Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake
当連載の第1回を飾ったスナックのんのに続き、またしても、高円寺に戻ってきてしまった。
かつて紹介したように、どこかサブカルタウンとしての側面が強い高円寺だが、ご存知の通り、中央線内屈指の飲んだくれファーストな街でもある。平日、休日問わず昼間から飲める店も多く、しかもその大半がお手頃価格。また、日が落ちた頃の南北の駅前ロータリーには、ストロング系缶チューハイを手にした老若男女が散見され、盛り上がりは終電後まで続くが、誰もそのことを咎めようとはしない。
夏は毎年こんな感じだ。しかし、兎にも角にも今年の夏も暑すぎる。できれば室内で飲みたい。できれば誰にも邪魔されず、できればリーズナブルに。
そんな折に、今回来店したスナック萩の情報を、偶然にも手に入れた。そして、その異質さに驚愕し、僕たちはすぐに店へと向かった。
「あぁ電車から見たことがあるな」と言うのがまず最初の感想。南口側、ラブホテル・Zooのネオン看板のふもと辺りに、店名が書かれた看板を、一瞬だけ確認することができる。
「ぱっと見は普通のスナックだけどな……」などと考えながら扉を開けると、うるさいくらいの静寂。冷蔵庫の音って、こんなに大きかったんだな。
話には聞いていたものの、目の前の景色に混乱しながらとりあえずソファに腰をかける。そう、ここは無人スナック。メニューもなければ、お客さんもいない。そして、ママもいない。