファーストアルバムのリマスター盤。

Flatic:それ以前に実はリマスター作業の前に5曲のミックスをやり直したんですよ。5年前に1ヶ月かけて作ったアルバムをもう1回作業し直すっていう、僕らの思い入れとしつこさが表れているというか(笑)。

5ive:で、そのマスタリング作業も通常1日で終わるものなんですけど、僕らは(日本屈指のアナログ・カッティング・テクニックを誇る)JVCの小鐵(徹)さんのところで贅沢に2日間かけて、5曲、6曲と分けて作業してもらったんですよね。

Flatic:小鐵さんとの作業は2度目なんですけど、作業の前に部屋を退場させられるんですよ(笑)。で、ラウンジでしばらく待機してると、小鐵さんが呼びに来てくれてスタジオに再入場。その間に真っ暗のスタジオで作られた2、3種類のヴァージョンのなかから僕らが気に入ったものを選ぶっていうスタイルなんですよ。

— つまり、話し合いながら作業をするわけじゃないっていうことですよね?

5ive:そう。小鐵さんは僕らが「こうやってください」って言っても、「いや、でも……」って感じで、絶対に自分の意見を曲げないんですよ(笑)。だから、小鐵さんが仕上げた2、3種類のヴァージョンのなかで収まるし、収めるっていう。勿論微調整はしてくれます。ハイを1デシベル変えるだけで相当変わります。曲によっては、4年前のオリジナルの方が音量がデカかったりして、それを突っ込んだら、「少しでも音量を変えちゃったら、未熟児になりますから」って言って、変えてくれなかったんですよ。要するにそもそものミックスに対して無闇にコンプで音量を上げない。まぁ、結果的にはナチュラルな鳴りになったので全く問題なかったんですけど、”音”に対して「未熟児」とか「イモですね」とか(笑)、小鐵さんの発言には強力なパンチ・ラインが色々あったりして。

Flatic:あと、「曲それぞれに食べ頃のマスタリングがありまして〜」とかね(笑)。仕上がりは自分たちが想定したより音量が小さいものになったんですけど、この音量がこのアルバムの食べ頃のマスタリングってことですね(笑)。それは聴く人が自分でボリュームの調節してもらえば、空間もバッチリあって、うるさくなく音量が上がるようになってるっていう。小鐵さんはやっぱりスゴかったですね!

— どうスゴかったんですか?

Flatic:いやー、あの歳で耳がビンビンっていう!(笑)

5ive:ははは。確かに。今年、68歳ですからね。しかも、小鐵さんはオーディオ・マニアで、レコードもいっぱい持ってたのに、数年前に引っ越しを機に全部人にあげてしまって、家では音楽を聴かなくなったそうなんですよ。「いま思えば、耳を休ませるため、本能的にそうしたのかも」って言ってたんですけど、やっぱり、小鐵さんは耳がいいんですよね。

Flatic:しかも、すごい紳士なんだけど、自分の意見を曲げないっていう。だから、紳士で頑固でビンビンですよ(笑)。

— はははは。美味しいフレーズいただきました。そして、『Sadistic Skatepark』以外の作品ではリミックスが2曲リリースされましたよね。

Flatic:リミックスは結構断らせてもらってるんですよね。正直言って、オファーされるもののなかには僕らが手を加えても絶対に良くならないもの、完成形がイメージ出来ないものもあって、そういうオファーは何度も聴いたうえでお断りさせてもらってるんです。

5ive:原曲が好きだったり、ヤバいと思う曲だけやらせてもらってるというか。

— いま、リミックスという手法は、軽いあいさつ代わりのコミュニケーションというか、かつてに比べると、敷居が低くなっているし、名前を売るためのリミックスを量産するクリエイターも多いと思うんですけど、COS/MESはそうではないと。

Flatic:僕らはサンプリングをベースに作っているんで、そんなに器用にあれこれ出来ないんですよ。「君たちのファンだから、胸キュンで激アッパーなエレポップをリミックスしてくれ」って言われても、「そんなの無理でしょ!」みたいな(笑)。こちらとしても無理がなく、かつ向こうが喜んでくれるものじゃないと申し訳ないので。

— そのうえで2人が手がけたTORN SAILとLORD OF THE ISLESのリミックスは、テンポもゆったりしているし、2ndアルバム『GOZMEZ LAND』を彷彿とさせるエキゾチックなフィーリングも感じられたり、そういう作風にCOS/MESのカラーがありますよね。

Flatic:ねぇ。知らぬ間に(笑)。TORN SAILのリミックスはアイディアがバンバン出て、がらりと違うヴァージョンを3パターン作ったうえで、最終的にはああいう形になったんですけど、自分たち的にも仕上がりには満足してるよね?

5ive:そうですね。あのリミックスは原曲のヴォーカルがヤバいし、やり取りの適当な海外レーベルが多いなか、(英国のレーベル、CLAREMONT56オーナー)ポール・マーフィーはナイス・ガイで、やり取りもきっちりしてたので、モチベーションは高かったですね。

— あと、後半に展開ががらっと変わるLORD OF THE ISLESのリミックスも驚きがありました。

Flatic:実はあのリミックスは作るのに苦戦したんですけどね。Chidaくんがある日突然、勝手にシンセを乗せたバージョンを作ってて(笑)、その素材をエディットして使わせてもらって完成したんだよね。あと、あの後半ね(笑)。

5ive:COS/MESの”浜”部分を表現してみました(笑)。まぁ、あのリミックスの前半パートは原曲をほとんど使ってなかったし、オリジナルのシンセも気に入ってたので、アウトロ的な感じで後半使ってみたっていう。

— そういう意味で、COS/MESのリミックスには常にひねりや驚きがありますよね。

5ive:ははは。斜に構えてるんですかね。

Flatic:変な寝技っていうか(笑)。

5ive:アラフォーになったFlaticのねっとりした感じ。

Flatic:プログレに近いというか。長い曲で「もういいかな」ってところで展開する感じ。なんかやりたくなっちゃうんですよ。

— と思わせておいて、COS/MES流の胸キュン・アッパー・リミックスも聴いてみたいですけどね(笑)。

Flatic:オールドスクールなレイヴ・トラックは作ってみたいですね。

— そして、オリジナルが2曲。1枚はニューヨークのESP Instituteからリリースされた東日本大震災復興支援シングル「HEY YAH」。この曲はアフロな声ネタがかなりディープですよね。

Flatic:あれはオリジナルっていうより、ほとんどリエディットだよね。

5ive:そうっすね。ネタ自体は2004年くらいからストックしてたんですけど、うまくまとまらなくて、そのままになっていたんですけど、このタイミングでようやく形になったんですよね。

Flatic:もの悲しさとポジティヴな感じが同居したトラックも復興支援シングルにはぴったりだと思ったし、逆面に入ってるChidaくんのトラック「Danca」も5年寝かした末に完成して、アンドリュー・ウェザオールがプレイしてくれてるっていう。

— そして、FUNIKIENEからリリースされたシングル「SADISTIC EP 1」収録の「SADISTIC BEATS」は『SADISTIC SKATEPARK』のパーツをメガミックスしたアイディアものの1曲。

Flatic:メガミックスものを作りたいよねって話は前からしてたんですけど、あの曲は5iveが某オールド・イタロハウスをエディットして、僕が上モノ用に『SADISTIC SKATEPARK』のパーツをエディットして作ったんだよね?

5ive:メガミックスといってもユーロビートのメガミックスではなく、B-BOYなメガミックス。まぁ、でも、メガミックスって、ある部分はよくても途中でダサいブレイクビーツが入りがちなので、そうじゃないものを作りたいっていう話をしてました。そして、Seahawksに頼んだB面の「He Is Rainman」のリミックスは仕上がりが早かったうえに、3ヴァージョンも送ってきてくれて、さすが仕事が早いなって思いましたね。しかも、その3ヴァージョンを送った後にリリースした「Seahawks Disco」がかなり好評だったらしくて、「リスナーはこういうトラックを待ってるのか?」っていうメッセージ付きで新たに作った「He Is Rainman (Seahawks Smooth and Spacey Disco Mix)」を送ってきてくれたんですよ。で、それがとても良かったので、今度リリースする「SADISTIC EP 2」に収録されます。

Flatic:ClusterのSeahawksインタビューに載ってたジョン・タイの写真を見たら、「ヤバい!ビンビンの紳士がここにも!」って思いましたよ。

5ive:(笑)Flaticにもそろそろビンビンの紳士を目指して欲しいっすね。

Flatic:レコードのディグだけはビンビンなんだけどね(笑)。

— COS/MESの新作は?

Seahawks『Invisible Sunrise』
先日ロンドンで直撃した、ピート・ファウラーとジョン・タイからなるSeahawks待望の2ndアルバム。2011年11月下旬リリース予定。

Flatic:これから出るのはSeahawksのニュー・アルバム『Invisible Sunrise』の特典CDに何故か収録されることになった「Love On A Mountain Top」のリミックスと、ESP INSTITUTEからリリースされるソフト・ロックスのアルバムから「Little Lights 」のリミックス。いま作ってるのは、ドイツ・ベルリンのDiscodromoってアーティストのリミックス。新作に関しては……なかなか出来ないんですよね(笑)。まぁ、でも、マイペースに間違いないものを作るつもりなので気長に待っていて欲しいですね。

— そして、10月22日土曜日から東京は神泉にオープンした地下空間ファクトリー、THUG FOR LIFEで「SADISTIC SKATEPARK EXHIBITION」が行われますよね。これはCOS/MESが所属する他社比社のposer graphicsとMUSTONEに加えて、スケートボードのスカルプチャーで知られるharoshi、カメラマンの平野太呂さんが参加して、内容的には2007年に行われた同名エキシビジョンのリマスター版といった感じなんですよね?

5ive:そうですね。2007年とは異なる会場で、装いも新たにというか、前回の内容をヴァージョン・アップして、鉄っていう重い素材を使った前回に対して、今回は軽さがテーマになっているところも、『SADISTIC SKATEPARK』のオリジナル盤とリマスター盤の関係と一緒なんですよね。そして、Cluster Mix Archives用に作った僕らのミックス音源は『SADISTIC SKATEPARK』を聴いてくれてる人がニヤッと出来る内容にしてみたんですけど、音源のビットレートは320kbpsではなく、エキシビジョンのコンセプトに合わせて、敢えて96kbpsの軽くて荒いものになっています。まぁ、そんな感じで日々楽しく遊んでいるんで、よかったら、エキシビジョンにも足を運んでみてください。

http://underground.jp/cos/mes/
http://soundcloud.com/cosmes

SADISTIC SKATEPARK EXHIBITION 2011

会期:2011年10月22日(土)〜 25日(火)
会場:神泉・THUG FOR LIFE
東京都渋谷区円山町28-8 →MAP
時間:14:00〜20:00
参加アーティスト:
COS/MES
haroshi
MUSTONE
poser graphics
平野 太呂
GEOGRAPH

Reception Party
日時:2011年10月22日(土) 23:00〜
入場:無料
DJ:COS/MES(iseneehihinee
CHIDA(ene
K404(TRAKS BOYS

http://www.thugforlife.jp/presents/

COS/MES DJスケジュール

10月22日(土)
「SADISTIC SKATEPARK」@渋谷 THUG FOR LIFE

10月28日(金)
「THE OATH」@青山 OATH

11月25日(金)
@青山 LOOP

11月26日(土)
「Some Song Teachers」@青山 OATH

毎週水曜日
Chida&5ive @AOYAMA TUNNEL

「Mastered」は、
2017年5月までEYESCREAM.JPだったサイトが生まれ変わった、
新しいファッション&カルチャーメディアです。