2015年の注目アニメを一挙に紹介!
『このアニメがすごい!かもしれない 2015』。

by Mastered編集部

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アニオタの、アニオタによる、アニオタのための三者鼎談

阿久津:こんにちは! 阿久津ゆりえと申します。今はモデル業を中心に、朝の情報番組『ZIP!』でリポーターをしています! アニメについては全然分からないので、今日は色々と勉強させて頂ければと思います(笑)。

:森俊輔と申します! ファッションブランドのPR業をメインで行いながら、今日一緒に出演させていただいている黒崎さんや、タレントさんのスタイリストとしても活動しております。小さい頃からアニメを愛していて、昨シーズンも地上波で放送されたアニメは全て見ました。本日はよろしくお願いします!

黒崎:こんにちは。黒崎真音と申します。私はいわゆる”アニソンシンガー”として、さまざまなアニメ作品のオープニングテーマやエンディングテーマを歌わせて頂いております。自分で作詞もしております。あだ名は「ヲ嬢」です(笑)。今日はアニメの魅力について、たくさんお話が出来ればと思っています。

阿久津:早速ですが、アニメ好きな方とお話をしていると、よく「二次元」とか「三次元」って言葉を耳にします。簡潔に説明すると、「二次元」と「三次元」の違いって何なんですか?

黒崎:う~ん………奥行きの問題かな。奥行きがないことによって、平面世界では現実には無い”夢”が広がるんですよね。自分で好きな世界観を想像して良いというか。

:その”夢”が最大限に膨らんだ結果、同人誌とかにも繋がるんでしょうね。先日もコミケ(コミックマーケット)が開催されたばかりですが、阿久津さんはコミケに足を運んだことはありますか?

阿久津:ないですね………。

黒崎:行きましょう! 人生で一度は経験してもらいたいですね。女性が行くのなら、夏より冬がオススメです。

阿久津:どうしてですか?

:夏のコミケで男性とすれ違うと、大抵は汗でヌルっとします(笑)。僕自身、夏のコミケで女性とすれ違う時は申し訳ない気持ちで一杯です。

黒崎:でも、ポジティブに捉えれば、それくらいの興奮と高揚感が入り交じっているってことですよね。

阿久津:じゃ、じゃあ、ひとまずは冬のコミケに行ってみようかな………(笑)。あと「中二病」って言葉もよく聞くんですけど、これはどういう意味なんですか? なんとなく意味は分かるんですが、いまいち使い方が分からなくて。

黒崎:アニメの世界ではですね、誰しもが中学2年生くらいの時まで「自分は実はヒーローなんじゃないか」って信じているんですよ。例えば、どこか別の世界にある日引きずり込まれて、その世界で悪者と戦うんじゃないか………とか、そういう想いを心のどこかに抱いている訳です。なので、アニメの世界では中学二年生、14歳が主人公となっている作品が非常に多い。『新世紀エヴァンゲリオン』、『美少女戦士 セーラームーン』、『ふしぎ遊戯』、全て主人公は14歳です。それくらいの年齢が、二次元の世界と精通する心を持ち合わせたギリギリのラインなんじゃないかとも言われているんですよね。

阿久津:なるほど………。そう考えると「中二病」って言葉はそこまで悪い意味では無いのかもしれませんね。私も子供の頃はテレビアニメを見ていた記憶があるんですけど、大人になるにつれてアニメを見なくなったんです。お二人はどうして大人になった今でもアニメを見続けているんですか?

黒崎:私は、純粋に小さい頃からアニメとゲームが大好きなんです。学校から帰ってくるとすぐにアニメかゲーム(笑)。ちなみに、小学生の頃はファイナルファンタジーシリーズに熱中していまして、その影響でアニメソングやゲームソングを歌いたいと思い、今はそういうお仕事をさせていただいているんですけど、私の場合は物心ついた頃からそういったものに囲まれていたので、今でもアニメを見るってことが日常生活の一部なんですよね。

:僕も黒崎さんと同じですね。小さい頃、親からは「新聞やニュースを見なさい」って耳にたこが出来るほど言われていたんですけど、僕は新聞やニュースから学ぶものは全部アニメにも詰まっている気がしていて。アニメを1本見ることで、人生を1つ経験できると感じたんですよ。その世界の主人公として、そのキャラクターの目線に立って、その世界を疑似体験する。そこには恋愛も政治も戦争も含まれています。アニメって結構、世界観が深いものが多いんです。

阿久津:でもそういう点でいうと映画でも良い訳じゃないですか。私はアニメじゃなくて映画に行くんですけど、逆に映画とかはあまり見ないんですか?

:実写の映画はあまり見ないですね………。時間的な問題もあるように思います。大抵の映画は2時間~3時間くらいの尺に収まりますよね。それだと少し結論を急ぎ過ぎているような気がしてしまって。もっとゆっくり考えて見たいから、週に1回約30分ではありますけど、次の話が放送されるまでの間、考える時間をもらえるアニメの方が僕には向いているのかもしれません。

阿久津:つまりはアニメの方が時間がたっぷりとある分、世界観をより掘り下げやすいってことになるのかな?

:全12話で1回あたり30分としても5時間半。自ずとその世界観に浸る時間も長くはなりますよね。

阿久津:1つ1つの作品にのめり込んでいる時間が長いから、自然と現実世界と一体になる機会も多くなるって訳ですね。

:もちろんアニメというのは誰かが創った世界であって、登場するキャラクターもクリエイターが考えたものであることは分かっているんですが、僕らからするとそんなことはどうでも良いんですよね。声優さんが発したキャラクターの発言は、僕らの中ではそのキャラクターオリジナルの言葉になるし、アニメが終わった後でも登場キャラクターたちは僕らの頭の中で稼働しています。それはもう、登場キャラクター達が人格を持っているってことになるんです。

黒崎:作品が終わってしまうと、登場するキャラクターも含めて、自分たちの頭の中以外での発展は無くなってしまう訳で、そのある種の”儚さ”というのが自分の中にずっしりと残るんですよね。だからグッズを買って、自分の身の回りに置くことで、そのキャラクターのエピソードを思い出し、”儚さ”を緩和しているのかもしれません。

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:昨年だと大体1クールで50本、1年間では実に200以上の作品が放送されています。阿久津さんはいわゆる「大人アニメ」と呼ばれる『AKIRA』や『新世紀エヴァンゲリオン』を多く見ると伺ったんですが、これらのアニメは、最後のエピソードへ向かうにつれて、気持ちを落とすような展開にしてきますよね。この頃からアニメの一技法として、主人公が葛藤しながら心理状況を深く掘り下げる形式のアニメが増えていきます。例えば、最近だと『魔法少女まどかマギカ(以下:まどマギ)』とかですね。

阿久津:あっ、それは私も見ましたよ! かなり衝撃的でした。

黒崎:絵とのギャップがすごいですもんね。完全なオリジナルアニメだったので、誰も結末を知らずにビックリっていう。

:ネット上でも大きな話題になりましたよね。虚淵玄さん(脚本家)とシャフト(アニメーションスタジオ)と蒼樹うめさん(漫画家・イラストレーター)で何かを作るらしいっていう話は。それが『まどマギ』だってことは放送されるまで、誰にも分からなかったんです。1話目から3話目の後半までは、メルヘンな可愛らしいビジュアルでゆるい展開だなぁ~と感じてたんですけど、そこから一気にシリアスな展開に転換するんですよね。シャフトは『化物語』も制作していますが、表現の方法が独特で、基本的にキャラクターをあまり動かさず、様々な視覚効果を使ってキャラクターの感情や動作を表現するんですよ。どちらのアニメにも言えますが、萌えキャラへの抵抗をストーリーや独特の表現で取り払うことに成功していますよね

黒崎:まさしく映像美。アニメ初心者にもオススメですね。

:あとは渡辺信一郎さんの作品もオススメですね。『カウボーイビバップ』、『サムライチャンプルー』、『坂道のアポロン』などを手掛けていますが、中でも『サムライチャンプルー』はサムライのロードムービーとヒップホップを掛け合わせたクールな作品です。

黒崎:『坂道のアポロン』は1960年代の九州を舞台に高校生がジャズバンドを組むお話。昔ながらの街並が視聴者にノスタルジックな想いを抱かせつつ、音楽がすごく本格的なんですよね。こんな音楽を作っているんだと、アニメを見ながら勉強になります。

:他にも渡辺監督の作品だと、昨年放送された『スペース☆ダンディ』も要チェックですね。これは皆さんが知っているアニメで例えるなら『サザエさん』みたいに1話完結型。第1話で、いきなり地球が爆発してエンディングを迎えたので、次回以降どうなるんだろうと思って見てみると、何事もなかったかのように地球が復活してるっていう。やりたい放題やるためのフラグなんて言われていますが、あれは斬新でしたね(笑)。今まで渡辺監督は「かっこいい大人」をイメージしたアニメ作ってきたと思うんが、『スペース☆ダンディ』では「かっこ悪い大人」をテーマに制作を行ったんだそうです。

黒崎:オープニングは岡村靖幸さん、エンディングはやくしまるえつこさんが担当していて、音楽面にも注目が集まりましたね。

:そうそう。菅野よう子さんをはじめ、ZEN-LA-ROCKさんやナンバーガールの元ボーカルの向井秀徳さん、m-floの☆Taku Takahashiさんなど著名なアーティストが劇中曲を手掛けていて、音楽ファンの間でも大きな話題となったんです。

黒崎:ゲームが原作となっているアニメも増えましたよね。私がオープニングを歌わせてもらっていた『グリザイアの果実』もそうですが、様々な悩みやトラウマを抱えた女の子たちが劇中で遭遇した出来事は、私たちの身にも起こりえそうなことだけに、色々と考えさせられることが多かったように思います。オープニング曲である”楽園の翼”を歌う時は、そういった葛藤やキャラクターの気持ちを考えながら歌っているつもりです。

:『Fate』シリーズもゲームが原作なんですよね。昨年、最新作が放送されていましたが、とにかく作画が綺麗で、戦闘シーンでも画がしっかりと綺麗に動くんです。まだ見たことない人は『Fate/Zero』から見始めるとすんなりと入れるかと思います。

阿久津:なるほど~、ひと口にアニメと言っても本当に色々な作品があるんですね!

:僕と黒崎さんが最近ハマっているのは『ラブライブ!』というアニメです。

阿久津:あ、出てくるキャラクターがみんな可愛いやつですよね。

:可愛いだけじゃないんですよ! アイドルをテーマにした青春スポ根もので、映画で例えるなら『ウォーターボーイズ』に近いテンションですね。『ラブライブ!』の世界では高校の部活動の一環としてアイドル活動をしているんですけど、主人公たちが在籍している高校が財政難で潰れそうになるんですよ。でも、その高校にはアイドル部がなくて、学校興しのためにアイドル活動を3人で始めるんです。 そして、彼女たちの熱い想いが広がり、段々とメンバーが増えていくんですけど………。第2期では大変なことになってましたよね。

黒崎:とにかく主人公たちの頑張る姿っていうのが泣けるんですよね。みんながみんな成功する訳では無く、多くの障壁にぶつかりながら、しっかりとそれを乗り越えていくところに共感出来るんです。あと、『ラブライブ!』って最初は「電撃G’s magazine」の一企画だったんですよ。その片端の何ページかのマンガから始まったということで、作品自体にも下積みがあるんです。それが、現実のアイドルの下積み時代にリンクしていて、アイドルブームとも繋がっているように思うんです。

:もともと有名な声優さんも出演していないんですよね。基本的に新人の声優さんで構成されているので、その声優さんたちも応援したくなると。回を追うごとに段々と魅力的な声になっていくんですが、実際に作中と同じようにライブも開催するんですよ。ダンスや演出の再現度もアニメに忠実ですし、時間とともに一緒に成長する姿を楽しめたっていうところも大きいと思いますね。ちなみに、6月15日から劇場版が公開される予定でして、そちらも非常に楽しみです。

阿久津:家に帰ったら見てみます!

:『ラブライブ!』然り、黒崎さん然りですが、最近はアニメが表舞台に出てくる機会が飛躍的に多くなりましたよね。まずは黒崎さんのライブに行きましょう! 燃えますよ!!

阿久津:ライブ、是非みんなで行きましょう!