大好評のお直し企画もいよいよ終盤戦に突入。続いてお届けするのは、ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館のほど近くに位置する「サルト(SARTO)」。その名の通り、テーラードアイテムのお直しに定評がある同店ですが、今回取材で伺った原宿店はカジュアル部門も充実。銀座店との棲み分けなどに付いて、フィッターの松尾さんにお話を伺ってきました。取材班も「え、こんなことが可能なんですか!?」と思わず声を上げてしまった驚愕のリフォーム施術例は必見です!
→その1.「直し屋ベルベルジン」編はこちら
→その2.「B*Reform Works Studio」編はこちら
→その3「縫い屋」編はこちらから
→その5.「コーダ洋服工房」編はこちらから
その4. サルトの場合
1. やはりサルトさんと言うとジャケットやスーツなど、テーラードアイテムに強い印象があるんですが、持ち込まれるモノの比率としてはどれくらいなんですか?
そうですね、実際にテーラードジャケットやスーツは多いです。多いというか、正確に言うと「ずっと多かった」という感じですかね。
うちはこの原宿店の他に銀座店があるんですけども、銀座店の方が出来た時に、お店の特徴やスタッフの性格で住み分けをしてもいいんじゃないかという話になりまして。それからは主に銀座店の方でスーツのお直しを提案させていただく、という形でやらせていただいています。
こちらの方は、もう少し裾野を広くしてやっていまして。カジュアルウェアをメインに、他では扱っていないようなレザーモノや重衣料系のアイテムまでお直ししています。そうしたところ、お客様もスーツは銀座店のほうに持っていかれる方がほとんどになりまして、そこから比率がすごく変わったんですよ。
だからこの店に限って言えば、今はスーツよりカジュアル系の方が多くなってますね。数字にすると大体カジュアルが6でスーツが4割くらい。シーズンによっては7対3ぐらいでカジュアル系の方が強い季節もありますよ。
2.どんなアイテムの持ち込みが多いんでしょうか?
いつでも多いのはやっぱりデニムですかね。デニムのリペアと、リペアに限らずシルエットを変えたいっていうのが、スーツ系のスラックスだけではなく、カジュアルのパンツ全般に広がってきているように感じます。
あとはやっぱりシャツですね。シャツはドレスもカジュアルも割とよくお持ちいただきます。ドレスシャツの場合はサイズ全体を直して欲しいという方が多いですね。首の太い方だと、首周りのサイズであわせると身幅が大きくなりすぎたりしますから。古着だと、妙に丈だけ長いっていうことで持って来られる方がほとんどですね。
冬になると、かなりヘビーなものもも含め、とにかくアウターが多いです。簡単なジッパー交換や、ちょっと色をクリーニングするといったメンテナンス的なことも含めてお直しをしますね。レザーの補色とか、そういう事もやっています。
それから、やるのは難しいんですけど、大掛かりなサイズ変更も結構あるんですよ。最近の服って段々と細め細めになってきてるんですけど、古着とか昔のものってどうしても肘がすごく大きかったり、肩幅が広すぎたりするんですよね。なので、レザーのスタジャンをちょっと小さくしたりとか、あとはダウンベストなんかもありましたね。肩とか身幅を全て詰めて、小さくしました。だから、ロゴの場所がちょっとおかしくなったりしちゃうんですけど(笑)。
あとはコートとか、レザーものも。(サンプルを見ながら)全然別モノみたいですよね(笑)。でもこういうのが意外に多いんですよ。もちろん手間が掛かっててしまうので、大体、重衣料系のサイズダウンだと3万円ぐらいは掛かっちゃいます。だからか、どうやっても3万円じゃ新しいものを買えないだろう、っていうものを皆さん持って来られます。
3.昔持っていた服を、「新しく買うよりは安いだろう」ということでお直しに持ってこられる方が多いという話を耳にするのですが、サルトさんでもそういう傾向はあるのでしょうか?
そういう傾向はすごく強いと思いますよ。同時に最近ちょくちょく目立つのが、古着も然りなんですけど、インターネットオークションとかアウトレットで買ったモノ。今ってそういう場所で安く服が買えるじゃないですか。
まぁあとはデザイン自体は良いんだけど、着てみたら今ひとつしっくりこない…というアイテムをご相談いただいたりとか。「なんかしっくりこないんですけど、コレってどこがおかしいんですかね?」みたいな感じで。
そういう、「新しいものを安く買って、自分の体型に合わせて着る」っていう傾向も最近増えてきましたよね。でも、その費用と効果っていうのが逆転してて、お直しにかける金額と買った値段が同等か、逆に直しの方が大きくなっちゃってたりする場合もあるんですけどね(笑)。でもそれがなんか今っぽいな〜とは思います。それだけ今のファッションは、サイジングっていう部分が重要視されているんでしょうね。
4.お客さんの男女比はどのくらいですか?
男女比でいうと7割〜8割近くは男性ですね。ただ最近、女性誌さんにも掲載いただいて、女性の方も少しずつ増えてきました。でも女性はお直しをするタイプと、しないタイプにかなりハッキリと別れるんですよね。若い方だと、すごく細い方やファッション関係の方、体型にコンプレックスを持たれてる方なんかが頻繁に来店されるように思います。
5. 今まで受けたお直しの中で「二度とやりたくないな」と思うような、一番大変だったモノを教えてください。
うーん、それは職人それぞれによって違うとは思いますけど、やっぱりお直しっていうのは製品になってるモノを1回解体して、また製品に近づけていくっていう作業なので正直、限界はありますよね。だから元の状態の7〜80%、せいぜい90%ぐらいに出来たらすごくいいかなってくらいで、100%に出来るモノっていうのはすごく少ないと思うんです。だから、それはその都度お客さんに伝えるようにはしてるんですけれども、限界があるって事を理解していただけない時は大変ですね。
6. 大体の納期を教えて頂けますか。
それはもうその時の感じで臨機応変にって感じにはなるんですが、裾あげに関してはお客さんの要望に出来るだけ応えるようにしています。「今日中に!」って事だったらなんとかしてやります(笑)。
大手セレクトショップのお直しも多く手がけるだけに、トレンドにも柔軟に対応した施術が可能なサルト。サイジングで困ったら、まずは松尾さんに相談してみましょう!
「複雑なリフォームもここなら任せられる」という安心感すら感じさせる、美意識の高い店内。試着室はもちろん、リフォーム例のサンプル写真も充実しているので、はじめてのお直しにも最適です。
住所:東京都渋谷区神宮前2-18-5 3F →MAP
電話:03-3408-3982
営業時間:11:00〜19:30(日曜・祝日:11:00〜19:00)
定休日:水曜日
http://www.sarto.jp/