めくるめく「スナック」の世界。東京のスナック 第2回:中野区中野・スカーレット

by Nobuyuki Shigetake

諸説はあるけど、全国に約16万軒以上存在していると言われており、コンビニが全国で約6万軒だから、その2倍以上の数。途轍もない数字であることは、言うまでもない。日本中"どこにでもある"けど、日本にしかない、日本独自の文化。それがスナックだ。
日常的に目にしているはずなのに、僕たちは思っている以上に、その実状を知らない。それどころか、一度も行ったことない、なんて人も多いのではないだろうか。それは、もしかしたらとても損をしているかもしれない。
この連載では、東京近郊のスナックにフォーカスし、名物ママへのインタビューや店舗の情報など、スナックに行く上で知っておいた方が良いことを、撮り下ろしの写真とともにご紹介。第2回は、中野区中野のスナック、スカーレット。さあ、重い扉を開き、中へと入ってみよう。

Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake

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緋色を纏った、中野のレトロ空間

中心街には、こだわりのクラフトビールとフィッシュフライを名物としたヒップなスタンディング・バーや、ウッド調のインテリアで統一されたオーガニックな個人店などが軒を連ねる。ここ数年でガラッとハイソな雰囲気へとモデルチェンジした、JR中野駅周辺。

中野サンプラザの取り壊しも正式に決まってしまったことだし(とても残念です)、45番街無き今、昭和〜平成初期の面影が未だ色濃く残っているスポットといえば、”中野の九龍城”ことワールド会館、あるいは中野ブロードウェイくらいだろうか。

元来中野には、警察学校や、公営住宅、大手企業の社宅が多い。2019年の今では結びつき辛いけど、こういう場所に住んでいる人たちは、バブル当時”人一倍遊びにお金を使う人種”だった。そう語ってくれたのは、そんなバブル真っ只中に中野にオープンしたスナック、スカーレットのママだ。

「今の子たちは、遊び方が上品になったよね。時代が変わったのはもちろん分かるけど、20年前なんて本当に酷かったんだから!(笑)」

やや黄味かかったレッド、つまりスカーレットカラーで統一された店内の中央上部には、ミラーボールが光輝く。その真下には、無数に置かれたドリンクやリキュールの数々。辺りを見渡すと、ステージ、ギター、何に使うやら、民族衣装(?)も置いてある。

7色に煌くミラーボールが、非日常空間へと誘う。

「うちは、ドリンクは全部セルフサービスでやってもらってるの。でも、フードはどんどん出すからお腹すいてたら言ってね」

返事を待つことなく、チャーム、ピザ、いちご、マスカット、デンモク、マイク、さらに件の民族衣装が、次々とテーブルに運ばれてきた。どうやら、とんでもないところに来てしまったらしい。

市販のピザをアレンジした逸品。ペッパーが効いていて美味しかった。

セルフサービスのドリンク。飲み過ぎにはくれぐれもご注意を。