Kick a ShowとSam is Ohmが貫き続ける「逆張り」の美学

by Yu Onoda and Keita Miki

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— そして、GAGLEのHUNGER氏をフィーチャーした4曲目の”A Little Bit Summer”と5曲目のDaft Punk”Something About Us”のカバーは、R&Bの跳ねたビートではなく、ダウンテンポのビートで歌っているところがKick a Showの逆張り感を象徴していますよね。

Sam is Ohm:その2曲は僕がプロデュースしたんですけど、まさに跳ねないビートのKick a Showがテーマでした。僕らの根底にはダンスミュージックがあって、ドラムが肝だったりするんですけど、その2曲は踊れる曲であることを全く意識せず、そのうえで”A Little Bit Of Summer”に関しては、Kick a Showの内面に初めてフォーカスしました。

Kick a Show:HUNGERさんに関しては、僕が新潟にいた時、働いていたカフェのスタッフが全員、Mitsu The Beatsさんの大ファンだったんです。お店の周年パーティの時にMitsu The Beatsさんを何度か呼んでいたので、そこでご本人と顔見知りになって。それから時間が経って、去年のりんご音楽祭でGAGLEの前に僕がライブをやる順番だったんですけど、GAGLEが会場に向かう車のなかで僕の話をしてくれたそうで。でも、Mitsu The BeatsさんもまさかKick a Showが知り合いのカフェ店員だとは知らなくて、楽屋でお会いした際に驚かれたという(笑)。HUNGERさんはその時に紹介してもらったんです。

Sam is Ohm:”A Little Bit Summer”はKick a Showが生まれ育った佐渡について歌った曲だったりするんですけど、誰かに海の景色を歌ってもらいたいという話になり、HUNGERさんに声をかけさせてもらったんです。

Kick a Show:僕とHUNGERさんが思う海って違うと思うんですよ。僕は日本海、HUNGERさんは太平洋。日本海は海に夕日が沈むんですけど、朝日は海面から昇らないので、僕にとって海はしっとりチルになるのに対して、太平洋はその逆でアッパーなイメージがあって。だから、HUNGERさんをフィーチャーすることで面白いバランスの曲になるんじゃないかなって。

— 以上の5曲を通じて、新しい表現を模索しつつ、Ohmくんは、Kick a Showの総合プロデューサーとして、KEN THE 390ほかを手がけるビートメイカーとして、逆張りの発想を常に意識されていますよね。

Sam is Ohm:そう、それこそが僕の役割なんですよね。例えば、KEN THE 390さんのプロデュースでも今までにないアフロっぽい提示をしてみたり、逆張りの発想という意味ではKick a Showでも外部のプロデュース曲でも一緒っていう。

Kick a Show:だから、逆張りの音楽をやりたい方、時代のカウンターを提示したい方はSam is Ohmにぜひ声をかけていただきたいですね(笑)。