今後のANACHRONORMは、今回のイベントが最大のヒント
物づくりに真摯に向き合い今年で13年目となるANACHRONORMだが、以前本サイトでも紹介したように10年でひと区切りをつけたという。その際に作られた『10YEARS ANACHRONORM BOOK 2004-2014』は、田主さんにとって“補完”の意味を持ち、自身のリセットを込めたものだった。
「僕がデザイナーをしていた10年目までは、ストーリー性のある服の作り方をしていたんですけど、10年経ってデザイナーも変わってちょうど今、次の形になってきたところなんです。過渡期といいますか……。特に今回のこのイベントはかなりヒントになるんじゃないかなと思っています。今は物で溢れている時代なので、どんな物でも選ばなければすぐに手に入れることができる。だけど、本当にユーザーが喜んでくれる物って変わっていきている気がしていて」
「今みんなが価値を置くところってもっとオリジナル性や人の思いを感じるものなような気がします。そうすると“自分の物”っていう強い思いも入ってきますしね。ファッションの観点からそういうオリジナル性を追求したものを作っていくことが、僕らにもできるんじゃないかなって思っています」
田主さんは街のハブのようであり、常に彼の周りは賑やかだ。そんなユニークな彼が最近注目していることとについても伺った。
「最近、新井浩文がすごいですね。ANACHRONORMの『10YEARS ANACHRONORM BOOK 2004-2014』にもモデルとして出てもらっているんですが、今の彼の出方は以前にも増して振り切っているような気がします。彼とはANACHRONORMが立ち上がったぐらいに出会ったのですが、僕も良い意味で触発されていますよ。20代の頃尖っていたものが削られて、自然と自分の形を形成してきたなって。多分、あと数年ぐらいしたらもっと出来上がってくるんじゃないかなと期待しています(笑)」