— まぁ、その辺りは自分もそうですが、単純に歳を取ったってことですかね(笑)。少し失礼な質問になるかもしれないですが、グラフィックものってファッションの世界だと特に流行り廃りの激しいジャンルじゃないですか。今はポップアップや新しい商品を出す度に店頭には長蛇の列が出来ていますが、そういう光景を見て、自分が消費されていっているような感覚はありますか?
VERDY:たしかに少しづつ消費はされていっているとも思うのですが、なるべくそうならないように常に意識はしているつもりです。「いきなりやってきて、いきなり流行った」と思われることも多いんですけど、自分自身がもう10年近くやってきたことの積み重ねとして、今の状況があると考えていて、簡単に消費されないよう”新しい、格好良い、面白い”と自分が思えるものをどんどんと作っていきたいですね。
— 世界中飛び回っている印象ですが、特に好きな場所は?
VERDY:ロサンゼルスですかね。LAに行ってなかったら今の状況も無かったと思うし、自分のプロジェクトを立ち上げる時に一番強く意識したのが「LAにいる若い子やファッションが好きな子達が着て、格好良いもの」ってことでした。なので、LAは自分にとって特別な場所なんです。
— 広く認知され、影響力を持った今だからこそやりたいと思っていることは何かありますか?
VERDY:特に意識している訳では無いですが、海外だとある程度のキャリアを積んだ人が若い子をフックアップすることが日本と比較して多いように感じます。僕が東京に引っ越してきた頃は、コミュニティに入りずらいと感じることも多々あったので、自分の出来る範囲で周囲の若い子達に色々な経験をさせてあげられたら嬉しいなとは思いますね。
— 純粋なグラフィックデザイナーがスタートさせた現役のアパレルブランドってC.E(シーイー)ぐらいなものですし、VERDYさんに憧れて、これからどんどん増えてくる可能性はありそうですね。
VERDY:昔は雑誌くらいしか発信の場が無かったんですけど、今はSNSもあるから自分で発信できるし、当時よりも裏方と表舞台の境界線って曖昧になっているのかもしれませんね。逆にSNSでは誰でも発信出来ますが、こういった取材は誰でもやってもらえるものでは無いので、貴重な機会だし、とても有難いことです(笑)。
— 最後に1つ聞きたいことがあって。これだけGirl’s Don’t Cryが有名になると自分の作風を真似されたりする機会も多いと思います。以前にDIGAWEL(ディガウェル)の西村さん、田中宗一郎さんと”引用と剽窃の違い”について話す機会があったんですが、率直に言うとVERDYさんは”パクリ”と”サンプリング”の違いについて、どのように考えていますか?
VERDY:サンプリングとかパロディって見方を変えれば有名になった証拠だとも思っていて、ある程度は仕方が無いことだとも思うんですけど、ただ単に「流行っているから」って真似をすることと、自分が影響を受けてきた元ネタをアレンジすることって、全くの別物じゃないですか。ストリートの暗黙のルールというか、ここまでがパロディで、ここから先はダメだって、明確に線引きがある訳じゃないですけど、分かる奴には分かりますから。それが分からない人はWasted Youthのメッセージにもあるように「Don’t bother me anymore(俺は好きなことをやってるから、俺に構わないでくれ)」ってことで。自分の友達がそういうことをしてたら僕は結構ちゃんと注意しますけどね。作り手として、言わなきゃいけない場面ってのもあると思うんですよ。