Photo:Yasuhiro Hiruma、Text:Hideshi Kaneko、Edit:Atsushi Hasebe
— MASTERS AT WORK(以下、MAW)との出会いについて教えてください。
宇川:初めてMAWを体験したのは、1996年のサンフランシスコ。当時、ボクはサンフランシスコに移住したばかりで、“モニカ・ルインスキー事件前”のクリントン政権下のアメリカで、MAWのふたりが合体したパーティーを体験できるという恩恵を、有り難く浴びさせていただきましたね。もうトランスフォーマーのスクランブル合体ロボのように(笑)、単独では不可能な“ディープな馬力”を発揮していましたよ。単独ならば93年に芝浦GOLDで実現したKENNY DOPE(ケニー・ドープ)の初来日から参加していて、その時の彼のDJには度肝を抜かれました。当時、僕は21歳。95年にMAW Recordsが立ち上がるまでの90年代初頭の彼らはCutting Recordsから、今で言うところのEDIT的な方法論で、何にでも活かせるプラモデルの部品のようなトラックを2ケ月に1枚くらいのペースでリリースしていて……。タイトルでいうと『Jump On It』や『The Ha Dance』のような、まさにDJのための謎のトラック。ケニーの初来日は、そんな部品を一夜かけてどうやって組み立てれば、それまで見たことのない超絶なスーパー・ハウス・ロボットが立ち現れるのか? という、いわゆるガラージュ的な世界観とはまた違う壮大な男のロマンを感じました。