ファッションスナップの新潮流 ~5人のフォトグラファーが見る、それぞれのストリートとは~

by Mastered編集部

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雑誌を見てもWEBメディアを見ても、ストリート・スナップがメディアの中で重宝されているコンテンツであるということに違いは無い。全国を縦断して撮影されたスナップや世界各国を巡ったストリート・スナップは、日常の着こなしにヒントを与えてくれるものとしてこれまで注目されてきた。ここ数年のWEB文化の発達や数々のSNSが浸透したことによって、情報を発信するということのハードルは下がったのかもしれない。ストリート・フォトグラファーもその昨今の流れの中でより細分化され、写真を通して個人の哲学を追求するものも増えているが、その一方で「ストリート・フォトグラファー」と呼ばれる人が数えきれないほど多く増えているという点もまた事実と言える。

EYESCREAM 2014年9月号ではそんな新たな流れを迎えている「ストリート・フォトグラファー」にフォーカス。それぞれのストリート・フォトグラファーが「誰でも情報を発信できる時代」で何にこだわりを持ち、ストリート・スナップのあり方についてどう考えているのかということに迫っている。そしてそれに連動し、今回Masteredでは、本誌には登場していないストリート・フォトグラファー5人にインタビューを敢行。撮影スタイルも国籍も違うものの、ストリートをフィールドに日々活動する彼らそれぞれが考える「ストリート」とは一体何なのか。2ページ以降も併せてご覧頂きたい。

Text & Edit:Koji Ashizawa

『EYESCREAM』9月号 ストリート・フォトグラファー9選

le21eme
Le 21 ème
http://le-21eme.com/

本誌9月号の表紙を飾ったアダム・カッツ・シンディングが手掛けるウェブサイト「Le 21 ème」。NYを拠点にしながらも、世界各地のファッションウィークに足を運ぶ彼。彼自身はサイトには登場しないものの、そのスタイリッシュな装いにも注目が集まっている。注目のフォトグラファーである彼が語るストリートフォトグラファーのあり方と自身のスタイル論の全貌は本誌にて。

jakandjil

JAK & JIL
http://jakandjil.com/

まだストリート・スタイル・フォトグラファーという存在が目新しかった2008年にフォトグラファーのトミー・トンがスタートした「JAK & JIL」はファッションブログの先駆けともいえる存在。インパクトの強さと繊細さを併せ持った写真が特徴の、“ストリートフォトグラファーのパイオニア”とも言える彼のインタビューも誌面に収録。

imkoo

I’M KOO
http://www.koo.im/

ストリート・フォトグラファーが大きなムーブメントになりつつある韓国出身のフォトグラファー、ヤン・ジュン・クー。拠点をNYに移した彼は今や『HYPEBEAST』『GQ USA』に作品を提供しているストリートフォトグラファーの注目株と言える存在だ。自身のサイト「I’M KOO」では個性的なスタイリングが光る多種多様な人々を紹介しているが、その人数の多さは圧巻。ニック・ウースターやJimmy Qといったストリートフォトグラファーのアイコン的存在の人々から、水原希子など日本でお馴染みの面々も登場している。

guerreism

guerreisms
http://guerreisms.com/

2008年に自身のブログ「guerreisms」をスタートさせたカール・エドウィン・ギア。一貫して「モダンとクラシカル」をテーマに切り取る彼だが、彼自身のクラシカルな装いもまた高い注目を集めている。「ただの純粋素朴なスタイル」にはシャッターを切らないという彼。クラシカルスタイルを左右する、“Casual Fly”という彼独自の美学をもってインタビューに応じてくれた。

bc

On The Street
http://www.nytimes.com/video/on-the-street/

もはや説明不要、とも言えるかも知れないストリート・フォトグラファー界の生きるレジェンド、ビル・カニンガム。85歳を迎える今も尚、WEB版ニューヨークタイムスにて毎週ビデオブログを更新するバイタリティを持つ彼こそ、まさしく唯一無二のフォトグラファーと言えるはず。日本でも大きな評判を呼んだドキュメンタリーを通して垣間見れた、ストイックにファッションを追い続ける姿勢とチャーミングな表情で魅了してくれる彼の魅力も誌面にて紹介。

locals

THE LOCALS
http://www.thelocals.dk/

デンマーク版『VOGUE』や『GQ』など様々なメディアで撮影や寄稿を行うフォトグラファー、セーレン・ジェプセンが、2007年よりコペンハーゲンを拠点に始動した『THE LOCALS』。ファッションスナップのみならず、世界各地のおススメスポットを紹介するコーナー「12HRS」もまた必見。世界のどの都市に行っても「ローカル=地元」と言ってのけてしまうかのような彼のスケールの大きな世界観を覗いてみてはいかがだろう。

mitt

men in this town
http://www.meninthistown.com/

シドニー発の「men in this town」では、ロンドン、NYなど世界各地の多種多様なメンズスタイルを紹介している。自身の撮影哲学を本誌に語ってくれたファウンダーのジュゼッペ・サンタマリアはこれまでにオーストラリア版『GQ』や『Monocle Magazine』などのメディアと仕事をともにしてきたアートディレクター兼フォトグラファーだが、9月には初の書籍『men in this town』も発売されるとのことで、その内容も注目したいところだ。

mrtuft

Mr. Tuft
http://mrtuft.tumblr.com/

弱冠21歳ながらミラノを拠点にファッションブログ『Mr. Tuft』を開設したステファノ・カルローニ。幼い年齢ながらファッション好きが高じてブログを始めた彼、プロのフォトグラファーと張り合うにはハンデとも取られるその若さと経験値を承知の彼は、自身の立ち位置と強みを、冷静かつ反骨精神たっぷりに語ってくれた。

te

The Expressionist
http://anthonybila.tumblr.com/

南アフリカとファッションがすぐさま結びつく人はあまりいないかもしれない。だが発展途上の国々でこそ、インターネットを通じたファッションとの繋がりに大きな意味があるのだ。フォトグラファー、アンソニー・ビラが立ち上げた「The Expressionist」に掲載されている写真からは、先進国のストリート・フォトには見られない力強さとファッションを楽しむ純粋な想いが伝わってくる。そんなピュアな感情こそ、ストリートファッションが本来持つ魅力といえるのではないだろうか。

次のページはインタビュー一人目、まずはパリを拠点に活動するフォトグラファーを紹介。『#1. Nabile Quenum | J’ai Perdu Ma Veste』