Vol.22 K404 – 人気DJのMIX音源を毎月配信!『Mastered Mix Archives』

by Yu Onoda and Yugo Shiokawa

MasteredレコメンドDJへのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する「Mastered Mix Archives」。今回登場するのは、Traks Boys、そしてこの春に2ndアルバムのリリースを控える2010年代型シティポップバンド、(((さらうんど)))のメンバーとしても名を連ねる他、盟友5iveCOS/MESらとライブラリー・レーベル「Snaker」を立ち上げるなど、活動のペースを加速させているK404。

彼がDJとして、相棒のCRYSTALとともにレジデントを務めているのが、川崎市の某工場屋上で不定期開催されるインダストリアル系野外パーティ、DK SOUNDだ。ウェブサイトからエントリーしないと詳細がわからないという敷居の高さにも関わらず、他の場所では得がたいその体験は年々口コミによって広がり、昨年のゴールデンウィークには600人を超える集客を記録。スタートから10年を超える今でも、盛り上がりの一途を辿っている。

そして今年の5月4日、1年ぶりにDK SOUNDが帰ってくるということで、パーティの主催者であり首謀者でもあるK404に取材を敢行。MCしゅんた、特攻(現BTB)とのヒップホップグループ、レッキンクルー時代から数えるとじつに15年以上のキャリアを数える一方、ウェブにおいて「Not Found」を意味するエラーコード“404”を名に持つとおり、いまだ謎も多い彼の実態について迫った。いわく「ゴールデンウィーク仕様」だというレイヴィーなエクスクルーシヴ・ミックスとともに、単独では初となるインタビューを楽しんでほしい。

※ミックス音源はこちら!(ストリーミングのみ)

D.I.Y.なパーティへの憧れが強いというか、縛られず自由にやりたいっていう若気の至りのような気持ちが強くあって。音楽性やお金、集客について気にしなきゃいけないとか、そういうことがすごいイヤだったんですね。

— 今でこそTraks Boysではダンス・ミュージック、(((さらうんど)))では現代的なシティ・ポップをやってますけど、もともとのルーツはヒップホップなんですよね?

(((さらうんど)))『(((さらうんど)))』 昨年カクバリズムからリリースされた、イルリメこと鴨田潤とTraks Boysによる、新時代シティポッププロジェクトの記念すべきデビュー・アルバム。ライブではPPPのカシーフやRopesのアチコがサポートを務める。

(((さらうんど)))『(((さらうんど)))』
昨年カクバリズムからリリースされた、イルリメこと鴨田潤とTraks Boysによる、新時代シティポッププロジェクトの記念すべきデビュー・アルバム。ライブではPPPのカシーフやRopesのアチコがサポートを務める。

K404:そうですね。高1の頃からスケボー経由でヒップホップを聴くようになって、そこからは黒人音楽一辺倒。で、まぁ、高校生の時には自分で作ったミックステープをクラブに持っていって、K-BOMBとかDABOなんかが出ていたクラブで金曜日にDJをやらせてもらったりしてましたね。

— 時期的には1996年のさんピンCAMP以降、日本のヒップホップがどんどん盛り上がっていった頃ですよね。

K404:確かにそういう時期でしたけど、俺、日本のヒップホップはあんまりフォローしてなかったんですよ。というのも、スケボーのビデオで流れてる曲からヒップホップに入って、そのまま、ニューヨークのアンダーグラウンド・ヒップホップを聴くようになっていったんですけど、周りでやってた日本人のラッパーは聴いていたものの、自分はラップよりも音の方に興味が向かっていたから、日本のヒップホップはほとんどチェックしてなかったんですよ。
まぁ、あと当時は相当ふざけていたので、王道のヒップホップからどんどん外れていったうえに、レイヴ・カルチャーと出会ったことで、感覚としてはヒップホップとレイヴのハイブリッドに向かっていったんです。

— DJ、トラックメイクを手掛けていたレッキンクルーは、まさにヒップホップとレイヴを経由したミュータントなヒップホップ・グループでしたけど、あのグループに参加することになったいきさつというのは?

K404:まず、MCのしゅんたと特攻(現在はLUVRAW&BTBでBTBとして活躍)の2人が高校の同級生で、当時からもう一人の女の子と3人組でヒップホップをやってたんですね。それで俺は予備校が一緒だった特攻と仲良くなって、「いまDJがいないんだよね」って話から「じゃあ、俺がライヴを手伝うよ」ってことになったんです。
でも、レッキンクルーはあまりにふざけすぎてたから、ヒップホップの人たちからはかなり嫌われてましたね(笑)。王道なヒップホップとの唯一の接点は、三宿のWEBでライムスターのMUMMY-Dさんとかトリカブトたちとやってたパーティくらいかな。当時は居場所がなかったから、並行して恵比寿みるくで自分たちのパーティをやるようになって、そこでCRYSTALをはじめとする同世代の(雑誌)モンスーン・クルーと知り合ったっていう。

— 90年代後半に自分のなかでヒップホップとレイヴ・カルチャーはどう交わっていったんですか?

K404:それはホントたまたまだったと思いますね。当時、駒沢公園のバスケットボール・コートだったり、毎週末の代々木公園でやってた野外パーティへ遊びにいったり、ヒップホップをきっかけに知り合った友達が自分たちのサウンド・システムを出して、山でやってたパーティへ遊びに行ったり。あの頃はジャンルが全く関係ないカオスな状況があって、それに巻き込まれて、うわーって感じだったんですよ。しかも、王道なシーンと違って、そっちは全く上下関係がない世界だったし、恵比寿みるくではMOODMANとかコンピューマさんだったり、ホント色んな人と知り合うようになっていくんです。

— そこにはレッキンクルーと共通項が多かったザマギやアルファも含まれますよね。

レッキンクルー『ブンブン!!??!?』 まさに「初期衝動」という言葉がしっくりくる、レッキンクルーのデビューシングル。若きZEN-LA-ROCKの客演にも注目。アートワークは当サイトでもおなじみのブランド『bal』の江田氏によるもの。2001年リリース。

レッキンクルー『ブンブン!!??!?』
まさに「初期衝動」という言葉がしっくりくる、レッキンクルーのデビューシングル。まだ「全裸ロック」名義のZEN-LA-ROCKによる客演にも注目。アートワークは当サイトでもおなじみのブランド『bal』の江田氏によるもの。2001年リリース。

K404:そうですね。でも、その3組のなかで俺らだけおかしな方向へ行っちゃって(笑)。まぁ、ふざけてはいましたけど、毎日3人で家に集まって曲を作ったり、自分たちなりに相当真剣にやってたんですけどね。当時の特攻やしゅんたには俺にはないサブカル感があって、かたや、俺はアンダーグラウンドなヒップホップにハマってたから、お互いに吸収し合っていたんですけど、しゅんたがEYEさんの音楽を聴いていたこともあって、レッキンの最初のシングル「ブンブン!??!」ではボアダムスをサンプリングしつつ、そのトラックをゴアトランスみたいにしたり(笑)、当時、自分のなかでもレイヴ・カルチャーから受けた衝撃がかなりデカかったですね。

— 当時のアメリカではネプチューンズやティンバランドしかり、ディディしかり、レイヴ感覚を通過したヒップホップが盛り上がっていった流れのなか、レッキンがフック・アップされなかったのは残念でしたね。

K404:HIPHOP最高会議の千葉さんとみるく以外、誰にもフックされませんでしたからね(笑)。当時のことでよく覚えてるのは、ECDさんと一緒にライヴをやった時、DJのイリシット・ツボイさんから「このスタイルを10年後も変えないでね」って言われたこと。その時、僕は「当たり前じゃないですか」って応えたんですけど、ツボイさんは変わってないのに、自分はその後、がらっと変わっちゃいましたからね(笑)。ツボイさんが言ってたことの意味は後から身に染みて分かりましたし、当時から変わらずにやり続けてるZEN-LA-ROCKはホントよくやってるなって。

— そんなか、CRYSTALとのTraks Boysが始動するきっかけは、2003年に出たレッキンクルーのセカンド・アルバム『New』に入ってるアシッドヒップハウス「Hardy」でのコラボレーションだったとか。

V.A.『GRASS ROOTS DUB SESSION VOL.2』 2004年に、東高円寺の名店、GRASS ROOTSの6周年を記念しリリースされたコンピレーション・アルバム。TRAKS BOYS「aquarius」収録。

V.A.『GRASS ROOTS DUB SESSION VOL.2』
2004年に、東高円寺の名店、GRASS ROOTSの6周年を記念しリリースされたコンピレーション・アルバム。TRAKS BOYS「aquarius」収録。

K404:CRYSTALはレッキンが所属していたALL NIGHT THINGっていうレーベルを運営していたんですけど、当時、ディスコに傾倒してたCRYSTALとは、俺らもハマったディープハウスとかセオ・パリッシュのようなデトロイトハウスが共通点になったんですよ。あと、当時、ディスコやディープ・ハウスDJのミックスが大量にアーカイブされていたDEEP HOUSE PAGEっていうウェブサイトの存在を知って、そこに挙がってた(シカゴ・ハウスの伝説的DJ)ロン・ハーディーのミックスを聴きつつ、時を同じくして、(シカゴ・ハウスの代表的なレーベル)トラックス・レコーズのアシッドハウスを聴いたり、その辺のハウスにフォーカスした「R.I.P.」ってパーティをやったりしてて(笑)。そんな流れのなかでうちに遊びに来たCRYSTALと機材の話をしながら、「こんな感じでやったら、いい感じのトラックスものが作れるんじゃん?」って盛り上がったことで、2 Traks Boysっていう名義でレッキンのトラックスを作ってみることになったんです。

— 名前の由来は作ったトラックが文字通り2トラックしか使ってないものだったから?

V.A.『GRANDMASTER FLASH PRESENTS SALSOUL JAM 2000』 ヒップホップ界の重鎮、グランドマスター・フラッシュがサルソウルレーベルのクラシックを軽快に紡いだ、傑作ミックス。御大の煽りから「Runaway」に突入する冒頭から多幸感マックス。

V.A.『GRANDMASTER FLASH PRESENTS SALSOUL JAM 2000』
ヒップホップ界の重鎮、グランドマスター・フラッシュがサルソウルレーベルのクラシックを軽快に紡いだ、傑作ミックス。御大の煽りから「Runaway」へ突入する冒頭ですでに多幸感マックス。

K404:そう。「もし、4トラック使ってトラックを作ったら、今度は4Traks Boysだね」なんて、軽いノリの名前だったんですけどね(笑)。で、まぁ、その後、CRYSTALと一緒にDJしつつ、週何回か集まって、DJツール的なトラックを作っていたんですけど、東高円寺のクラブ、GRASS ROOTSがお店の6周年でコンピレーション(『GRASS ROOTS DUB SESSION VOL.2』)を作るっていうタイミングで、僕らがDJの時にかけた自作曲を気に入ってくれて、そのトラックを仕上げたことがTraks Boys始動のきっかけですね。

— ヒップホップからダンス・ミュージックへのシフト・チェンジは自分のなかでスムーズな感じでした?

K404:そうですね。ヒップホップって、ディスコとかソウルがネタになってるじゃないですか。で、ディスコとかハウスを聴くようになってから、ヒップホップのネタが入ってるレコードの聴かないサイドでダンス・ミュージックのいい曲を発見することがめちゃめちゃ多くて。ヒップホップをがっつり聴いている時はあまりに定番すぎて避けてたサルソウルにしても、ダンス・ミュージックを経由してグランド・マスター・フラッシュが出したサルソウルのミックスCDを聴いたら、これがめっちゃいいんですよ。しかも、CRYSTALも「グランド・マスター・フラッシュいいよね」って言ってたりしたから、自分のなかで「なんだ、CRYSTALとは気が合うじゃん」って思ったり(笑)。

— グランド・マスター・フラッシュで絆を深めたTraks Boys(笑)。でも、K404がブラック・ミュージックで育ったのに対して、CRYSTALはTMネットワークや電気グルーヴ、白人のインディーロックを聴いて育ったわけで、2人のルーツとなる音楽性が実はかなり異なるところがTraks Boysの面白さに繋がってるのかな、と。

K404:2人とも自分にないものをお互い補っているというか、興味津々というか。そうじゃなかったら、バックグラウンドが全く違う2人が一緒にやることはなかったんじゃないですかね。そういう2人だからこそ、音作りはCRYSTALがメロディックな側面、俺がリズムやグルーヴ……言ってみれば、雰囲気担当ってことに落ち着いたという(笑)。

— はははは。2007年のファースト『Technicolor』も2008年のセカンド『Bring The Noise』も、これまでリリースしてきたTraks Boysのアルバムはリスニングの要素とフロア・フレンドリーな要素が絶妙なバランスで成り立ってますもんね。

Traks Boys『Bring The Noise』 CRYSTALとのユニット、Traks Boysとして2008年にリリースした2ndアルバム。この収録曲「Starburst」は、2010年にプリンス・トーマス主宰のレーベル、Internasjonalよりシングルリリースされた。

Traks Boys『Bring The Noise』
CRYSTALとのユニット、Traks Boysとして2008年にリリースした2ndアルバム。この収録曲「Starburst」は、2010年にプリンス・トーマス主宰のレーベル、Internasjonalよりシングルリリースされた。

K404:自分が思うに、CRYSTALはポップスも好きだったりするので、Traks Boysではそういうポップスの要素をダンス・ミュージックに混ぜたかったんだと思いますね。だから、12インチではフロア映えする曲を選びつつ、2枚のアルバムはああいうリスニング寄りの内容でまとまったのかなって。ただ、(((さらうんど)))を始めたことでポップスの要素はTraks Boysから抜けたので、次の作品はフロア寄りの作品になると思います。CRYSTALともそんな話をしていますね。

— そして、Traks Boysといえば、川崎の某工場の屋上で年に1回行っているパーティ、DK SOUNDがよく知られていますけど、あのパーティを始めるきっかけというのは?

K404:俺はD.I.Y.なパーティへの憧れが強いというか、縛られず自由にやりたいっていう若気の至りのような気持ちが強くあって。例えば、クラブでやるとなったら、音楽性やお金、集客について気にしなきゃいけないとか、そういうことがすごいイヤだったんですね。そんな時にRMNのWakkunがSarcasticのポール・Tを呼んで、表参道のSputnik Lowにサウンドシステムを入れてオーガナイズしたパーティがいまだに覚えているくらい、めちゃめちゃよかったんですよ。

— その時の体験がDK SOUNDにつながっていくと。

K404:そうなんです。ある時、青山のクラブ、MIXで昔からの友達だったDKとひさしぶりにあって、「最近何やってるの?」「いや、実はこういうパーティをやりたくて~」っていう話をしたら、DKがその工場の社長で「うちの工場の屋上が使えるかも」ってことになって、そこからDKをそそのかして機材を買ってもらったり(笑)、とんとん拍子に話が進んだんですよ。

— はっきりとは覚えてないんですけど、最初にDK SOUNDが始まったのは2003年くらい?

K404:たぶん、10年くらい経ってるんじゃないかと思いますね。最初の1年は客を呼ばずに内々でやって、まずはどれだけ音が作れるかというテストですよね。で、「そろそろ外の人を呼ぼうか」ってことになって、極力お金を取らず、自由な感じで始めたんですけど、DK SOUNDがばこっと盛り上がるようになったのは、2006年に川崎の工場ではなく、横浜のBankART1929で石黒(景太:1-Drink)さんと阿部(周平)さんをDJに呼んだ時かな。それ以外にも井上薫さんを呼んだり、Universal Indiann、CMT空手(Latin Quarter)もやってるし、仲いい人はひととおり出てました。その後、2年間お休みしていたんですけど、去年のゴールデンウィークにやった時は大爆発して、お客さんが600人くらい来てくれましたね。

— そして、パーティといえば、2010年に新宿のカフェバー、phonic:hoopの地下にサウンドシステムを持ち込んで、元ザマギ、現COS/MESの5iveと主催していたパーティ「Snaker」は今年同名のレーベルに発展しましたよね。

Chari Chari『Snaker 002』 COS/MESに続くレーベル「Snaker」第二弾リリースは、井上薫のChari Chari名義でのロスト・トラック郡。アナログのみで限定リリースされ、各所で即完売を記録。アートワークは他社比社所属のグラフィティ・アーティスト、MUSTONEによる描きおろし。

Chari Chari『Snaker 002』
COS/MESに続くレーベル「Snaker」第二弾リリースは、井上薫のChari Chari名義でのロスト・トラック郡。アナログのみで限定リリースされ、各所で即完売を記録。アートワークは他社比社所属のグラフィティ・アーティスト、MUSTONEによる描きおろし。

K404:5iveから聞かされた「おもしろい場所があるからパーティやりたいんだよね」って話から始まって、MOODMANにDR.NISHIMURAさん、瀧見(憲司)さん、川辺(ヒロシ)さん、石黒さんに出てもらって。あのパーティもお金をかけないっていうのがテーマだったし、そう考えると、D.I.Y.な発想というのは常に自分の頭のなかにありますね。まぁ、レーベルの方もありがたいことにMUSTONEが毎回原寸大のアートワークを書き下ろすライブラリー・レーベルというコンセプトをみんなおもしろがってくれてて、第1弾のCOS/MESに続いて、第2弾に井上薫さんがChari Chari名義の最高なロスト・トラックを提供してくれましたし、今後も色んな人をリリースしていく予定です。

— 最後に今回作ってもらったDJミックスについて一言お願いします。

K404:5月4日にDK SOUNDを控えていることもあって、テーマは「私をレイヴに連れてって」です(笑)。今回はレイヴの話ばかりしてますけど、実際、みんな、レイヴが好きなはずだし、レイヴって言葉も格好いいじゃないですか。だから、今回は格好いいレイヴのイメージを形にしてみようと思ったんです。
あと、DK SOUNDということでいえば、人のいない早い時間帯からワーッと盛り上がっていく流れを1時間にまとめました。DK SOUNDに来る来ないは置いといて(笑)、この音源を聴いて、ゴールデンウィークにいい感じでアガってもらえたらうれしいですね。

DK SOUND
http://dksound.jp/

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新しいファッション&カルチャーメディアです。