Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake
新宿から総武線で2駅。名物や名店の印象は薄いながら、その卓越した交通の便を活かしてハイソサエティな方向へ舵切りをしたがっている、そんな様子が窺える中野区は東中野。
整備された歩道や清潔感のある駅ビルからは、明らかに沿線の大久保や中野、高円寺との意図的な差別化を感じ取れるが、ポレポレ東中野や能楽堂といった文化的なスペース、そして映画のセットばりに昭和の飲み屋街然としたムーンロードなど、中央線の系譜がそこかしこに漂うハイブリッドな街並みは、ある種リアルな”東京っぽさ”がある。
山手通りと線路の交差によって街は東西南北に区切られ、駅前からの移動には階段や坂の利用が不可欠となっている。どうにも、年配のひとが生活しにくそうな雰囲気。
そんな東中野駅を東口から出て、腕白少年たち御用達の定食屋、大盛軒を右手に見つつ、30段ほどの階段をくだった所にあるのが、今回の舞台、あんぽんたんだ。