Photo:Shota Kikuchi | Text&Edit:Atsushi Hasebe
クラムボンといえば、デビュー20年を超える今やベテランバンド。独自性溢れるオルタナティブなサウンドは多くのミュージックフリークに支持され続けており、昨今の若いバンドの中にはクラムボンからの影響を公言する者も少なくない。いわば、ミュージシャンズミュージシャン的な存在でもあるのだ。
CDを独自流通でリリースしたり、クラウドファンディングを活用したり、活動方法自体も常にオリジナルでオルタナティブ。
そんなクラムボンがCA4LAとコラボレーション。CD付きで帽子をリリースした。コラボハットの監修を担ったのは、帽子好きで知られるミト。
話を聞くと、そのこだわりっぷりは驚くほどだった。
— ミトさんには帽子のイメージがありますし、昔から帽子を被っておられましたよね。帽子はもともとお好きだったんですか?
ミト:そうですね。実は、うちのお袋が昔から帽子を集めるのが好きで、家中が帽子のケースだらけだったんですよ。うちの両親は演奏家をしており、毎日のように舞台に出てたんですが、そのための帽子が家にたくさんあったんです。女性の帽子って結構大きいじゃないですか。
— 特に舞台用ですと、羽が付いていたりしそうですしね。
ミト:そうそう。あれを入れる箱が大変で。それが100個、200個のレベルであって部屋中に転がっているのを見て育ちました。だからか、慣れ親しんではいましたね。よく帽子を譲り受けたり、買ってもらったりもしましたし。ラッキーなことに、そこそこ頭も小さかったので、だいたいのものは、入りました。女性ものも全然入りましたよ。それでよく被ってはいたんですけど、クラムボンを始めた頃に、キャスケットを被り始めました。当時髪も少し長かったですし、癖っ毛なので、髪の毛整えるくらいなら帽子を被っちゃえ、って感じでした。
— 分かります(笑)。帽子って楽ですよね。
ミト:でも、きっかけというと、やっぱりロックステディやモッズ的なファッションが好きだったこと。なのでモッズキャップとかキャスケットは気になっていました。クラムボンを結成して一年経たないくらいの頃からキャスケットを被るようになりましたね。
— そうして幼少の時からずっと帽子には触れてきたことが、今回帽子を作るにあたって、ディテールのこだわりとかに繋がったんですね。
ミト:どうなんですかね(笑)。
— すごく細かいところまで修正が入ったとお聞きしました(笑)。CA4LAの方も、いろんなコラボをやってきたけど、ミリ単位でここまで細かい指摘が入ったのは初めてだって驚かれてましたから。
ミト:キャスケットって、頭の被るところの大きさとか、つばの大きさとか、それによって、全然カタチが変わってしまうんですよ。ベースボールキャップとかだとそんなことはないと思うんですけど、キャスケットだと、クラウンの幅が大きいと、後ろに下がるので、顔の輪郭とかが違って見えますよね。自分は膨らみが狭くてあまり膨らまなくて、顔のディテールがなるべく変わらないものが好きだったんです。でも意外と、それって珍しくって、大体のキャスケットって、クラウンの部分が大きいんです。ともすれば、いわゆるラスタ的なスタイルというか、レゲエファッションのようなルードなイメージになってしまったりもして……。
— なるほど。そっちのイメージにしたくなかったんですね。
ミト:そうなんです。それを分かってくれる人って意外と少なくて。90年代後半にキャスケットが一時期流行ったんです。でも、その頃のキャスケットもやっぱり、ボリューミーなモノが多かった印象でしたね。当時は髪もクセが強くて少し長かったこともあって、レゲエファッション的に見られがちだったんです。でも自分的にはそうじゃなくて、もっとモダンなところを狙ってるんだけどなって。