深化を続ける東京中華 – ストレンジな魅力を放つ4軒のチャイニーズレストラン –

by Nobuyuki Shigetake and Mastered編集部

テン年代後半に再発見されて以来、目紛しい変遷を遂げるフード・トレンドの中で消費の一途を辿る”町中華”というカルチャー。
一般的にはレトロな店構えで”昔ながらの味が〜”、”ボリューミーな〜”、”コスパ抜群な〜”といった表層的な部分が取り沙汰されがちではあるが、一切の油断が許されない、厳しい循環の中にある飲食業界で一辺倒なことだけをしているお店が、数十年間も営業を続けられるものなのだろうか? そんなことはない。本質はもっと深淵にあるということだ。
本特集では、東京という街にどっしりと根差しながら、独自に”深化”を続ける4軒の中華料理屋の魅力を紐解いていく。
※ 新型コロナウイルスの影響で営業時間や店休日が変更になっている場合があります。

Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake

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中野坂上 ミッキー飯店

高層ビルが立ち並ぶその様相は、中野というよりは新宿の末端。開発に開発を重ね、特筆すべき個性が削ぎ落とされていってしまったように見える中野坂上という街だけれど、それはあくまで表の姿。1本路地に入ると昭和の面影を残した、なんとも趣のある個人店がチラホラと散見される。

ここミッキー飯店は、1969年に恵比寿でオープンをし、その後中野坂上に移転、現在51年目。クラシックな外観からも察しがつくと思うが、オーセンティックなメニューを実直に提供し続けている町の中華料理屋さん、という雰囲気で、メディア出演も多数。往年のファンが非常に多い”町中華”の銘店中の銘店だ。

某ネズミのキャラクターを想起させるユニークな屋号だが、もともとの店名は”盈喜(みつき)飯店”。「ムズすぎて読めない」という意見が多数寄せられ、今の名前に落ち着いたらしい。

ミッキーライス 750円(税込)
思わず滝汗で掻き込みたくなるルックス。同様のあんかけを使用した『ミッキーラーメン』と『ミッキーかた焼きそば』も人気メニュー。

店名を冠した『ミッキーライス』は、来店した大半のお客さんが注文する名物メニュー。具材は人参、キャベツ、筍、椎茸などの野菜に、豚肉とレバー。味付けには豆板醤と醤油を使った、ピリ辛な仕上がり。あんかけになっているので熱が逃げず、食べ終わるまでずっと熱い! 最高!

焼餃子 400円(税込)
”正解の焼餃子”という感じ。

焼餃子はやや大ぶり。皮が厚めで食べ応えもある。”こいつをやりながらまずは瓶ビールで1杯”という感じではなく、しっかりと米を食わせようとしてくる感じだ。

余談ではあるが、6月頃になると冷やし中華ならぬ、冷やしラーメンというメニューのサーブが始まるらしい。さらに、近くに銭湯(”クラブ湯”というおちゃらけた名前だが、いたってクラシックな銭湯。)もあるとのことだ。夏の楽しみがまたひとつ増えてしまった。

【店舗情報】
ミッキー飯店
東京都中野区本町2-17-4
営業時間:11:30~14:15 (L.O.13:45)、17:00~21:00 (L.O.20:30)
定休日:日曜、祝日
https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131903/13073445/