BEAMS Tと共に探る、ロンドンストリートシーンの現在(後編)
~ スニーカー、スケート、異端の者。 ~

by Mastered編集部

90年代に僕らを魅了して止まなかったロンドンのストリートが、今再び面白い。Palace Skateboardsをはじめとした新世代の台頭が、ストリートシーン全体を活気づけ、2000年代以降にオープンしたユニークなショップ達がそのムードを後押し。近年、そんな昨今のロンドンストリートシーンにいち早く注目し、僕らにその魅力を伝えてくれているのが、当サイトでもお馴染みのBEAMS Tである。

前後編、2回に分けてお届けする本特集では、先日THE GOODHOOD STOREにて開催された人気イラストレーター、長場雄のアートショーの為に渡英したBEAMS Tチームに同行し、日本でも話題を呼んだ同アートショーの模様をお届けすると共に、BEAMS Tの周囲を賑わす、現在のロンドンストリートシーンのキーマン達への取材を敢行。

後編となる今回はロンドンのスニーカーシーンを語る上で欠かせないショップであり、5月28日(土)にリリースされる[SUICOKE(スイコック)]、BEAMS Tとのトリプルコラボレーションサンダルも話題を呼んでいる、老舗スニーカーショップ、FOOTPATROLのJohn BrotherhoodとJimmy Horrocksの独占インタビューからスタート。

前編はこちらから

Photo:Takanori Okuwaki、Text&Edit:Keita Miki

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日本では小さなショップでも、きちんと顧客がいて、カスタマーサービスも非常に充実している。そういった面をFOOTPATROLにも取り入れたかったんです。(John Brotherhood)

— まずはFOOTPATROLがスタートした経緯について伺えますでしょうか。

John: FOOTPATROLというショップ自体はマイケル・コップランとアフレイド・クックという人物が2002年にスタートさせたものなのですが、オリジナルのFOOTPATROLは2008年に閉店してしまいました。それを僕たちの親会社が買収し、2010年に再スタートさせたのが現在のFOOTPATROLになります。

— お2人はFOOTPATROLの中でそれぞれどのような役割を担っているのでしょうか?

Jimmy: 役職で言うとオペレーションマネージャーになりますね。スタッフが快適な環境で仕事が出来ているかどうか、システムはちゃんと機能しているかどうか、そういった会社全体の管理をしています。

John: 僕はバイヤーとブランドマネージャーという立ち位置。要するに、お店を格好良くするのが仕事です(笑)。

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— 現在のFOOTPATROLのショップコンセプトは?

John: オリジナルのFOOTPATROLはスニーカーをケージのようにディスプレイしていて、どちらかというとお客さんとのイントラクションは少ないショップだったのですが、再スタートしてからは日本の小さなブティックに着想を得て、大きくコンセプトを変えました。日本では小さなショップでも、きちんと顧客がいて、カスタマーサービスも非常に充実している。そういった面をFOOTPATROLにも取り入れたかったんです。

— FOOTPATROLと言えばガスマスクのアイコンが非常に印象的ですが、あれにはどんな意味が込められているのでしょう?

John: そもそも”FOOTPATROL”という言葉は、軍隊や警察が使用する言葉で、”見に行く”、”点検しに行く”といった意味があるのですが、ガスマスクのアイコンもそういったミリタリー的な要素の1つとして取り入れています。不思議なことにこれが若いお客さんにはとても響くようで、例えば昨年、[asics(アシックス)]とのコラボレーションモデルをリリースした際、インソールにガスマスクのロゴが入っているモノと入っていないモノ、2種類を用意したんです。すると、面白い事に、若いお客さんはみんなロゴ入りの方を買っていくんですよね。

— JohnさんはFOOTPATROL以前からスニーカー業界で働いていたと伺いました。

John: そうですね、2002年からSize?で働き始めて、ロンドンに来てからは2店舗でSize?のストアマネージャーを務めました。丁度その時にSize?がFOOTPATROLを買収する話を耳にし、ディレクション役を買って出たんです。元々、大学ではグラフィックデザインを専攻していて、スニーカーが特段好きだった訳では無いのですが、Size?で働き始めてからは、どっぷりスニーカー浸けの毎日ですね(笑)。

— Jimmyさんは日本のスニーカーマーケットについて、どのような印象を抱いていますか?

Jimmy: 一言で言えばコレクター文化。彼らのスニーカーに対する本気具合は尋常ではありません(笑)。スニーカーに限った話では無く、何をするにしても特化していて、強いこだわりを持った人が多いというのが日本の面白いところですよね。コーヒー屋さん1つとっても、コーヒーカップからコーヒー豆まで、全部自分たちに合うモノを選んでいて、そういった部分は非常に参考になります。

— イギリスのスニーカーマーケットとの違いは?

Jimmy: もちろんイギリスにもコレクターはいますし、日本人と似た感覚を持っている人達もいるのですが、日本のマーケットよりも時代の変化に影響を受けやすいように思います。

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— 日本では90年代に大きなスニーカーブームがあり、2000年代に一度落ち着いて、2010年代、再びブームにという流れがありますが、ロンドンでの状況はいかがですか?

John: 大きな流れとしては全く同じだと思います。FOOTPATROLが閉店した2008年頃が一番落ち着いていたかもしれませんね。でも今はジェネレーションが変わって、スニーカーブランドの種類も増え、それに応えるかのようにお客さんも戻って来ています。マーケットの規模としてはイギリスよりも日本の方が遙かに大きいですし、極端にスニーカーショップが増えたとか、そういう目に見える変化は少ないですけどね。

— 2010年にショップがスタートして今年で6年目。振り返ってみていかがですか?

John: 買収してリスタートという形のせいもあり、もちろん最初は「どうせ量販店みたいになるんだろ」なんてネガティブな意見を言われることもありました。ですが、システム、ロジスティック、カスタマーサービス、あらゆる面を見直し、FOOTPATROLの良い部分を伸ばしていった結果、今に至ります。組織が大きくなった今でもインディペンデントなマインドをキープ出来ている点にも満足していますし、ショップを中心に良いコミュニティを形成出来ていると思います。

— 今後、店舗数を増やしていくことは頭の中にありますか?

Jimmy: まだ具体的なプランはありませんが、アメリカや日本、中国への出店も考えています。けれど、国によってスニーカーの捉え方は大きく異なりますし、まだ具体的には何も動いていませんね。

各19,440円(税込)

各19,440円(税込)


— BEAMS Tとのコラボレーションについて教えてください。

John: BEAMSの皆さんとは、僕らが日本に行った時にお店に買い物をしにいって、それをキッカケに知り合いました。日本に旅行に行くと、必ず友達に「BEAMSでソックスを買ってきて欲しい」と言われるんですが、今回のコラボレーションでは、それを思い出して、ソックスをシューズにしようと思ったんです。結果として出来上がった[SUICOKE]のサンダルは、僕らのルーツとも言えるミリタリー要素のある1足に仕上がりました。

— [SUICOKE]のようなインディペンデントなフットウェアブランドで注目しているブランドが何かあれば教えてください。

John: [Padmore & Barnes]にはずっと注目していますし、最近で言うと[KARHU(カルフ)]というフィンランドのシューズブランドも面白いですよ。今後はシューズだけでなく、様々なカテゴリーのブランドとコラボレーションの予定があるので、楽しみにしていてください。

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商品のお問い合わせ先

BEAMS T HARAJUKU
東京都渋谷区神宮前3-25-15 1F
TEL:03-3470-8601
http://www.beams.co.jp/

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