裾上げからリフォームまで!信頼できる「お直し屋」はここだ! 〜 その5.「コーダ洋服工房」

by Mastered編集部

諸事情により随分時間がかかってしまいましたが、お直し屋特集もついにフィナーレ。大トリを飾っていただくのは、30年以上にわたり大手セレクトショップをはじめ業界関係者から厚い信頼を得ている老舗お直し屋、コーダ洋服工房です。

下北沢からほど近い池ノ上の地に店舗を構える、知る人ぞ知るといった存在ですが、その技術・規模ともに都内トップクラス。今ではすっかりおなじみとなったダメージデニムの風合いを残した裾上げなどにもいち早く対応するなど、日本のファッションシーンを影から支える存在と言っても過言ではない同社を率いる、代表の古宇田弘さんにお話を伺ってきました。

→その1.「直し屋ベルベルジン」編はこちらから
→その2.「B*Reform Works Studio」編はこちらから
→その3「縫い屋」編はこちらから
→その4.「サルト」編はこちらから

その5. コーダ洋服工房の場合

1. お店をはじめた時期と経緯を教えてください。

池ノ上の駅から続く道沿いに佇む レンガ造りの建物が目印。 巨大な木製の看板にも注目!

池ノ上の駅から続く道沿いに佇む
レンガ造りの建物が目印。
巨大な木製の看板にも注目!

ゆとりのある店内には、 もちろん試着室も完備。

ゆとりのある店内には、
もちろん試着室も完備。

最初はウチの親父が新橋でテーラーとして始めたんです。昭和11年っていう話だから、1936年ぐらいですね。それから僕の代になって、直し専門っていう形になりました。なので、歴史的には結構長いんです。
お直しをするようになった経緯としては、元々知り合いだったネクタイで有名なブランドの社長さんから、ちょうど直し屋さんを探しているところだったいう、とあるセレクトショップさんを紹介してもらいまして。そこである程度信頼していただけたのか、そのショップから独立して立ち上げられた某店や、他のセレクトショップさんからもお話をいただくようになり、仕事をさせてもらうようになった形です。

2. お店からの商品と一般のお客さんからの持込みでは、どちらの方が多いですか?

直接持ってくるお客さんは、ウチの場合全体の1割にも満たないかもしれないですね。場所柄か、昔からそんなに多くは無かったんですが、最近はとくに少ない感じがします。原因はわからないですけど、今は皆さん、時間があんまり無くなっちゃってるから、昔のような感じでは無くなってきてるのかもしれませんね。

3. どんなアイテムを直すことが多いですか?

ウチは袖とか胴詰めとか、ジャケット類が多いですね。ジャケットとかスーツのお直しについては、ある程度相談しながらやりたいっていう方が多いですから。
新品と古着の割合としては、新品が3〜4割ぐらいじゃないですかね。ただ、新品の割合は増えましたよ。アウトレットなんかで買う人が増えたってことでしょうか。

4.得意なお直しはありますか?

ダメージデニムの裾上げ例。 表側からも裾上げの跡が全くわかりませんが…

ダメージデニムの裾上げ例。
表側からも裾上げの跡が全くわかりませんが…

なんと、ロールアップしても 裾上げの痕跡は一切なし!

なんと、ロールアップしても
裾上げの痕跡は一切なし!

デニムの裾上げについては、特許を取ろうと思ったくらいのことがあるんですけどね。最初から裾にダメージ加工がしてあるデニムってあるじゃないですか。あの裾の感じを残したまま、つなげて上げるっていうのを10年ぐらい前からやってて。当時はテレビでも取り上げられたぐらいなんです。表から見たら(裾上げしていることが)絶対わからないような仕上げ方っていうので。全国から反響があって、ジーパンが山ほど送られてきたんですよ(笑)。
また、最近ではその方法もさらに進化しているんで、他所じゃ真似できないと思います。普通、どこのお直し屋でも繋ぐところを大体2ミリぐらいずらして重ねて縫うんですけど、うちはそれをしていないんです。この前サンプルをお客さんのところに持っていったら、みんなビックリしてましたよ。前のやり方だと裏返すと繋いだのがわかっちゃうんだけど、今はロールアップして履くことも多いから、それじゃダメだと思って考えたんですよね。モノによって出来ない事もありますけど、今のところ他では出来ない技術だと思います。もちろん、ジーパンだけじゃなく、パンツ全般に応用できますよ。
他には、今、ジャケットの本開きを手穴でやるっていう事もある程度のレベルに到達したので、それもウチの売り物にしようかなと思ってます。どこにでも技術者がいるっていうわけじゃないですからね。だからこそ、これなら世間的にAクラスで通るだろうっていう技術を習得させたんです。不景気になるとわざわざ手穴なんかやる人は少ないんですけど、でも、人によっては必要でしょ?

5.今まで受けたお直しの中で「二度とやりたくないな」と思うような、一番大変だったモノを教えてください。

うーん、大変だったというか、嬉しかったのはクロムハーツのレザーパンツ。ライダースのパンツですね。あれを東北の方が送ってきて、「幅を詰めてくれ」っていうんですけど、膝のところにクロスのモチーフがついているんで、なかなか大変なんですよ。その方は以前、アメリカのクロムハーツに送ったみたいなんですけど、戻ってくるまでに1年ぐらい時間がかかったのと、値段がわからないってことで、今度はウチに。すごく試行錯誤したんですけど、なんとかやってみたらすごく喜んでくれて。
そうしたらその人が今度はライダースジャケットを持ってきてくれて、それを今やってるところです。そういう、皆さんが困っている事の解決というのは、とても挑戦しがいがありますよね。最初にパンツをやったときも、色々問題があったんだけどやってみたらキレイにできたんですよ。それでお客さんも喜んでくれたし。
もちろんクロムハーツは高価なモノなので、色々と指示を書いてもらったメモを一緒に送ってもらって、それを元にこちらから電話で確認して、っていう作業を何回か繰り返してやりました。そういうことを地道にやっていくことが、これからの時代大事なことだと思ってるんですよね。

6. お直し屋として、インターネットとの付き合い方についてどう考えてらっしゃいますか?

クロムハーツの件もそうですけど、顔の見えないお客さんっていうのはなかなか難しいんですよね。「2センチ詰めてほしい」というオーダーをいただいて、実際そのとおりに直して納品したんですけど、お客さんからは「詰まってない」って言われちゃったりしたこともあって。そういうときの対応なんかを考えると、いろいろ乗り越えなきゃいけないことがありますよね。かといって、トラブル防止の為にあれこれ細かく記した規約に同意してもらうっていうのも、なんだかなぁって思うんです。電話で対応してる分には感情も伝わるのでわかるんですけど、メールではわかりづらいですから。だから実際、店頭に来てもらえる人を大事にしていこうかなと思ってるんですよね。かといってまったく閉ざす、というわけではないのですが…その辺のバランス取りが難しいですね。

7. 今回他のところにもお話を伺って多かったのが、昔着ていた服を今のサイジングに直す、という人が増えてきているという話だったんですが、実際どうでしょうか?

ウチはセレクトショップさんなどからの受注がメインなので、そういうケースは少ないですね。それに今は新しいものでも安いですから。僕自身、新しく買うよりも古いものを直した方が安いって思ったこともあるけど、やっぱり元々のパターンがあるので新品と全く同じようにはできないんですよ。なので、そういう大幅なお直しっていうのはお客さんにも薦めにくいですね。
ウチで最近増えてるのは、全国にいる洋服好きの人が、地元のお直し屋さんではできないことを注文いただく、っていうことですかね。この前は富山の洋服屋さんから電話があって、なんでも富山にはチェーンステッチのできるミシンがないって言うんですよ。そんなことはありえないと思うんですが(笑)。送料も往復で2,000円ぐらいかかってしまうんですけど、それでもやりたいって人がいる、ということで、お受けしました。ジャケットの本開きなんかも、青森とか盛岡とかから送ってこられるんですけど、そういうのを出来るところがなかなかないんですよね。

8. コーダ洋服工房さんならではの特徴はどんなところでしょうか?

日本のファッション界をずっと見守ってきた 代表の古宇田弘さん。

日本のファッション界をずっと見守ってきた
代表の古宇田弘さん。

ウチは部門によって作業チームが分かれているので、それだけ専門性が高く、お客さんの要望にも応えやすいんじゃないかな、というのが1番ですね。あとはスタッフがみんな良い仕事をしたいと思っていて、それが特徴になってますから。
職人はベテランから若い人までまんべんなく、80名ほどいます。みんな働きやすい会社だって言ってくれてますね。ちょっと甘いって言われちゃいますけど(笑)。
僕は人から何か言われるのが嫌いなんですよ。他の人もそうだと思っているので、なるべくあれこれ言わないで、自主性に任せるようにしています。だから会社も結構適当なんです。「80人もいると大変でしょう」ってよく言われるんですけど、全然そんなことはなくて。僕はそういうことにタッチしていませんから。例えば、普段10時に出勤してくる人が、忙しいときに8〜9時に出てきたりするのを特別管理したりはしません。みんな、そこにいる人たちがそれぞれ考えて、ほとんど自主的にやってるんですよね。だからそういう点では楽ですよね。逆に仕事が終われば早く帰っちゃう人もいますし。そういうことで、精神的自由はあると思うんですよね。
僕も一番嫌ですもん、管理されるのは。ただ、全部自主的にやるっていうのも、それはそれで難しいですけどね。

あと、納期についてもお客さんの要望に応じて、早く仕上げたりもしますよ。だから「すぐできる」っていうことで、普段は他所を使っているスタイリストの人でも、どうしてもって時はウチに来たりしますね。

それと、こういうご時世なので、今の仕事のレベルを維持したうえで、100円でも値下げできる方法を考えてて。もちろんできないものもあるけど、できるものはしたいなと。100mを10秒で走ってたのを9秒にするというか、そういうことが出来ればいいなぁと思って日々努力しています。

というわけで、業界を代表する老舗お直し屋さんに締めていただいた今回の特集、いかがでしたでしょうか? 袖丈の1センチにこだわってこそおしゃれ上級者。今回ご紹介した5店はどこも確かな仕事をしてくれるところばかりなので、サイジングで困ったら是非足を運んでみてください。

コーダ洋服工房

今回はいくつかある工房のうちのひとつを見学させていただきました(メイン画像)が、実際目の当たりにするとその規模感は圧倒的。場所柄、なにかのついでというのはなかなか難しいかもしれませんが、ファッションのプロ達からの信頼を集める同店の技術は、一度経験してみる価値アリです。

住所:東京都世田谷区代沢2-37-15 三益ビル →MAP
電話:03-3414-4817
営業時間:平日 10:00〜19:00/土曜 10:00〜18:00
定休日:日曜・祝日・年末年始
http://co-dako-bo.com/

「Mastered」は、
2017年5月までEYESCREAM.JPだったサイトが生まれ変わった、
新しいファッション&カルチャーメディアです。