めくるめく「スナック」の世界。東京のスナック 第6回:杉並区高円寺・萩

by Nobuyuki Shigetake

諸説はあるけど、全国に約16万軒以上存在していると言われており、コンビニが全国で約6万軒だから、その2倍以上の数。途轍もない数字であることは、言うまでもない。日本中"どこにでもある"けど、日本にしかない、日本独自の文化。それがスナックだ。
日常的に目にしているはずなのに、僕たちは思っている以上に、その実状を知らない。それどころか、一度も行ったことない、なんて人も多いのではないだろうか。それは、もしかしたらとても損をしているかもしれない。
この連載では、東京近郊のスナックにフォーカスし、名物ママへのインタビューや店舗の情報など、スナックに行く上で知っておいた方が良いことを、撮り下ろしの写真とともにご紹介。第6回は、杉並区のスナック、萩。さあ、重い扉を開き、中へと入ってみよう。

Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake

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再び高円寺へ

当連載の第1回を飾ったスナックのんのに続き、またしても、高円寺に戻ってきてしまった。

高円寺駅前。

テナント募集も多く、循環の早さが窺い知れる。

かつて紹介したように、どこかサブカルタウンとしての側面が強い高円寺だが、ご存知の通り、中央線内屈指の飲んだくれファーストな街でもある。平日、休日問わず昼間から飲める店も多く、しかもその大半がお手頃価格。また、日が落ちた頃の南北の駅前ロータリーには、ストロング系缶チューハイを手にした老若男女が散見され、盛り上がりは終電後まで続くが、誰もそのことを咎めようとはしない。

北口駅前ロータリー。

南口、高円寺ストリート。

夏は毎年こんな感じだ。しかし、兎にも角にも今年の夏も暑すぎる。できれば室内で飲みたい。できれば誰にも邪魔されず、できればリーズナブルに。

そんな折に、今回来店したスナック萩の情報を、偶然にも手に入れた。そして、その異質さに驚愕し、僕たちはすぐに店へと向かった。

駅徒歩3分ほどの好立地。

「あぁ電車から見たことがあるな」と言うのがまず最初の感想。南口側、ラブホテル・Zooのネオン看板のふもと辺りに、店名が書かれた看板を、一瞬だけ確認することができる。

「ぱっと見は普通のスナックだけどな……」などと考えながら扉を開けると、うるさいくらいの静寂。冷蔵庫の音って、こんなに大きかったんだな。

奥から百恵がこっちを見ている。

清潔かつ整頓された店内。

話には聞いていたものの、目の前の景色に混乱しながらとりあえずソファに腰をかける。そう、ここは無人スナック。メニューもなければ、お客さんもいない。そして、ママもいない。