[2-tacs]本間良二が語る、「都会的アウトドアのすすめ」 presented by HIGH & KICKS

by Mastered編集部

2 / 4
ページ

MIM3631

本間:これは「媚態(びたい)」と読みます。要するに艶っぽさ。男の色気。これは若い男性の「中性的」だったり「フェミニンさ」とはニュアンスが違って、もう少し年齢が上の男性の色気。例えば、手のしわが色っぽいとかそういうのを表す言葉です。

次に「意気地」。女性に「意気地なし!」とか言われるとキツいですよね(笑)。

最後は「諦め」。この3つが九鬼さんが本の中で言っている粋の内包的構造となります。

unnamed-(2)

本間:続いて、「いき」の外縁的構造は一体なんなのかと言うと、「上品、下品、派手、地味、渋味、甘味」となります。

実は上品と下品の間には、中品があるんですけどね。これを仏教用語で上品、中品、下品(ぼん)と言います。この中に更に上中下があって、九品(くほん)と言うんですが、要は人の質とか物の質を表す時に使う言葉で、仏教では上品の方に行けば行く程、極楽浄土に行けると言われています。

次に、派手と地味。これって実は当て字で、派手っていうのはもともと「葉が出る」から派生した言葉なんです。地味っていうのは地の味、地面の味です。葉っぱが外に出るっていうのは積極性を表していて、根っこは自分自身に対しての言い方をしています。

そして、渋味、甘味。これは栗とか柿とかは、渋皮に包まれていて、その渋味の奥に甘味がある。で、渋味っていうのは自己保護で、甘味って言うのは積極性を表すと言われてます。

今話したこれらを表にすると、こういう四角が出来るんです。で、こう見てみると女性はやっぱり甘いものが好き、品のあるものが好き、それでいて、ちょっと派手。女性においては、「いき=かわいい」といっても差し支えないと思いますね。だから、女性はこのあたりが好きな傾向がありますよね。例えば[CHANEL]がやっていることも、この立方体に収まりますよね。上品で、ちょっと派手で、スウィート。かわいい。

一方、男性はどうでしょう。僕個人で言えば、意外と野暮なモノも好きで、地味なモノも好きで、渋みのあるモノも好き。皆さんも小学校の時は「う○ち」だとか「ち○こ」だとか下品なことを言って喜んでいたと思うんですが、たまにはやっぱり下品なモノも見たくなりますよね。すると、男性は大体やっぱりこういう立方体になります。

今こうして「いき」を立方体で視覚化したんですが、結局「いき」とはなんなのかと言うと、「いき」とは『都会的価値観』である訳です。

えっと、大丈夫ですか? 皆さん、付いてきてますか………?

一同笑

本間:ということで、「いき」は都会的価値観で形成されている。次はアウトドア、正確にはアウトドアアクティビティですね。アウトドアって言葉は外のことを指すので、都会におけるアウトドアっていうのは、要するにストリートです。

unnamed

本間:では、このストリートで生まれているモノってどういうものなのかなっていうと、これは芝公園の入り口ですが、スケーターが縁石を削った跡があります。つまり、アクティビティの跡ですね。

自分は高校生の時、スケーターだったんですが、ずーっとスケートボードばっかりしていると街の全てがセクションに見えて来る時期ってあるんですよ。何を見てもスケートボード用の目線でしか見られなくなってしまうんですが、こういう現象を僕は「無意識の意識化」と呼んでいます。別の言葉にするならサードアイ現象とでも言いましょうか。第3の目が開くってことで。例えば全然好きじゃなかった車を、ある日急に欲しくなって、街でその車が通るとついつい目で追ってしまうとか、そういうことと少し似ていますね。

unnamed-(5)

本間:これは兼六園の松。去年、初めて兼六園に行かせてもらったんですが、これ、よく盆栽に見られるテクニックで「盛り土」と言うんです。本来は根っこが出ている場所には土が被さっているんですよね。盛り土は、それをあえて土を盛った状態で植えて行って、育って来たところで土を掻き出して根を表に出すっていうテクニック。調べてみたらこれをやったのは13代藩主の人だそうで、約100年ぐらい前のこと。これって、確実に当時のアウトドアアクティビィティじゃないかなと思うんですよ。

全体的にこう見ていくと、不思議と何か共通してるなってことが見えてくる。全部、自己表現なんですよね。僕自身は山に登るってこと自体は自己表現にならないけれど、街におけるアウトドアアクティビティっていうのは自己表現に繋がると思っていて、それが面白いなって。

次のページに続きます。