ジャンルもそうだし、メンバー自体も色んな国の血が混ざってるし、既に色々な要素が国を超えちゃってるんです。(MARIA)
— これだけ話してもらっておいて何なんですが、SIMI LABというグループをこのインタビューで初めて知る読者も多いと思うんです。これだけ個性的なメンバーが揃っているグループは本当に珍しいと思うので、そういう読者に向けて、改めて各自、自己紹介をして頂いてもよろしいですか?
オムスビーツ:オムスビーツです。ラップとトラックとDJをやってます。好きな和菓子は“すあま”です。青春時代は小学校に入ってすぐにいじめられてて、「黒人!」とか言われてました(笑)。
でも言われたらぶん殴ってたし、「このやろー!」って、普通に生きてきたんすよね。中学も学ラン着てたし。普通だったんですけど、ヒップホップを好きになってから勉強の方が危なくなってきちゃいまして。定時高校に通ってたんですが、そこで完全に頭悪くなりました。どんどん頭が悪くなって…というか定時の奴は絶対にみんな頭悪い(笑)。
後は黙々とヒップホップを聴きまくってただけで、途中からDJをはじめて、なんだかんだしてたらQNと会う前に一緒にやってた奴と知り合って。それから少しづつ色々なイベントに出る様になって、フリースタイルが好きなヤツと出合って、俺もフリースタイルに混ざって、そんなこんなしてる内にそれまではトラック作りかDJしかやる気にならなかったんだけど、SIMI LAB入ってやろうかなと思って始めた感じです。
マリア:てか、SIMI LABのタフさはいじめられてたからこそって部分もあるよね。
オムスビーツ:肌の色とかは完全に慣れだね。俺は“英語人”とか言われてた。
ディープライド:分かる。いじめてる奴らも子供だから、言葉がわかんなくて、外国人じゃなくて、英語人になるんだよね。
マリア:私は外人臭いって言われてた。学校の先生もグルになって、いじめてきて。「外人臭い」って誰かが言ったら、あっ私トーマスって名字なんですけど、「おい、トーマス窓空けろ」って! みんな座ってるのに、私が窓を開けたの。ありえなくない? それで慣れちゃったよね。
— では続いてディープライドさんお願いします。
ディープライド:俺はですね、ディープライド、22歳です。サッカー選手とかバスケット選手がボールと友達みたいな感じで、おれは言葉と友達だと思ってます。趣味は読書と映画と音楽と車とバイクです。ちょっと前まではお酒が好きだったんですけど、浸りすぎちゃったんで、逆にもうシラフの自分と向き合おうと思って、やめました。今まではシラフの自分から逃げてたんですけど、コレからは違うぜって感じです。
オムスビーツ:新生ディープライドです。
(一同笑)
ハイスペック:ハイスペックです。DJとトラックメイクをやってます。そんなもんですね。24歳なんですけど、自分はごく一般的な中学高校、専門へいって一回就職しています。なのでこの中ではすごく一般的な道を進んで来てるんですよ。でも途中で何か違う、生きてても楽しくないって思って、脱線。
— どんなお仕事をされてたんですか?
ハイスペック:整備士ですね。結構自慢なんですけど、俺2級整備士の資格を持ってて。でも3ヶ月で辞めましたね。ソッコーで。以上です。
マリア:マリアです。私は割と安定を求めて生きてて、厚生年金無いとキツイ感じです(笑)。
だから、がっつり仕事をやりながらラップもやってる感じ。私はメイクの専門学校に行ってたんですけど、ある時気づいたんですよ。「人に化粧するの全然好きじゃないな」って。それで内定までもらってたんですけど、「あ、無理だ」と思って。「私はラッパーになりたいんだよ!」って(笑)。
でも当時日本ではしがらみがありすぎたので、19歳の時にアラスカに行ったんですよ。おばちゃんがそっちにいたので、アラスカで働こうと思ったんです。それで片っ端から働かせてくれるところを探してたら、仲の良かった友人が服屋で働かせてくれて。それから1年くらいアラスカにいて日本に帰ってきて、久々にディープライドと会った。でもアラスカいるときも、毎日スカイプで3、4時間しゃべってたよね?
ディープライド:その時は俺が病んでて、ニートで毎日酔っぱらってるような状態でした。
マリア:成人式をきっかけに日本戻って来たんですけど、お母さんを見た瞬間に泣いちゃって。その時に思ったんです、「私は日本人だ」って。結局、アラスカに戻るのは辞めて、元々ラッパーになりたいっていうのもあったから、そこからはSIMI LABのみんなとトゥギャザーみたいな。そんな感じです。
QN:現在、住所不定無職のQNです。いや、家はあるんですけど、登録するのを忘れてて(笑)。
幼稚園では制服は絶対に着ないで、赤いタイツじゃないと幼稚園に行かない子供でした。で、小1、小2は女の子しか友達がいなくて、オカマって言われて、
マリア:なんかわかる。オカマっぽい。
QN:うるせぇ! それで小3から小6まで記憶になくて、中学はなんかみんなで遊ぶのが超嫌いになり始めて。例えば夜「銭湯行こうぜ」ってなって、行く気満々だったんだけど、10人とか大人数で行くとなったら、「あっ、じゃあ俺は行かない」みたいな。要はひねくれた子供でした(笑)。
さらに、中2の終わりくらいに生存確率が50%くらいの事故にあったんです。そこから色々と狂い始めて、「勉強とか絶対しない」とか言い出して。吹奏楽部やりながら、地元のヤンキーに混じって、超でかいボンタンを履いたりするふざけた中学生でしたね。高校生の時は常にヘッドホンを付けてて、外部を遮断(笑)。
音流れて無いのにずっと付けてて、昼休みになったらタバコ吸いにいってっていう生活。で、なんかどこにフィーリングが合ったのかは分からないんですけど、“みんなと同じ”って事が嫌いっていう共通項があって、
マリア:それがダサくてもね。
ディープライド:そう。SIMI LABはさ、集団行動出来ないやつらの集まりみたいな感じだよね。
QN:そんなこんなでSIMI LABのメンバーとはフィーリングがばっちりあって。で、形だけだけど、今はリーダーとしてやらせてもらっています。
ディープライド:1つ言い忘れてました。QNの事故の話で思い出したんだけど、俺も自暴自棄になって、精神安定剤とテキーラを一緒に飲んだことがあって。ああいうのをやると、自力で起きられないくらい超深く寝ちゃうんですけど、夢の中で女が近づいてきて自分の胸を手で刺して、心臓を手でつかまれたんですよ。それで飛び起きたんですけど、起きても心臓が痛くて、手とかも痺れてて。多分心臓がやわな人だったら死んでたなと…
オムスビーツ:えっ何それ? 自分、心臓タフですよアピール?
(一同笑)
— SIMI LABは同じレーベルにPSGがいたり、色々な才能に囲まれていると思うんですが、自分たち以外で面白いと思うグループやラッパーはいますか?
QN:本当に正直な事を言うと、自分達以外に面白いと思う人はいないですね。
ディープライド:みんなナルシストで、自分ら以外興味ない。自分が一番好き。特に俺はヒドいかもしれない(笑)。
オムスビーツ:でも俺達は俺達でそう思ってるけど、実際みんなそうなんじゃないですか?
マリア:SIMI LABとは少しかけ離れてしまうかもしれないですけど、Cherry Brownって知ってますか? 個人的にですけど、チェリーはすごく面白い。ブラックなハウスの人で、アニメおたくで、ももクロがすきな人なんですけど、私的には何か持ってる気がしていて。
オムスビーツ:そういう意味で言えば単純に好きなのは、有名でも何でも無いんですけど、カイアーク。ぐちゃぐちゃしたラップをするんだけど、それはなんか好き。
QN:僕の個人的なライバルはローパス。
オムスビーツ:ローパスね。ローパスはあえて言わずもがなって感じかと思った。
ディープライド:オレは全然身近じゃないんですけど、Snoop Doggですね。いつも気になってるし、いつか一緒にやりたい。自分の限界を決めちゃえば無理だって思うけど、実際やってみなきゃわかんない訳だしね。
マリア:大丈夫だよ! 私達日本代表だし。
— 今回のアルバムに客演が無いのも、自分たちが1番という想いが強いからでしょうか?
オムスビーツ:俺はそうですね。
QN:俺もそう。必要性を感じ無かった。
— もし今後コラボレーションをするとしたら、例えばSnoop Doggとか?
ディープライド:個人的には。あとはMC Eihtとか。
— 海外のアーティストなら可能性があると?
ディープライド:いや全然そういう訳では無くて。日本語ラップの人でもヤバいと思えば一緒にやりたいですね。
QN:ヤバいと思ってる人は沢山いるんだけど、フィーチャリングするとなると別だよね。変な話、フィーチャリングってヒップホップの文化みたいなものじゃないですか。独特な観点というか。
オムスビーツ:フィーチャリングって“絶対に必要なエッセンス”、が大事だと思うから、例えば歌を曲のイメージ通りに歌ってくれるとか、そういう人が見つかった時に自然としたいと思うんじゃないですかね。だからそういう人が今は単純にいないだけなんです。
— それでは最後に、今後の目標について伺ってもよろしいですか?
QN:とりあえず日本代表で。それから世界代表へ。
オムスビーツ:とりあえずね。
— それはスキル的に日本一という意味でしょうか? それともセールス面も含めて?
ディープライド:スキル的にも、セールス的にも。知名度も含めて。まずはそこからですね。
マリア:ジャンルもそうだし、メンバー自体も色んな国の血が混ざってるし、既に色々な要素が国を超えちゃってるんです。だからこれからも、そういう今まで分けられていたものを全部超えていける気がしています。