大きくてまろやかな玉子焼き。老舗の味
最初は食事処から始まり、嘉永3年(1850年)に弁当屋として創業した。それが、震災や空襲を乗り越え、現在まで続いている。その歳月約170年。日本橋にある仕出し弁当専門店・弁松は、東京が誇る弁当屋の老舗。その弁松から、同店のスタンダードとして有名な『並六』を取り上げる。
弁松といえば、創業当時からほぼ変わることがない、醤油と砂糖の効いた甘辛く濃い味付け。ここのブランドともいえる味だが、好き嫌いが大きく別れる。
しかし、玉子焼きだけは違う。弁松の甘辛い味付けが苦手な人はもちろん、万人に受けがよい。普通の玉子焼きより出汁が多く、卵は岩手県産のものを使っている。ふんわりとした口触りで、辛くもなく、他のおかずとバランスがいい。何より、一番存在感のある見た目が魅力的だ。
弁松の弁当は、レンジで温めるのはナンセンスで、冷めたままの状態で食べるのが正しい。あるお客さんは、おかずを酒のアテにしたりするそうだ。
今後も、この味を変えるつもりはないと、社長の樋口さんは言う。食べるとつい、創業当時に想いを馳せてしまう歴史ある味は、なかなか趣深く、品格がある。
【お問い合わせ先】
日本橋弁松総本店
TEL:03-3279-2361
http://www.benmatsu.com/index.html