その道のプロが選んだ愛用品を大公開!『俺の商売道具』 第8回 たなかみさき

by Mastered編集部

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— イラストを描き始めたきっかけを教えてください。

幼少期から絵を描くことが好きで、他に好きなものがなかったので(笑)、ほとんど選択肢がなかったんですよね。気付いたらイラストレーターを志していました。

— これまでに影響を受けた作品はありますか?

丸尾末広さんの漫画をよく読んでいて、昔からイラストを真似して描いていました。あとは元はっぴいえんどの松本隆さんの詩がすごい好きです。詩を読んだり、手掛けた音楽を聴いたりすると、タイムスリップした気分になるんです。昔のことを思い巡らせて、体験してないことを想像するっていう行為がすごい好きなんです。詩を見て、曲を聴くことが絵を描くことに似てるんです。昭和の歌などは常に頭の中にあります。今のテイストになったのも、趣味がきっかけなんです。

— 転換期はいつぐらいだったんですか?

大学3年生ぐらいでしたね。そのときまでは丸尾末広さんの影響で、エログロのジャンルを版画で作っていました。一部の人にはウケるんですが、もっと多くの人に私のイラスト見てもらいたいって思ったんです。それから、真逆のファッション誌に載っているようなオシャレなイラストに変えていったんです。Instagramにも定期的にアップしていったら、イラストのお仕事も増えました。そこに、自分の中にあったセクシャルな要素をプラスして、今のような状態になりました。

— なぜ、ファッション要素を取り入れようと思ったんですか?

元々ファッションが好きだったので、イラストにも反映させようと思いまして。洋服のディテールなどの繊細な部分も描きたかったんです。

— たなかさんイチオシのファッションブランドはありますか?

ドメスティックブランドと古着が好きですね。なかでも、mame(マメ)やTOGA(トーガ)、HYKE(ハイク)などが好きです。

— たなかさんのイラストにはドキッとする描写も含まれていますが、セクシャルに着眼した理由はあるんですか?

幼少期は女の子になりたくない病だったんです(笑)黒いランドセルを背負って、登校するような子で、親も心配してました。自分の性の立ち位置がよくわからなくて、昔からよく考えていたんです。それをイラストで表現したらどうなんだろうって思って、描き始めました。
自分や人のセクシャルな面を意識して過ごしていて、イラストのモチーフになるのは自分の中では当たり前のように感じています。皆さんも意識した事のあるものだとも思っています。女性目線のエロだけではなく、男性目線の感じもよく描くのは幼少期の経験も生きているのかもしれません。それとただスケベなだけです(笑)。

— 男女のイラストにも惹きつけられるんですが、元ネタはあるんでしょうか?

実体験と理想が半々くらいです。例えば悔しそうにキスをする人が過去にいて、イラストのキャプションにも”悔しげに口づけ”ってつけたんですけど、そういった記憶は沢山ストックしていて、いつでもイラストに落とし込めるようにしています。見る方にはご自身の経験や思い出と照らし合わせていただけるよう、フィクションとノンフィクションを混ぜるようにしています。

— たなかさんはInstagramを通してイラストを発信していますが、こだわりなどありますか?

単純にSNSは便利なので。個展も大事だと思うんですが、早さが足りないなと思います。Instagramにイラストを載せるようになってから、キャプションをつけるようになりました。今は横へのスライド機能も付いているので、展示したイラストを観る感覚に近いように思います。新鮮なイラストをお届けする、ツール的な役割を担っていますよね。季節感のあるものや、今自分が感じたことをイラストにして、すぐに発信できるってすごく便利じゃないですか。

— 今気になるコト・モノを教えてください。

今は骨董品などの古いモノが気になっています。今まで人が使っていたモノに込められた、想いとか情緒を感じたりするのが好きなので、今後は昔のモノを収集したいなと。

—今後の展望を教えてください。

展示や出版が控えています。後は、他ジャンルの方々とのコラボレーションすると、どんな化学反応が起こるか見てみたいですね。

作品集『ずっと一緒にいられない』

1,600円 + 税

たなかみさき初の作品集。
50の描き下ろしイラストと言葉。
誰もが感じた事のある、あの青春を追い求めて。