Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake
— TOMASONさんは何年生まれですか?
TOMASON:1992年生まれです。
— 幼い頃に流行していたもので印象に残っているものってありますか?
TOMASON:世代的にはベイブレードがど真ん中ですかね。
— 当時、全然買えなかったですよね。
TOMASON:そう。コロコロコミックの“応募者全員サービス“でようやく手に入れて嬉しかったことを覚えています。それが“ガンメタドラグーン(編集部注:正式名称はドラグーンSブラックメッキバージョン)“ってやつで、地元の先輩のベイブレードと勝負させたら、その人が強すぎて一発で粉々にされましたね。
— (笑)。あとはミニ四駆やクラッシュギア、ゾイドとか。
TOMASON:ゾイド! 懐かしいですね。
— TOMASONさんは、モンスターをメインに描いていますけど、幼少期からそういったモノたちに造形美を感じていたんですね。
TOMASON:そうですね。テレビゲームだとPlay Stationの『モンスターファーム』とかも好きでした。
— あぁ、ジハードとかいましたよね。
TOMASON:ジハード?
— この他に、入れ込んできたカルチャーってありますか?
TOMASON:大きく分けると、アメコミと妖怪ですかね。僕、妖怪検定初級持ってるんですよ。
— 妖怪検定?
TOMASON:“妖怪を通して日本の文化を知ろう“ってコンセプトで、水木しげるの地元の境港市が主宰してる、履歴書にも書ける公式の資格です。『妖怪図鑑』を教本に勉強して、当時は地元の岐阜にいたんですけど、調布の市役所まで試験を受けに行きました。
— 妖怪といえば、コロナで話題になっている“アマビエ“とか。
TOMASON:その辺も試験に出てきましたね。こんな形でバズるとは思ってなかったですけど。
— 妖怪とアメコミと聞くと、確かに、TOMASONさんの作品は妖怪のようなおどろおどろしさと、アメコミのキャラクターのようなポップさがハイブリッドしているように思います。これらを好むようになったきっかけについて教えてください。
TOMASON:昔からヒーロー作品を見てても、ちょっとグロテスクで、ヒール感のあるような敵キャラにばかり惹かれてたんですよね。『スパイダーマン』シリーズのヴェノムとか。
— それはなぜですか?
TOMASON:振り返ってみると、幼い頃、みんなが公園のジャングルジムで遊んでいるのを見て、誰も遊んでいないシーソーで遊びたくなるような子どもだったんですよね。“メインじゃないもの“や”注目されていないもの“にエモーションを嗅ぎ取り、感情移入していました。みんなはウルトラマンや仮面ライダーになりたがっていたけど、僕は敵キャラや妖怪になりたかったですし。それの延長線というか、拗らせた結果って感じですね。
— なるほど。
TOMASON:みんなが楽しんでいる物事を一緒になって楽しむよりも、その反対側を見たいというか。怖いもの見たさや、好奇心ですね。新しい遊びを見つけようと思い立ち、近所で釣ったブルーギル(編集部注:食用魚ではありません)を焼いて食べてみたり、裏山に放置された資材を使って本格的な秘密基地を作ったり。これは結果として“カルト教団のアジト“と間違われて、地元に注意喚起のチラシが配られました。
— (笑)。
TOMASON:あとは「駄菓子を焼いて食べると美味しそうだな」と思って空き地で駄菓子を焼いてたら放火魔と間違われたりもしましたね。
— では、幼い頃にアメコミや妖怪に触れてから、実際にモンスターを描き始めたきっかけは?
TOMASON:絵を描くのは好きだったので、最初は模写というか、真似して描くところから始めました。中学生の頃には“同級生をモンスターに例えたら“って感じでオリジナルのモンスターを描き始めて、それを自室の壁全面に貼りまくってましたね。
— 周りの友人には見せていたんですか?
TOMASON:当時は誰にも見せていなかったんですよ。というのも、美術部だったわけでもなかったし、思春期の男からすると”イラストが描ける”ってあまり誇れる特技ではなかったんですよね。この頃って、“足が速い“とか“ドッジボールが強い“みたいな、フィジカル寄りのやつが称賛されるじゃないですか。だから、家でこっそり描いていた感じです。