Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake
中心街には、こだわりのクラフトビールとフィッシュフライを名物としたヒップなスタンディング・バーや、ウッド調のインテリアで統一されたオーガニックな個人店などが軒を連ねる。ここ数年でガラッとハイソな雰囲気へとモデルチェンジした、JR中野駅周辺。
中野サンプラザの取り壊しも正式に決まってしまったことだし(とても残念です)、45番街無き今、昭和〜平成初期の面影が未だ色濃く残っているスポットといえば、”中野の九龍城”ことワールド会館、あるいは中野ブロードウェイくらいだろうか。
元来中野には、警察学校や、公営住宅、大手企業の社宅が多い。2019年の今では結びつき辛いけど、こういう場所に住んでいる人たちは、バブル当時”人一倍遊びにお金を使う人種”だった。そう語ってくれたのは、そんなバブル真っ只中に中野にオープンしたスナック、スカーレットのママだ。
「今の子たちは、遊び方が上品になったよね。時代が変わったのはもちろん分かるけど、20年前なんて本当に酷かったんだから!(笑)」
やや黄味かかったレッド、つまりスカーレットカラーで統一された店内の中央上部には、ミラーボールが光輝く。その真下には、無数に置かれたドリンクやリキュールの数々。辺りを見渡すと、ステージ、ギター、何に使うやら、民族衣装(?)も置いてある。
「うちは、ドリンクは全部セルフサービスでやってもらってるの。でも、フードはどんどん出すからお腹すいてたら言ってね」
返事を待つことなく、チャーム、ピザ、いちご、マスカット、デンモク、マイク、さらに件の民族衣装が、次々とテーブルに運ばれてきた。どうやら、とんでもないところに来てしまったらしい。