Vol.131 tofubeats – 人気DJのMIX音源を毎月配信!『Mastered Mix Archives』

by Yu Onoda and Keita Miki

MasteredがレコメンドするDJ、アーティストのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する『Mastered Mix Archives』。今回ご紹介するのは、5月18日に新作アルバム『REFLECTION』と初の著作『トーフビーツの難聴日記』を発表したばかりのtofubeats。
4年ぶりのアルバムとなる『REFLECTION』は、地元神戸から東京へ活動拠点を移した最初のアルバムにして、2019年に突発性難聴を患い、さらに2020年以降の全世界的なコロナウィルスのパンデミックによって、制作の大きな困難に直面した作品だ。しかし、突発性難聴という苦境から、自らと向き合う象徴としての”鏡”という作品テーマを着想し、度重なるリリース延期をものともせず、時間を掛けて制作を行うことで、ダンスミュージックとポップスを密に繋ぎ、これまで以上にパーソナルかつ普遍的なアルバムへと見事に昇華している。
ゲストは当連載でも取り上げたUG Noodle、Neibissに加え、Kotetsu Shoichiro、中村佳穂が参加。瀬戸内海エリアを拠点とする4組がもたらした風通しの良さと逆境に置かれていたからこそ際立つ軽やかさ、経験を重ねながら体得した表現の率直さを交えて描き出されたtofubeatsの4年間とはどんなものだったのか。tofubeatsの盟友であるDJ NAGASHIMAによるDJミックスをサウンドトラックに、彼の言葉から作品の理解を深める手がかりを読み取っていただきたい。

Photo:Takuya Murata | Interview & Text : Yu Onoda | Edit:Keita Miki

※ミックス音源はこちら!(ストリーミングのみ)

「自分と向き合いながら、向き合ったっぽいアルバムで終わってたまるかという思いがあった」(tofubeats)

— 今回の『REFLECTION』は4年ぶりのアルバムですが、精力的な外仕事ぶりもあってか、前作からのブランクは全く感じませんでした。

tofubeats:基本的に僕の場合、アルバムを出すか、外仕事をするかのどっちかしかなくて。アルバムを出さないのであれば、契約上、何らかの形で売上げを作ることが求められているんです(笑)。振り返ると、制作期間が伸びるようになったのは『FANTASY CLUB』の頃からなんですけど、それも合間で外仕事ができるようになったからだし、外仕事をガンガン手掛けることによって、アルバムの制作期間を伸ばす術を覚えたというのがまずあり。そして、当初はダンスミュージックに振り切れたアルバムを念頭に、2020年3月に『TBEP』を出したんですけど、コロナが重なったことで、1回もクラブでやらないままになってしまい。さらにその年の年末に出そうと思っていたアルバムが1年延期になり、さらに半年延期して。でも、それだと間が空き過ぎだから、巻き戻して、今年5月のリリースになった次第です。

— 社会情勢の変化と共に、スケジュールが二転三転し、作品の内容も変化していったんですね。

tofubeats:そうですね。ライブやDJに関して、室内の有観客イベントはどんな仲の良い人の主催でも一切出演しませんとばっさりラインを引いたことで、空いた時間を利用して外仕事を増やせたんですけど、体感的にはコロナ以前に比べて、超ヒマになり。その一方で、自分のなかでは珍しく2年くらい集中力が続いて、それがいい感じで作品に反映されているんじゃないかなって。

— さらにtofuくんの場合、アルバムと同時刊行された『トーフビーツの難聴日記』で詳細に書かれているように、コロナ以前の2019年3月には突発性難聴を発症して、二転三転どころか、音楽家人生の危機も経験した、と。

tofubeats:オーバーワークにならないように、自分の会社を作って、『FANTASY CLUB』以降は仕事量的に落ち着いていたし、神戸と東京に家があり、移動の大変さも軽減されたことで、肉体的にも精神的にも安定していたので、なんで発症したのか今でも謎なんですけどね。ただ、それも半年ぐらいでだいぶ回復しましたし、今回のアルバムは突発性難聴が大きなきっかけになったんです。これまで僕の作品は”理想と現実”がずっとテーマやったんですよ。ニュータウンなんかもそうですよね。30年後の街を狙ってもそうならへんっていう。でも、そこが面白さだったりするし、今回は難聴や作品のテーマである”鏡 /反射”をテコに、”理想と現実”について考えてみたという。その後に起こったコロナは図らずして作品の方向性を補強することになった事件という感じでしたね。作品のテーマというのは、往々にして着想段階から時間が経つにつれて薄くなっていって、完成時には別のテーマに決着していくものですけど、今回はコロナがあったおかげでブレることなく鏡に向き合うように、自分自身に向き合い続ける頭のイカレたおじさんとして前作からの4年間を過ごすことができたという(笑)。

— しかし、図らずして、その時の社会情勢とリンクしてしまうことがtofuくんの作品ではたびたびありますよね。”朝が来るまで終わることのないダンスを”がアンチ風営法のイデオロギーを補強する曲と捉えられたり、”陰謀論”がコロナ禍の混乱した状況下で思わぬ意味を帯びてしまったり。まぁ、音楽は時として作者の意図とは異なる方向に向かってしまうものだったりはしますけれど、こういった現象をどう捉えるのか。

tofubeats:音楽が時として、軍歌のようにイデオロギーの一部として用いられてしまうことをどう捉えるのか。それはここ2、3年のテーマだったりしましたし、その延長線上で、好きなポップスと好きじゃないポップスの差はどこにあるのかを考えてみたりしましたね。クラブミュージックの場合はどこまでいっても自発的なことが良しとされるし、リスナーも自発的であることが求められるじゃないですか。でも、音楽によっては、みんなを感動させてあげましょうっていう上から目線のものもあったりして、自分はそういう音楽に対して共感できないということが分かってきたんですよね。だから、自分としては、そういう音楽ではなく、ここ2、3年はソウル(の在り方)がお洒落な音楽を目指そうと思いましたね。

— ツールのように人の思想や感情を操作したり、一方的に働きかけたりする音楽ではなく、クラブミュージックとポップスを橋渡ししながら、聴き手の自発性を刺激するのがつまりはtofubeatsの音楽だと。

tofubeats:だからこそ、今回はドキュメンタリーっぽい作りのアルバムになっていったんです。

— ただ、今回はtofuくんのパーソナルな思いが投影されたアルバムでありつつも、完全実録の作品というわけでもない。

tofubeats:そうですね。ちょっとフィクションも入っている。

— そう。そうやってパーソナルなものが普遍的な表現に昇華されている。つまり、シンガーソングライター的な視点から紡がれてはいるんだけど、シンガーソングライターのアルバムではなく、クラブミュージックなマインドなんだけど、ポップス的なこともやってる。今回はそのバランスがすごく絶妙だなと。

tofubeats:そういう音楽を目指しているので、うれしいです。ずっと言ってることなんですけど、僕にとってのイルリメさん(鴨田潤)は、そういうバランス感覚の人なんですよ。どこに置いたらいいのか、よく分からないけど、絶妙に全部でもあるっていう。自分もそうなりたいと、2008年くらいからずっと思い続けてきて、ここに来て、自分の理想に近づきつつあるように感じるんですけど、一方で自分が得体の知れないおじさんになっていく入口をくぐったような感覚もあって、これからどうなるんだろうと我ながらハラハラしてもいるんですけどね(笑)。

— ただ、イルリメくんやtofuくんのようなオールラウンダーは日本において希少な存在であるとは思うんですけど、例えば、シンガーソングライター的な、コロナ禍のドキュメンタリー的なアルバム『Actual Life』をリリースしたプロデューサーのFred again..をはじめ、海外にはちらほらいますよね。

tofubeats:そうですよね。Blood Orangeとか(Sandy)Alex G、Jack Jも新作ではめっちゃ歌ってましたし、あと、RosaliaとかLous And The Yakuzaのプロデュースを手掛けているEl Guincho(エル・グインチョ)なんかは10年くらい前からずっと好きなんですけど、彼のソロは自分と限りなく近い作風やなと思っているし、あと、Cities Avivもそうか。彼は歳も同じくらいで、シンパシーを感じるし、作風もどんどん先鋭化していってて、今回の制作中はめっちゃ聴いてましたね。Kanye West(カニエ・ウェスト)も言ってみれば、そうやと思うし、自分と同じようなテンションでやってる海外のアーティストは全然いると思っているので、自分のやっていることがそこまで変だとは思ってないかもしれない。

— そんななか、自分と延々対峙し続けた制作期間を振り返ってみていかがですか?

tofubeats:自分と向き合った結果、向き合ったっぽいアルバムで終わってたまるかよっていう思いがあったので、他の向き合い系のアルバムとどうやって一線を画するかを考えました。中村佳穂さんをフィーチャーしたドラムンベース”REFLECTION feat. 中村佳穂”をシングルで出したのもそういう意図があって、ラスト前でスコーンと抜けるその曲に向かって、自分との対峙を描写していく作りにしました。これまでは悩みに悩んで、悩み終わりの作品になっていたんですけど、そうじゃなく、真の意味でポジティブにいきたかったんですよね。2015年に出したアルバム『POSITIVE』にはそういう反省があって、「本当のポジティブとは?」という問いから『FANTASY CLUB』を作ったんですけど、その頃と比べて実力がついて、本当の意味でのポジティブを表現できるようになってきたのが『REFLECTION』なのかなって。

— 歌詞の物言いがいい意味で率直になったところもアルバムの抜け感と繋がってますよね。

tofubeats:そうですね。歌詞は年々良くしようと頑張っていて、年齢と経験を重ねるなか、ちょこまか小手先でやることをどれだけ減らせるかを意識しながら、今回もまた1歩前進できたと思います。

— 今回、UG NoodleNeibissをはじめ、Kotetsu Shoichiroさん、中村佳穂さんという4組ともに神戸とその近隣エリアに所縁があるゲストを迎えていますが、『REFLECTION』にはtofuくんの地元である神戸、瀬戸内海エリアと現在お住まいの東京の対比も投影されているのかなと個人的には思いました。

tofubeats:意図的にそうしたわけではなかったんですけど、これまでの変遷として、著名なゲストを迎えた作品がまずあり、その後、やりたいことが定まっていくなかで、発したいメッセージを人に言わせるのがおこがましくなって、『RUN』では自分で歌ったんですけど、久々に客演を迎えた今回は自分が言いたいことを歌ってもらうんじゃなく、この人の言ってることやったら、何を乗せてもいいと思える人にお願いしようと。そうなった時に肌感覚や距離感が近い人がいいなということで、今回の4組になったんですよ。あと、タイミング的に東京に出てきて、味わいたかった東京を味わえないままコロナになっちゃったんですね。自分の軸も確立し、結婚もして、東京で社交しようと決心して上京したのに、コロナになったことで、神戸にいた時より静かになってしまって。そうなった時、今回のゲストを考えるにあたって、もともとのネットワークを使いがちになってしまったのかなって、正直思ったりはしています。

— 一昨年、去年辺りから神戸の音楽シーンから面白いアーティストが次々出てきているし、盛り上がっているらしいという話があちこちから伝わってきているんですけど、東京在住のtofuくんから見て、今の神戸についてはどう思います?

tofubeats:自分が上京する前後の時期からanddy toy storeや姫路のShurkn Papもそうだし、EPOCH/Momalっていう服屋だったり、状況がかなり活性化しつつあって、ピュアに応援したいですね。あと、自分のなかでは、東京には出稼ぎで来ているというか、もともと神戸でやってきた地盤と東京の資本ともうちょっと繋げたい、繋げてあげたいなっていう気持ちがあって。というのも、自分が神戸にいた時、最初はセルアウト気味な扱われ方をされていて、地元の人に「いいね」って言われたのは、大阪、京都の先輩や東京の人たちが「いいね」って言ってくれた後だったりして。外部の刺激がないと地方が動かないことを肌身を持って知っているし、それこそUGさん、Neibissも格好いいのに、それが表立った評価やセールスに全然反映されていない。だからこそ、僕との仕事を通じて、彼らの音楽が広く知られるようになったらいいなって。そうやって人や音楽を繋ぐハブとしての役割は、東京に出てきたらこそ気づいたことだし、今回は自覚的にそれを形にしたかったんです。

— 地方と東京の情報格差はだいぶ縮まったとはいえ、評価の格差は依然としてあって、だからこそ、この連載ではそれこそUG NoodleやNeibissをはじめ、地方のミュージシャンやDJを意識的に取り上げてきたんですけど、もっと言ってしまえば、年を重ねていくと、下の世代にどう接するのか、繋ぎ繋がっていくのかというのがテーマになってきますよね。

tofubeats:ホントそうですね。東京には東京の難しさがあるんですけど、地方は音楽人口が少ないから多様度が下がってしまうし、そんななか、やりたいことを貫いてやっていく難しさがある。そういう地方の難しさを突破してきた身としては、自分のルートに繋がる人が出てきて欲しいですし、自分はこれまで紹介する仕事を比較的やってきたので、そういう感じで人や音楽を繋げられたらなと思っていて。

— 4組のゲストについて、tofuくんがどう捉えているのかおうかがいしたいんですけど、まず、ヒップホップデュオ、Neibissは20代前半の新世代ですよね。

tofubeats:その新世代のなかでもNeibissは珍しいタイプの若者という気がしていて。もともと、ratiffがクラブで声を掛けてきて、いきなり、ミックステープを渡されたんですけど、どうせおもんないやろなと思いつつ聴いてみたら、具島直子をサンプリングしていたり、YouTubeの動画を見たら、The Pharcydeを2枚使いしていて。おっさんみたいなセンスで、なおかつ、ジャグリングも上手かったりしたので、変な子やなと思ったんですけど、やってる音楽を聴いてみたら、かつてのTHE OTOGIBANASHI’Sみたいな抜けのいいヒップホップやって。メジャー指向に向かっていくのかと思いきや、Neibissはもうちょっとインディー的な精神性やったというか。RC SLUMから出たhyunis1000のソロアルバム『NERD SPACE PROGRAM』を聴いて、それは確信に変わって、めっちゃ荒削りやけど、変なものを目指しているのがすごい良くて。それはUGさん、Kotetsuさんにも言えることなんですけど、自分が好きなアーティストというのは、流行りに乗りたい人じゃなく、自分の好きな音楽を出したい人、それをどう世間に認めさせるかということにフォーカスしてる人だったりするので、今回、”don’t like u”で試しにNeibissに声を掛けてみたんです。その時点ではダメ出しするかもしれないと思ったんですけど、いきなりいいのが返ってきたので、そのままアルバムに収録しました。

— そして、UG Noodleはhyunis1000と同じくRC SLUMからアルバム『ポリュフェモス』をリリースしている異色のシンガーソングライターで、Neibiss共に神戸在住という。

tofubeats:UGさんは僕より年上なんですけど、もともとは(ハードコアバンド)she luv itのメンバーやって。バンドを抜けてから何年ぶりかに再会したという(she luv itのメンバーにしてtofubeatsマネージャーでもある)杉生さんから2013年のアルバム『The Indian Waltz』を頂いたんです。それがめっちゃ良くて、あちこちで紹介させてもらったんですけど、そうこうしているうちにUGさんが神戸に移住したので、ちょいちょい交流するようになったので、今回声を掛けさせてもらった次第です。UGさんはとにかく曲が良くて、クラブミュージックと50年代の音楽の要素が両立しているのが珍しいし、あとは宅録ができるというのは声を掛けるポイントとしてはデカいですね。宅録ができるということは、やり取りや性格面でも信用できるというか、音楽をやりたいんやっていう気持ちを感じるんですよね。

— UG Noodleの曲はドリーミーで口当たりはいいけど、毒がしっかり含まれているところに大きな特徴があるというか。

tofubeats:そうそう。今回収録した”恋とミサイル”なんか毒しかないっていう(笑)。まぁ失恋の曲なんですけど、こういう、自分とはあまりに関係ない要素が入ったことで、抜けのいいアルバムという目標を達成できたんじゃないかなって。

— そして、高松在住のKotetsu Shoichiroさんはファンクバンド、ピクニック・ディスコで活動しながら、tofuくん主宰のレーベル・HIHATTからソロ作『Ge’ Down EP』を発表したり、プロデューサー、音楽ライターとしても活躍している多才な方ですよね。

tofubeats:2015年くらいに知り合ったKotetsuさんは、もともと、ピチカート愛撫っていうtumblrブログで微妙に一世風靡した人なんですけど(笑)、ピクニック・ディスコっていう謎なバンドをやりつつ、最近では彼がプロデュースを手掛けたT-STONEの”Let’s Get Eat”が話題になりましたけど、実は何でもできる人なんですよね。『Ge’ Down EP』はハウスミュージックだし、T-STONEの曲でバイラルヒットして、文筆業も並行してやっていて。

— こんなこと言うとご本人に怒られるかもしれないですけど(笑)、そのマルチプレイヤーぶりから「高松のtofubeatsか?」と思いました。

tofubeats:彼は僕と同い年なんですけど、見た目もキャッチーで、ライブもおもろくて、曲良くて、声良くて、文章もおもろい。もっと評価されていいはずの人なんですけど、アンダーレイテッドなアーティストで。シンプルにアルバムに呼びたかったし、この人の出し所を作りたいと思ったんです。彼の場合はお父さんがレゲエ好きだったりもするらしく、そっちのラインもあったりするので自分とはバランス感覚は違うんですけど、地方で1人で頑張っているがゆえに器用貧乏になった感じとか、色んな音楽が好きゆえにどこにも属せない感じが自分と似ていて。あと、この曲は”VIBRATION”という曲名からもお分かりの通り、ECDさんがテーマになっているんですけど、それを伝えなくてもキャッチして、速攻でオマージュを入れ込んでくるところがさすがやなって思いましたね。

— そして、京都出身にして兵庫にお住まいの中村佳穂さんは”REFLECTION feat. 中村佳穂”にてドランベーストラックで歌っているのが意外な驚きでした。

tofubeats:この曲は曲ありきというか、歌詞も含めて完全に完成した段階で誰に歌ってもらおうかなというところで中村さんにお願いしたんです。ただ、最初の段階では、中村さんに歌ってもらえば絶対いいものになるのは間違いないけど、絶対に良くなる人に頼んでいいのかという迷いもあったんですけど、過去に『FANTASY CLUB』にも参加していただいているので、成長した姿を見せる、じゃないですけど、またご一緒できるのがいいなって。

— 今回の作品で一番今っぽいのはレイヴィーなブレイクビーツ”SOMEBODY TORE MY P”だったりすると思うんですけど、サウンド面では時代に即した最先端な表現を追求しようという意識がそこまで強くないですよね。

tofubeats:それでも”SOMEBODY TORE MY P”にしても3年くらい前の曲だったりしますし、今回は制作期間が長くなることが分かっていたので、そういうトレンド性は意識して排除して、考えないようにしていましたね。

— 世のトレンドではなく、tofuくんのなかでのマイブームとして、”Solitaire”をはじめとして作品のあちこちからHerbertからの影響があるように感じました。

tofubeats:あ、そうですそうです。今回、制作中は過去のタイトルがアナログで一気に再発されたHerbertをむっちゃ聴いていたんです。しかも、以前は”The Audience”みたいな曲ばかりを聴いていたので、Matthew Herbert Big Bandをもうちょっとちゃんと聴いてみようと。それでできたのが”PEAK TIME”なんですよ。いや、初めてのそのことを指摘されて、めっちゃうれしいです。今回、自分の曲をあちこちでサンプリングしているのも彼が身の回りの素材をサンプリングする手法に触発されたものだったりしますし、影響は大きいと思いますね。

— そうやってサウンド、リリック面を磨きながら、自分と対峙し続けた末に完成した『REFLECTION』のその先で何か見えたもの、掴んだものはありますか?

tofubeats:作品は過去になればなるほど、記録の価値が高まっていくので、今はそういう作品ができたという喜びを感じていて。しかも今回は『トーフビーツの難聴日記』というテキストの詳細な記録もありますし、記録しての十分な用件を満たせた充足感もあり。そして、その記録がどういうものだったのかは時が経つと分かるんじゃないかなって。

— では最後にtofuくんご推薦のDJ NAGASHIMAさんにお願いしたDJミックスについて一言お願いいたします。

tofubeats:アルバムのプロモーションなんかでいろいろ多忙だったのでひさびさにナガシマ君に声を掛けてミックスを作ってもらいました。少々嫌がらせも込みでバラバラなジャンルの最近お気に入りの曲をドサっと送って。なんか思ったよりまとめてきたのでムカつきますね。まあでもそれなりに良い感じのミックスだと思いますので皆様もぜひ聞いてみてください。

tofubeats 『REFLECTION』

発売中
品番:WPCL-13375
形態:CD/配信
https://tofubeats.lnk.to/REFLECTION

tofubeats 『トーフビーツの難聴日記』

発売中
形態:書籍/E-Book
https://book.pia.co.jp/book/b602114.html