2019年LAクラフトビールの旅 前編

by Yu Onoda and Keita Miki

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— お2人は1週間かけて、西海岸のLA、サンディエゴ、ポートランドを回られたんですよね。ブルワリーが多数存在するサンディエゴ、同じくブルワリーが多数あって、ビアバーナ(”ビールの涅槃”を意味する”Beer” + ”Nirvana”の造語)と呼ばれるポートランド行きはよく分かるんですけど、ロサンゼルスはアメリカのクラフトビールの流れでは新興の地ですよね?

大曽根:そうですね。まず、ビールを輸入するとなると、コストや繊細なビールのコンディション維持の面において、日本により近い西海岸は東海岸よりハードルが低いんですよ。そのうえで、クラフトビールの流れを見ていると、もともとは郊外で発展を遂げてきた産業だったんですけど、近年はそれがインナーシティに移行しつつあって、その最先端がLAとニューヨークなんです。日本のクラフトビール好きが何を求めているかというと新しい情報だったりするので、ネットの情報だけでは分からない最新事情はお店をやっていくうえで必要だと感じたので、LAを視察したかったんです。

村越:どんな場所にあって、どんな人が働いているか。客層はどんな感じなのか。そういういうことはネットから分からないですし、ネットの情報はいい部分だけを切り取ったものばかりで裏切られることも多いので、実際に足を運ぶ必要があったんです。

— そんなわけで、この特集ではクラフトビール界の新しい動きとして、お2人が視察してきたLAのインナーシティと郊外のブルワリーやビール関連のカルチャースポットをご紹介いただきたいのですが、まず、LAのインナーシティ、ダウンタウンはかつて治安がよろしくないエリアでしたよね。それが1999年に再開発を推進する法律が施行されたことがターニングポイントとなり、イーストロンドンやウィリアムズバーグ、ブルックリンのように、新たな文化を発信する街に生まれ変わりつつあると言われています。

大曽根:まだ、その名残もあったりはするんですけど、治安はかなり改善され、街の再開発も進んでいて、古民家改造やリノベーションじゃないですけど、廃工場の有効活用みたいな感じで、新しいブルワリーが次々誕生しているんです。