当編集部が厳選した今シーズン注目のブランドに毎週1ブランドずつご登場いただき、新作アイテムの紹介とデザイナーへのインタビューを5週連続で実施していく“2012年春のブランド大特集”。第3回目となる今回はNIGO®氏がデザインするレーベル[ヒューマンメイド(HUMAN MADE®)]にご登場頂きます。
2010年秋冬シーズンのスタート以来、通算4シーズン目を迎える同ブランドですが、今回はあえて特定のテーマを設けずにコレクションを製作。NIGO®氏のヴィンテージへの愛とこだわりがふんだんに詰まった新作の数々は、まさしく必見です。それでは気になるブランドスタートの経緯から、発売前から既に大きな話題となっている[コンバース アディクト(CONVERSE ADDICT)]への別注スニーカーの誕生秘話にまで迫った長文インタビューと共にじっくりとご覧くださいませ。
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「時代は確実に前に進んでるんですけど、人が求める物は過去にある、というか。そういう側面での融合という意味もありますね。」
— NIGO®さんはこれまでにも様々なプロジェクトに携わってきていますが、このヒューマンメイドというレーベルはどのような経緯でスタートされたのでしょうか?
NIGO®:感覚としては[ア ベイシング エイプ(A BATHING APE®)]を始めた時の感覚と一緒なんですよね。エイプは既に規模の大きい物になっていて、そうなってくるとファンの人たちの期待はいわゆる、“That’s APE”みたいな物に自然となってきます。
そこと今の自分の物作りに対する気持ちっていうのには少しギャップがあって。だけど、あまりそれを大胆に裏切ることも出来ないので。まぁ、自分としては常に受け手よりも先にいなければならないと思っているので、エイプとは別に好き勝手やるというか、もっと作り込んだ物、1歩ではなく2歩、3歩踏み込んだ物をやりたいと思ったのがヒューマンメイドをスタートさせたきっかけですね。なんとなくですが、エイプに関しての物作りには“慣れ”もあったので、自分としても何か刺激が欲しかったという感じでしょうか。
— ブランドの構想自体は以前からご自身の中にあったのでしょうか?
NIGO®:例えばユナイテッドアローズさんと[Mr.BATHING APE® UNITED ARROWS]というスーツを中心としたラインをやっていますが、ミスターはスタートさせるまでに3、4年かかったんですよ。一時的なノリで作りたくはなかったので、実際にイギリスに足を運んで色々と勉強したり、経験を積んでからやり始めたんです。
ただヒューマンメイドに関しては自分の中に既に古着に対する知識であったりとか、ベースとなる物があったので、あとは良い生産者、自分のノリとかこだわりが伝わる人を探すことでした。その点も幸運なことにウェアハウスさんとの良い出会いもあったので、「やりたいな」と思ってからわりとすぐに形にすることが出来ましたね。準備には約半年掛からなかったですね。
— ヒューマンメイドは“過去と未来の融合”というキーワードをテーマとして掲げていますが、これは具体的にどういった意味が込められているのでしょうか?
NIGO®:いわゆるレプリカではなくて、そこに自分らしさを加えたかったんです。過去の物をそのまま出すのではなく、例えばシンちゃん(SK8THING氏の愛称)のグラフィックをのせるとか、グラフィックをワッペンにしてからのせるとか、別の言葉で言うならば“今っぽさ”を出したかった。そのままやっても昔の物はパターンも悪いし、実際、今の時代には合わないと思うので。そういった意味での融合ですね。
あとは例えば、ジーンズに特殊なステッチを使いたいけど、今の技術では縫えない。じゃあ、どうしようってなった時に、アメリカでヴィンテージのミシンを探してきて、それを動くようにして縫ったりという事をします。それって時代は確実に前に進んでるんですけど、人が求める物は過去にある、というか。そういう側面での融合という意味もありますね。
— なるほど。オフィシャルサイトのトップに書かれている「GEARS FOR FUTURISTIC TEENAGERS」という言葉にもそういった意味が込められているのでしょうか?
NIGO®:そこまで深い意味は無いですが、若い子たちが着てくれたら嬉しいなというのは当然ありますよね。実際にヒューマンメイドの物が響く世代っていうのはやっぱり、僕とジェネレーションが近い人たちだとは思います。ヒューマンメイドの服の価値観って色々な物を着て、服が好きで、物を知っている人じゃないとなかなか伝わりにくいところもありますからね。
— ヒューマンメイドでの物作りのベースになっているのはアメリカの古着ですよね?
NIGO®:基本そうですが、“東京らしさ”ももちろん取り入れています。例えばチノ素材でボンデージパンツを作ってジップはフックレスにしてみたりだとか、ところどころにちょっと変な“遊び”を入れたりしています。
— 具体的な年代まで意識して制作を行っているのでしょうか?
NIGO®:今は大体1930〜40年代くらいです。僕らが若い頃って50年代が古着のMAXだったんですけど、面白いもので時が経つに連れて日本人が40年代、30年代、20年代とどんどん掘り進めて行って、今ではその辺が古着のマニアでは主流になっています。年代が古いほど色々と服作りに試行錯誤を重ねていて、見ているだけでも面白いです。
— 作業としてはどんどん縦に掘り下げていく感じになるのでしょうか?
NIGO®:そんなこともないです。やっぱりその時の気分もあるので。次のコレクションでは1950年代ぐらいをメインにしてデザインしても良いかなと思ってます。
— ベースとなっているのはこれまでにNIGO®さんが実際に見てきた古着ですか?
NIGO®:そうですね。例えば今ってネットオークションでヴィンテージの古着の写真を見つけてきて、それを基に上っ面だけの物作りってすぐに出来てしまうと思うのですが、それは絶対にやりたくなくて。そうなると内面というか、ステッチがどうなっていて、素材の織りはこうでとか、実際に目で見て触ったものがベースにはなっています。
— 以前はアトランティックシティのアンティークショーに足を運んでいたというお話を伺ったことがありますが、今現在も古着は掘りに行かれているんでしょうか?
NIGO®:海外のショーには最近は行ってないのですが、高円寺とか、明大前とか、下北とか、原宿とか、古着屋さんは普通に良く行きますよ。基本的にそういうのが大好きなので。
— 最近はヴィンテージ古着が見つかり辛くなってきているなんて話も良く耳にしますが、探せばまだまだ見つかるものですか?
NIGO®:うーん、たしかにあまり見つからないとは言いますね。とはいえ、タマはあるので、法外な値段をだせば買えたりはするんでしょうけどね。基本は自分で着れるサイズの古着しか買いません。余程珍しくないと袖を通せないもの以外はあまり購入しません。なので普通はしまっておくようなコレクターズアイテムでも全然普通に着てしまいますけど(笑)。
— ヒューマンメイドのアイテムを見ていると“原点回帰”というか、NIGO®さんの本当に好きな物を表現しているように感じます。年齢の変化に伴う好きな物の変化も物作りに大きく影響しているのでしょうか?
NIGO®:もちろんそれもあるだろうし、時代的にも1周したんじゃないかな。僕がエイプを始めた時に買ってくれていた人はもう普通に家族もいるでしょうし、その代わりにアメカジを全く知らないような若い子たちも出てきたり。
あとは世の中の景気っていう部分もあると思いますね。僕がエイプをはじめた1993年ってその頃自覚は無かったですけど、景気があまり良くない時期だった。時代感って絶対に関係があると思うんですよね。景気が悪い時ってトラッドだとか、ある種定番的な物を人は求めます。まぁ結論を言えば自分の年齢も含めて、色々な要素が重なったんじゃないでしょうか。
— エイプのブランド名はスケシンさんが名付けたそうですが、ヒューマンメイドというブランド名はNIGO®さんが発案者なんでしょうか?
NIGO®:そうですよ。なんとなくなんですけど、“MADE BY HUMAN”とか似たような言葉は良く使っていたので。やっぱり作る物にこだわりたいというか、人の手にこだわりたかったので、“ヒューマンメイド”ってなんか良いなぁと思いました。意外と安易に付けた感じではありますね。
— あのブランドロゴにはどんな意味が…?
NIGO®:ロゴはブランド名を教えたらシンちゃんが考えてくれました。だからエイプを始めた時と本当に似た流れですね。
— COLDCOFFEE®の内装やオフィシャルサイトを見ているとさっきお話があった温もりや温かみといった要素を強く感じます。この辺りもブランドコンセプトとして意識されているのでしょうか?
NIGO®:どういうものを作ろうかなって考えた時に、今って意外にシンプルにまとめたほうが良いのかなって思ったんです。ウェブサイトにしてもただ単に物の写真を載せるよりはああいう形式の方が面白いかなと思って。絵はたまたま見つけた台湾のイラストレーターの子に描いてもらってるんですけど、その子に僕が物の写真を送って描いてもらっています。かっこいいウェブサイトは他にもたくさんあるので、なんか自分らしさを出したかった感じです。
— そのイラストレーションを担当されているvita yangさんですが、元々は向こうのGEISAIでNIGO®賞を獲得していますよね。
NIGO®:そうですね、その時からの付き合いになりますね。
— どういった部分に惹かれたのでしょうか?
NIGO®:エイプのプロジェクトだったら何も引っかからなかったと思うんですけどね。ヒューマンメイドをちょうどやり始めたところだったので、このタッチは合うかもと直感的に感じたんです。
— 写真はトーマス・トンプソンという方が担当されているんですがこの方は…? すみません、調べても情報が見当たらなかったもので…。
NIGO®:あー、それはそうでしょうね。知り合いのカメラマンなんですが、架空の名前でやろうということで僕が命名しました。その方が面白いかなと思って。もしかしたら意外に近くにいるかもしれないですよ(笑)。
— ブログを拝見していても写真に対するこだわりはかなり強いように感じます。
NIGO®:彼とは何かの撮影で知り合って、なんだか良く分からないけど格好良く撮ってくれるんですよね(笑)。あとは仕事が早くてセンスも良いし、意見も聞いてくれるので、そういうところがポイントでしたね。一緒に色々と考えて良いものを作って行くっていうスタンスの方が僕としては面白いので。僕が一緒に仕事をする人って偏りがあるんですよね。でもそれって一つのスタイルを作るというか、有名とか無名とか、そういう事は全然関係無いんです。
— A BATHING APE®然り、Mr.BATHING APE®然り、NIGO®さんの関わったプロダクトは特に海外だと“東京的”といった冠が付いて説明されることが多いと思うのですが、ご自身のプロダクトがそういった受け止められ方をすることについてはどのようにお考えですか?
NIGO®:いや、それはとても嬉しく思います。自分の中で東京という街を押していきたい気持ちもあるし、全然“東京的”で良いと思います。
— ヒューマンメイドのプロダクトもやはり“東京的”な物になっているのでしょうか?
NIGO®:そうですね、まぁどういう物が“東京的”なのかって意識して作っている訳では無いですけど。それってもう単純に言ってみたら、昔だったら世界中でレコードが一番ある街で、ロンドンだったらヨーロッパ盤しかないけど、日本だったらUS盤もあるし、ヨーロッパ盤もある。パンクでもモッズでもいいですけど、そういう色々なカルチャーがあって、モッズの子はたしかにモッズだし、ヒップホップの子はたしかにヒップホップなんだけど、その子たちが普通に友達として一緒に街を歩いてるじゃないですか。それが東京っぽさなのかなと。そこから生まれる物には偏りがないんですよね。
例えばヒップホップなんだけど、モッズのような要素が入っていたりとか。それがなんか面白いんですよ。海外ではあまりそういうケースはありませんね。やっぱり、1人1人の掘り下げ方のレベルが日本人はすごいから、すごく環境は良いと思います。
— ヒューマンメイドの東京的なエッセンスのひとつにスケシンさんのグラフィックがあると思うのですが、毎回使用するグラフィックはどのように決定されているのですか?
NIGO®:基本的に毎シーズン、僕の方でテーマを設定しています。この前の秋冬のテーマは“ジャコウネコ”ですけど、毎回そういうテーマをシンちゃんに投げて、シンちゃんが描いてくれます。やっぱり何も無しで絵は描いてもらえないので、そういうキャッチボールみたいなものは意外と重要ですね。
— では春夏のテーマは?
NIGO®:春夏は敢えてあまりテーマ性を持たせていないんです。これまでグラフィックの入っているものを作ってきて、意外とあまりグラフィックが入っていないものの方が良いというお客さんが多いことにもお店をやってみて気づきました。なので、今回はさりげない方向にしてみました。
— お店に来るお客さんはエイプとは異なる客層になるのでしょうか?
NIGO®:そうですね。時間がある時はお店に居たりするんですが、エイプを着てくる人はほとんどいないですね。
昔着てましたっていう人が多いです。すごく自分が理想とする人たちがお店に足を運んでくれるのは、やはり嬉しいです。
— 春夏のアイテムで個人的に特に気に入っている物があれば教えてください。
NIGO®:基本はアイテム数が少ないので、どれも気に入っています。僕は心のこもったアイテム数って言ってるんですけど(笑)。
同じ時期に展示会に出ているものでも実は製作に1年半以上かかっている物とかもあるんです。個人的には玄人受けすぎるんですけど、ニット系が特に今季は気に入っていますね。
— 生産は日本で行っているんでしょうか?
NIGO®:ほぼほぼ日本です。ただ今は手のかかるもの、例えばスカジャンの手打ちの刺繍だったりとか、手数のかかる物は日本だと逆に作ることが出来ないケースが多いのも事実です。いわゆるスカジャンの雰囲気っていうのが日本製だと出せないんです。そもそも、僕は良いものが作れれば生産国にあまりこだわりはありません。もちろんクオリティには妥協しません。
— それこそ機械の問題もありますしね。吊り編み機が和歌山でしか動いてなかったりだとか、そういったものを探して行くと結局日本だけでは収まらなくなってしまうのかなとも思います。
NIGO®:そうですね、吊り編み機自体が日本に数台しかないですから。他にも特殊な織り機だと順番待ちみたいなものもあるし。機械が少ないと、どうしても需要が集中してしまいますよね。
— 続いては[コンバース アディクト(CONVERSE ADDICT)]の別注シューズについてお話を伺えればと思います。ファーストコンタクトはコンバース側からあったのでしょうか?
NIGO®:いや、元々僕がコンバースさんからサンプルを頂いていて、こんなに疲れないコンバースは初めてだったので気に入って毎シーズン履いていたんです。もう履き始めてから2、3年になるのですが、今回はたまたまタイミングが合って、ラブコールを受け入れて頂きました(笑)。
特にコンバース アディクトは売り方にしても、生産数にしても本当に良い意味で頑固なので、デザインをやらせてもらえて嬉しかったです。
— 今回の別注のポイントというか、こだわった部分を教えていただけますでしょうか。
NIGO®:アーミーコンバースを意識しつつ、最近の自分らしさを付け足しました。フックレスなどのオールドスタイルのジップが最近気に入っているので、それを敢えて巻き込まないで普通に叩きつけた。昔、お母さんがプルオーバーのパーカに着づらいから、自分でジッパーを付けちゃったノリですね(笑)。
ハイカットにジッパーを付けることは色々なブランドでも見かけますが、もともとはキッズ用の靴のデザインです。その中でも自分らしさは出せたと思います。あとは色でいうと、意外にありそうでない茶色を出したらかなり好評でした。身内はオーダーがほとんど茶色に集中しましたね。
— どちらもハイカットですが、NIGO®さんはハイカットの方がお好きなんでしょうか?
NIGO®:ここ何年かずっとハイカットを履いていますね。特に理由は無いんですけど、何故かローカットはあまり履かないです。
— NIGO®さんのスニーカーを選ぶときのポイントはどんなところなのでしょうか?
NIGO®:最近スニーカーはアディクトとヒューマンメイドしか履いてないですけど、基本シンプルなデザインの物が好きですね。
— 話は変わりますが、NIGO®さんがNOWHEREをオープンされた頃とは原宿の景色も大きく変わっています。今の原宿、東京のファッションシーンについてどのように感じていらっしゃいますか?
NIGO®:きっともう、街では何も起こっていないですよね。だからもう、インターネットの中でしか動きがない気がしますね。特にファッションは。だからデザイナーさんにとっては厳しい時代ですよね。なかなかやったことが響かない。やっぱり自分で服を作って、お客さんに実際に見てもらって、お店の空気感だとかも味わったうえで服を買ってほしいっていうデザイナーさんがほとんどだと思うので。でも、一方でインターネットは一つの時代だとは思っています。避けては通れない道ですね。勿論全く否定はしないし、自分の作っている物も含めて大抵の物はインターネットで買えるので、そういう意味では買い物はフェアな時代ですね。僕らが若い頃って人気のブランドの物は転売屋で高いお金を出さないと買えないとかってこともあったけど、今は全国どこに居てもインターネットさえあれば買えるので。それは良いことなんじゃないでしょうか。
— 近年大きく変わったことの1つとしてファストファッションの登場が挙げられるかと思います。もしNIGO®さんに[H&M]のデザイナーズコラボのようなオファーがあったとしたら仕事を請けますか?
NIGO®:うーん…どうですかね。かなりやりがいはあると思いますけどね。最近の東京のシーンってものを考えると、環境的にもファッションの分野では若くて面白い人が出にくくなっている気がします。せっかく東京が世界の中で面白い位置に来ていて、東京は面白いという雰囲気が世界中で生まれているのになかなか下に続けないっていうのには、余計なお世話かもしれないですけど、自分の中で危機感を感じてはいます。そういう事を考えると今ファストファッションが主流だとしたら、その枠の中で面白い物を作ったり、見せていくって手法は“伝える”という意味でもアリな気はしますけどね。あとはやっぱり、個人では作れないものが大量生産だと作れたりするので、僕はそれも否定しないです。
良く対極にある存在として[ユニクロ(UNIQLO)]とエイプを比べられたりはするんですけど、自分自身すごくメジャー思考で、ブランドをポピュラーなものにしていくという目標があったので、規模は違えど実は意外と似ているのかもしれないですね。
だから、僕がNIGO®個人として今後どうありたいかということを考えた時に、1人が1つのブランドをもってやっていく時代でもないかなとは思っています。例えばコンバースをやらせてもらったりだとか、[エフェクター(EFFECTOR)]とやらせてもらったりだとか、そういったワンショットでのデザインは継続してやっていきたいと思います。その中にファストファッションが入ることは全然アリですし、ふり幅が広いというのが自分の強みであり、東京の魅力でもあるとも思います。『口紅から機関車まで』が自分の夢ですね。
— 非常に興味深いお話でした。現在、COLDCOFFEE®は1店舗のみですが、今後直営店舗を増やしていく計画はありますか?
NIGO®:そこはなるようになるかなという感じですね。たしかにもう一段階あると色々と物作りの幅が広がるのかなというのはありますけど。こなせなくて作るのを諦めているアイテムも多いので。そこはやっぱり一番悔しいです。
— 最近、ファッション以外で興味のあることは何かありますか? 以前は日本文化にはまっているなんてお話もありましたが…
NIGO®:今でも毎月歌舞伎を観るとか、日本文化は継続中です。最近はDJをまたやり始めて、ツアーに出たりもしています。DJはMacが1台あれば済んでしまうので、凄くやりやすくて楽しいです。大量にレコードを持っていかなくても、家にあるレコードが全てMacに入っているようなものなので。最近は夜な夜なアナログをデータにしたりしてますよ(笑)。
でも曲と曲をチョイスしたら、自動でピッチまで合うみたいな時代だから、ちょっとでもDJとして飯を食べてた人間としては、選曲や、曲のストックの多さで勝負しています(笑)。
— それでは最後の質問になりますが、僕らも含めてNIGO®さんやNIGO®さんの作る物を見てファッションを好きになったという方も読者の中にたくさんいらっしゃると思います。そういう方たちに向けて、何かメッセージやアドバイスを頂いてもよろしいでしょうか。
NIGO®:一番難しいね(笑)。
なんだろうな、何が良いとか何が悪いとかそういう判断は後回しにして、とにかく片っ端から色々な物を見ることをして欲しいですね。その中で良いなと思った物を着れば良いし、それが良いとか悪いとか、ダサいとかカッコイイとか物の評価で判断しない方が良いと思います。僕もずっとそれをやってきて、その中で良い悪いっていう判断が出来るようになりました。特に若い人は深く考えずにいろいろ試してみたらいいと思います。
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