Vol.93 Ooshima Shigeru & Bushmind(2×4) – 人気DJのMIX音源を毎月配信!『Mastered Mix Archives』

by Yu Onoda and Keita Miki

MasteredがレコメンドするDJのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する『Mastered Mix Archives』。今回ご紹介するのは、噂が噂を呼んでいる大阪のパーティ『2×4』を主宰するDJのOoshima Shigeru。
BushmindとOoshima Shigeruという東京、大阪を代表する2人のDJが現場で出会い、意気投合し、2011年に不定期開催でスタートしたパーティ『2×4』。先鋭的なテクノ、ハウスやベースミュージック、ヒップホップ、R&Bなど、ジャンルを超えて選び抜かれたトラックが飛び交う自由度の高い空間は、2018年に拠点を東心斎橋のClub STOMPに移したことで、多くのダンスミュージックフリークの知るところとなり、一気に人気パーティーとなった。
Bushmindも参加してくれた今回のインタビューでは、10代の時にクラストコアのバンドの一員としてヨーロッパツアーを経験したOoshima Shigeruのキャリアを掘り下げながら、新たな熱狂を生み出しつつある『2×4』の秘密に迫ると共に、Ooshima ShigeruにDJミックスの制作を依頼。フリーフォームなクロスオーバー感覚を体現する音の連なりが刺激的なパーティーへの期待感を大いに高めてくれるはずだ。

Photo:Miyu Terasawa | Interview&Text : Yu Onoda | Edit:Keita Miki

※ミックス音源はこちら!(ストリーミングのみ)

「大阪もフロアで「いったらんかい!」って叫ぶ人ばかりではないんですけどね(笑)。(Ooshima Shigeru)」

— BushmindとOoshima Shigeruくんのお2人が大阪で開催している『2×4』は、東京をはじめ、全国各地からパーティフリークが駆けつけている“ヤバい”パーティとして噂になっていますよね。まず、東京在住のBushmindと大阪在住のOoshimaくんが一緒にパーティを始めることになった経緯を教えてください。

Ooshima:2011年だったと思うんですけど、大阪・難波の(今はなき)club SAOMAIで東心斎橋のバー、atmosphäreの2周年パーティをやった時にDJで一緒になったのが最初の出会いだよね?

Bushmind:そうそう。atmosphäreが出来たことで、俺のなかで大阪との距離がぐっと縮まって、一時は毎月遊びに行ってましたね。そこでは色んな人を紹介してもらったし、その周年パーティでShigeruくんを初めて紹介されて、その時のDJにかなり感化されたんですよ。

Ooshima:俺もタカアキくん(Bushmind)と歳も同じやし、DJも最高やったから、一緒に遊んでいるうちに「大阪でレギュラーやってまう?」って感じになって。で、最初はミナミにあったCompufunk Recordsでパーティを始めたんですけど、「2×4」っていう名前は俺とタカアキくんがどっちも4時間ずつDJするパーティとして始まったところから来ていて、何回かやった後、やっぱり、ゲストを入れようってことになった(笑)。

Bushmind:そう。最初の設定は3回目くらいで挫折したよね(笑)。

Ooshima:あと、Compufunkでやってた頃は、Luke Hess(ルーク・ヘス)、Kevin Reynolds(ケヴィン・レイノルズ)、Tevo Howard(テヴォ・ハワード)といった海外のDJにもゲストで出てもらったりもして。

Bushmind:パーティ自体、年に2、3回のペースだったしね。

Ooshima:そうこうしているうちにCompufunkがミナミから移転することになったので、店長が客として遊びに来てくれていたClub STOMPにホームグラウンドを移して。その一発目のパーティが2018年2月だったんですけど、そこから開催の頻度が上がって、実はまだようやく1年なんですよ。ただ、OVERALLとBUSHMINDのミックスCD『Over The Borders』のリリースパーティを兼ねた移転初回以降、それ以前とはかなり違うノリになったんですよね。

Bushmind:22時オープンで最初の1時間はCRONOSFADERっていう大阪のヒップホップDJと僕のB2Bでヒップホップをかけていたんですけど、その後、ASPARAがハウスをかけても根本的なノリは変わらず、そこから朝8時までずっと踊り続けてたやつもいたし。フロアのリアクションにはかなり驚かされましたね。

— ヒップホップもダンスミュージックも関係なく自由度の高いプレイを許容する懐の深いフロアだった、と。

Ooshima:そして、その回が評判になって、nutsmanRamzaをゲストに迎えた7月の回にすごいことになった(笑)。

Bushmind:なんせ、オープンから1時間で、フロアが埋まって、箱のキャパシティ的にもこれ以上は無理でしょっていう集客でしたし、パーティの熱もものすごいものがあって、今の東京ではなかなか成立しにくい空気が生まれたんですよね。

Ooshima:けど、意識的に混ぜようとしたわけではなく、自然にそうなったというか、その時に合計5時間プレイしたnutsmanのDJがそうやけど、ホンマにいいプレイをしたら、お客さんがすごい付いてきてくれたんですよね。

— 夜遊び好きなら、誰しも覚えがあると思うんですけど、状況やタイミング、来ているお客さん、箱のスタッフ、DJのフロアを読むセンスやスキル、偶然や必然……全てが合致した時の奇跡的なパーティ・マジックが起こったという?

Bushmind:まぁ、早い話がそういうことなんだと思います。

Ooshima:あと、Compufunkの最終回からStompの初回まで、だいぶ時間が空いたんですけど、その間に大阪のシーンの雰囲気も大分変わったんですよ。Stompという箱は昔から若いお客さんが多いお店ではあるんやけど、彼らがジャンルにとらわれず、色んな音楽の最先端や面白いところを聴いて、いい感じで遊んでくれているところもあって。そういう子たちが汚くて狭い(笑)、人がパンパンのフロアで遊んでくれている。nutsmanのDJではChildish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)の”This Is America”とBO GUMBOSの”魚ごっこ”、今のハウス、テクノが一緒にかかってて、みんな同じように踊ってるわけですよ(笑)。そういう方向性が『2×4』にはすごくハマったし、回を重ねる毎にパーティの色が濃くなっていって。

Bushmind:だから、毎回、DJしに行くのが楽しみなんですよ。仮に『2×4』を東京のクラブに持ってきて、出張開催してもStompの時と同じようなノリには絶対なりませんからね。

— だからこそ、『2×4』の独自な音楽や雰囲気を味わいたいパーティフリークが各地から集結しているわけですね。

Bushmind:東京と大阪の音楽風土の違い、自分の知っている大阪は刺激のある音楽であれば全力で踊り、遊び倒す人が多いというか、アガりたい欲求が強い気がします。東京は音楽に対する反応がもうちょっとクールで。DJとしては、フロアでエネルギーを発散出来る人間が多い大阪のシーンが楽しくもあり、羨ましくもありますよね。

Ooshima:まぁ、でも、大阪もフロアで「いったらんかい!」って叫ぶ人ばかりではないんですけどね(笑)。

Bushmind:まぁ、でも、大阪はその割合がね(笑)。

Ooshima:ただ、一つ言えるのは、大阪のパーティーシーンが注目された『Flower Of Life』や『POWWOW』が活発に活動してた時代の雰囲気とは何かが大きく違うし、お客さんも若かったり、音楽的にも完全に今のモードだったりもするし。ただ、どうして、ここに来て、『2×4』が盛り上がるようになったのか、僕には分からなかったりして。

Bushmind:俺からしてみれば、Shigeruくんが長年かけてフロアに蒔いた種、その積み重ねが一番デカいと思うんだけどね。

— そうですよね。大阪ではOoshimaくんに対する若手からのリスペクトがひしひしと伝わってきてますからね。ただ、Ooshimaくんのキャリアを紐解くと、若い頃からダンスミュージック一筋だったわけではなく、もともとは1990年代中期にクラストコアのバンド、ARGUE DAMNATIONで活動していたバンドマンだったんですよね?

Ooshima:そうです。ダンスミュージックとの一番最初の出会いは、大阪にスペースAKっていう古本屋兼スタディスペースがあって。そこで社会学者の酒井隆史さんが主宰していた『アントニオ・ネグリの”帝国”を読む会』とか、シチュアシオニストの本を読む勉強会に参加したら、DJのKihira Naokiさんがおって。一緒によく飲むようになったりしてるうちにパーティに行くようになり、(イラク戦争に反対する)「サウンドデモをやろうや!」ってことになって、そのスタッフとして動いたり、東京のデモにも参加したりしているなかで、テクノの面白さに気づいて。それで、当時、よくライヴをやってたライブハウスの平日にDJをやらせてもらっていたんですけど、それを聴いてくれたKihiraさんから「DJ一緒にやろや」って誘われて、Kihiraさんがずっとやってきてたパーティ『Social Infection』に誘われたのが2003年ですね。

— つまり、クラストコアのポリティカルなスタンス、その知見を深めようと勉強するなかで、サウンドデモやダンスミュージックのカルチャーと出会った、と。

Ooshima:ARGUE DAMNATIONには17歳の時に加入して、18歳の時にイギリスのバンド、DOOMとヨーロッパをツアーで回ったんですけど、スクウォット(不法占拠した場所、もしくはそれが後に合法的に認められたスペース)でライブしたり、信じられないような世界に出会うんですよ。そこでは硬派な政治活動家と、ただのアル中みたいなパンクス達が共存してて、あとやたらとでかい犬つれてパンクスがライブ観に来たり(笑)。で、当時はよくわかってなかったんですけど、ライヴが終わったら、たぶんガバがかかるようなハードコアなレイヴが始まったりもしてて。今にして思えば、そういう光景に影響を受けた部分もありますし、クラストにハマるちょっと前まではパワーバイオレンスをずっと聴いとったり、14、5歳でパンクを聴き始めて以来、半年後には聴いてるものが全く違うという、ものすごいスピード感で色んな音楽を吸収して。18歳でヨーロッパツアーに行く前にはBLIND JUSTICEがenvyになったり、日本でもカオティックハードコアや初期のエモーショナルハードコアがムーブメントになっていくなかで、僕らもYOUTH STRIKE CHORDと森ノ宮青少年会館でチャージ500円でライヴをやったり、個人ディストリビューションをやったり、はたまた、ZINEを作ったりしながら、DIYで世界を変えてやる! って思っていたし、当時の自分たちの周りは日本における最初のエモキッズと呼べる世代やったと思うんですけど、ヨーロッパツアーから帰ってきてからはクラストとはもうちょっと違うエモーショナルハードコアにハマっていくんです。

— その流れが2000年代前半に活動していたポストハードコアの3人組バンド、Beirut5結成へと繋がっていったと。

Ooshima:その頃にはDIYで世界を変えるという気持ちがちょっとくじけて(笑)、もっと拗ねた音楽、The Jesus LizardとかShellacのようなサウンドに傾倒していって。今はさすがに当時のようなテンションではないですけど、その頃の経験は自分にとっての原風景やし、今かける曲にもその頃の影響が反映されていると思うんですけどね。

Bushmind:なるほど。その話を聞いて、Shigeruくんのバックボーンと今のDJが繋がったね。

— Beirut5での活動の後、新たに結成したバンド、Dub Magus From BeirutはダンスミュージックやDJの影響が反映された作品をリリースされていますもんね。

Ooshima:イメージしてたのは、Moritz von Oswald Trioのような、ミニマルテクノ、ダブかな。音源をリリースしつつも活動を維持するのが大変で、もうずっと活動が止まっちゃってんねんけど、今年は1曲くらい出せたらいいな、と。

— また、活動を再開されるんですね?

Ooshima:そうですね。去年からぼちぼち。あとはまぁ、(DJのCE$らも所属するハードコア・バンド)she luv itでギターを弾いたりもしていますし、バンドにはバンドの面白さがあるんですけど、ここ15年くらいはDJに軸足があるかな(笑)。

— アウトプットの仕方はバンドとは違うのかもしれないですけど、今のOoshimaくんのDJにもその根底に流れている濃縮されたエモーションやテンションが一貫して流れているような気はします。

Bushmind:よく分かるなー。

Ooshima:多分それはあると思いますね。そして、これまでの経験も重要やけど、今の流れももちろん大切で、以前は一回り上のKihiraさんとDJやってたけど、今は『2×4』に出てくれるDJは年下が多かったりするし、まぁ、そんなに歳は重要ではないけれども。

Bushmind:いや、でも、歳を超えて、遊んだり、絡んだりするのは重要だよね。

Ooshima:2月の『2×4』はokadadaとPhoneheadやし、4月は1-DRINKさんが出てくれるからね。

Bushmind:東京の先輩がついにね。

— 気づいたら、隔月開催になっていた『2×4』の6月の回までゲストDJが決まっているというのも異例というか、ものすごい勢いを感じます。

Ooshima:考えているとどんどんアイデアが出てくるので、これは出てきたそばから形にしなきゃなって(笑)。

— というわけで、最後に今回、Ooshimaくんに制作を依頼したDJミックスについて一言お願いできますか。

Ooshima:今回のミックスはけっこうプライベートな感じやと思います。ここ数か月感じていた気持ちをミックスに落とし込んでみました。

2×4(Guest DJ:okadada、Phonehead)

開催日時:2019年2月2日(日) OPEN / START 23:00
開催場所:club STOMP
料金:1,500円(ドリンク代別)

2×4(Guest DJ:1-DRINK / Guest LIVE:ind_fris)

開催日時:2019年4月6日(土)OPEN / START 22:00
開催場所:club STOMP
料金:1,500円(ドリンク代別)

2×4(Guest DJ:DNT、DJ SOYBEANS)

開催日時:2019年6月1日(土)
開催場所:Club STOMP
料金:1,500円(ドリンク代別)

line in da utdpia. -atmosphäre 11th anniversary special-

開催日時:2019年2月2日(土)OPEN 18:30 / START 22:00
開催場所:Club STOMP
料金:2,000円

■DJ
BUSHMIND
NO RULE
OVERALL
KRBT
DJ HIGHSCHOOL

■LIVE
she luv it
psycho patch

Ooshima ShigeruのDJ予定

開催日時:2019年2月1日(金)
開催場所:大阪 CIRCUS

開催日時:2019年2月15日(金)
開催場所:Club STOMP

開催日時:2019年2月23日(土)
開催場所:大阪 CIRCUS

BushmindのDJ予定

開催日時:2019年2月3日(日)
開催場所:谷町六丁目台風飯店

開催日時:2019年2月24日(日)
開催場所:下北沢 Basement Bar

開催日時:2019年3月2日(土)
開催場所:神戸 BAPPLE

開催日時:2019年3月3日(日)
開催場所:京都 METRO

開催日時:2019年3月29日(金)
開催場所:新潟 BARM

開催日時:2019年4月5日(金)
開催場所:吉祥寺 WARP

開催日時:2019年5月19日(日)
開催場所:LIQUIDROOM

「Mastered」は、
2017年5月までEYESCREAM.JPだったサイトが生まれ変わった、
新しいファッション&カルチャーメディアです。