せっかくだから目立って欲しい
— リフレクターを使っているブランドの中で、特に気に入ってるところはありますか?
吉田:最近は、イルミナイト(illumiNITE)っていうアメリカのブランドが気になってます。とにかくすべてが光る。
— このマンホールのふたみたいな模様のところがすべて光るわけですか?
吉田:そうそうそう。
そういえばちょっと面白い話で、日本って色々厳しいみたいなんですよね。例えばスポーツブランドの中でもグローバルラインって言われている、国際的なラインがあるじゃないですか? ああいうのは結構イイモノをやってるのに、なんで日本は…って。
もちろんセンスもあるんでしょうけど、スポーツウェアっていろんな規定が厳しいから、そこがネックみたいなんですよね。
— そういうのはそれぞれのスポーツ協会的なところがダメ出しをするんですか?
吉田:おそらく。それで「その作りだとダメなんですよ」って言われちゃう。僕らは純粋なスポーツウェアを作りたいわけじゃないから。でも、そういう所がグローバルラインとの違いを生むんだろうなぁ。
— では、サウンズグッドがスポーツブランドに別注という形で、もし先方の規定にそぐわないモデルを頼んだ場合は、NGが出てしまう場合もあるんですか?
吉田:それは通る場合と通らない場合があるんですよね。言ってみたら、僕らは何のスポーツにも関係していないアイテムを、スポーツブランドに生産をお願いしたいわけじゃないですか?
でも、やっぱりブランド側はスポーツっていう要素が背景にあって、公式に作ったモノを出したいんですよ。例えばランニングウェアなんだけどオシャレで目立つ、っていう風になってくると結構難しいみたいで。「いいじゃん、そんなの」って僕たちの感覚では思うんだけど、ダメみたい。それで3回くらい流れてます。でも、そういう壁も面白かったり。
— やりがいがありそうですね。
吉田:いつも先方に伺って別注の話をするんですけど、感覚が違うんですよね。今やってる企画なんかも、ナイロンが超軽かったりするんです。普通のナイロンなんかより全然。それをファッションアイテムに落とし込んだらヤバいなぁって思ったりしてるんですけど。そういう風に考えていくと、やっぱりリフレクターが面白くて。
— また急に話が戻ってきましたね(笑)
吉田:なので、やっぱりこのイルミナイトとかは、なんでサンプル買わなかったんだろうって後悔してます。やっと店頭に入ってきたんですけど、「これは大至急もっとやってくれ」って伝えてます。
— このイルミナイトは他のショップでも展開してるんですか?
吉田:日本に代理店とかが無いブランドなんで詳しくは分からないんですけど、あんまりないと思います。
これとか、超光るんですよ。たぶんロードとかで入るときのオーバーシューズなんですけど。リフレクターってちゃんと見ると気持ち悪くて。どんどん表情を変えるから。本当に面白いです。もうリフレクターに首ったけです。
— 完全にハマってますね(笑)
吉田:基本的にミーハーですからね。何でも好きだし。だから走りもするし、自転車も乗るし、ジムも行くし。
そうそう、リフレクターが気になりだしたきっかけになったのが、皇居の周りをサラリーマンとかOLが走ってる、いわゆるナイトランっていうやつで。やっぱり夜に目立ちたいと思ったら、圧倒的にリフレクターでしょ、と。
(一同笑)
— つい先ほどにも似たようなフレーズを聞いた気がします(笑)
吉田:でもせっかくだから目立って欲しいわけですよ。ていうか僕が目立ちたい。それなのにあんまりリフレクターってないんですよ。高いから。
— それは素材の原価として高い、ということですか?
吉田:はい。昔ネクサスセブン (NEXUSVII)とかもやってたし、ミズノクリエイションとか色んなブランドが総リフレクターなんかをやってるんですけど、アホみたいに高い。でも、このイルミナイトのイイのは安いところで。「うわぁ〜高ぇ!」っていうアイテムがない。
— でも、今は忙しくてあんまり夜遊びできてないんですよね?
吉田:うん、遊べてないです。でも遊ぶよ、年末だし。夜はどんどん出て行きますよ。そこで光るのがイイじゃんと。
— (笑)今日も、おでこ光ってますしね。
吉田:おでこも光ってる。光るものなら自分も光りたい、輝いていたい。
(一同笑)
— リフレクターを使ったものというと主にアウターが多くなると思うんですが、インナーはどんな気分になってきているんですか? 吉田さんの冬のスタイルというと、今まではレザーのアウターにカシミアニット、といった感じが定番でしたが…
吉田:確かにそうでした。今は…シャツをあまり着なくなりましたね。ジャージとかスウェットを着る機会が増えたせいですかね。ずっとシャツっ子だったので、今でも着るには着るんですけど。なんだろう…よりストレスを感じない服装になってきてます。一週間のうち5日くらいは。でも、「それじゃ、いかん」と思ってちゃんと着たりするようにはしてるんですけど。
— なるほど。そういえば今は何で通勤しているんですか?
吉田:電車ですよ。
— あれ、自転車はどうしたんですか?
吉田:ピスト盗まれたちゃったんですよ。
— えぇっ! 盗まれたんですか?
吉田:そうなんですよ。結構前に。
— となると、自転車に乗ってるからナイロンモノ、というような感じでもないんですね。
吉田:それはありますよ、実際は。
— きっかけとして、ということですか。
吉田:ですね。ピストもずっと乗ってましたし。「次これ買おう」って決めてるのもあるんですけど、ただ純粋にお金がないから買えない。
(一同笑)
吉田:でもピストに乗りはじめてからですからね、Supremeのアウターなんかを着るようになったのは。こういうナイロンモノをイイなぁと思うようになったのも。
— やっぱり、実が伴ってる感じですかね。
吉田:ライフスタイルに合わせて。って言いながら、シープスキンのブーツでもピストに乗ったりしてましたけど。でもやっぱりよりストレスのない方へ、っていう感じですね。
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