めくるめく「スナック」の世界。東京のスナック 第5回:豊島区南大塚・浮舟

by Nobuyuki Shigetake and Mastered編集部

諸説はあるけど、全国に約16万軒以上存在していると言われており、コンビニが全国で約6万軒だから、その2倍以上の数。途轍もない数字であることは、言うまでもない。日本中"どこにでもある"けど、日本にしかない、日本独自の文化。それがスナックだ。
日常的に目にしているはずなのに、僕たちは思っている以上に、その実状を知らない。それどころか、一度も行ったことない、なんて人も多いのではないだろうか。それは、もしかしたらとても損をしているかもしれない。
この連載では、東京近郊のスナックにフォーカスし、名物ママへのインタビューや店舗の情報など、スナックに行く上で知っておいた方が良いことを、撮り下ろしの写真とともにご紹介。第5回は、豊島区南大塚のスナック、浮舟。さあ、重い扉を開き、中へと入ってみよう。

Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake

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猥雑な街、大塚

雨の月曜日。赤青緑のネオンが水たまりに反射し、より一層妖艶な雰囲気を醸し出す大塚。大塚といえば、ピンク・サロンをはじめとする各種風俗が盛んな脂ぎった街というイメージが強いが、そのルーツは、この街がかつて花街だったことに由来しているといって、差し支えはないだろう。

いたるところにマッポが。

バッティングセンター、ゲーセン、パチスロからなる複合型エンタテイメント施設、ひょうたん島の横道にあたる、三業通りと名付けられたこの通りは、料亭、待合い、芸妓置屋が営業を許可されたエリアであり、いわゆる”芸者遊び”なんかが行われていたエリアだ。

まるで都心とは思えない、国道沿いの雰囲気。

そんなかつての面影をより一層色濃く感じさせる年季が入った鰻屋、料亭なんかも散見されるこの通りを巣鴨方面へとしばらく歩いていくと、浮舟はある。まるで、水面に浮かぶ小舟のように。