世はインターネット時代。次から次へと新しい言葉が生まれ、そして消えていく、なんとも忙しい時代ですが、そんな時代の荒波を華麗に乗りこなすべく、”先月海外で流行った言葉(=バズワード)“を海外の様々なカルチャーに深く精通するAkeem the Dream氏に解説してもらうのが、この新連載『先月のバズワード』。
気になる第1回(2016年2月のバズワード)でお勉強するのは「#blackexcellence」であります。
■先月のバズワード 第1回「#blackexcellence」
毎年2月は、「Black History Month」としてアフリカ系アメリカ人の偉業や歴史を、アメリカ全体がテレビ番組や行事などを通して回想する。Rosa Parks、Martin Luther King、Malcom X、Huey Newton、Fredrick Douglasなど、公民権運動に貢献した人々の功績や歴史が改めて讃えられるのである。
そしてもう1つ、そんな2月に行われる有名な行事がある。
それがアメリカンフットボールのナショナルリーグ、NFLのチャンピオンを決める『Super Bowl』だ。アメリカで最も高い視聴率を誇るこのアメリカ最大のスポーツイベントのハーフタイムショーは1993年にマイケル・ジャクソンが出演して以降、毎回有名歌手によるミニコンサートが行われていて、それ自体がとても権威のある舞台となっている。
また、その前後に放映されるCM枠の価格は、世界で最も高価なCM枠であり、大手企業が惜しみなく大金をつぎ込んだ入魂のCMを見ることが出来る。
https://www.youtube.com/watch?v=L_Hgh7sPDLM
少し余談を挟んだが、今年のハーフタイムでショーを行ったのはBruno Mars、Coldplay、そして我らがクィーンBeyonceだ。彼女は『Super Bowl』の前夜に突如としてリリースしたアフロカルチャーの賛歌で近年顕著に見られる警察による黒人への虐待と過剰な暴力に対するプロテスト・ソング”Formation”をヒットメドレーのセットのど頭に忍ばせていた。
彼女は今回の『Super Bowl』が開催された地元サンフランシスコ郊外で産声を上げた政治組織、Black Pantherにオマージュを送った黒いレザーのナポレオンジャケットに身を包み、パンサー達のトレードマークの黒いベレー帽と黒いサングラスをかけたダンサー達とマーチングバンドを引き連れて登場し、人気プロデューサーMike Will Made Itによるベース・ブンブンのトラップ・トラック”Formation”を披露した。まさしく、「してやったり」だ。
全米がこのテレビ中継を見ることを知った上で、今現在起こっている不平等な社会問題を批判し、黒人達に自分たちの誇りとエクセレンス=素晴らしさ(#blackexcellence)を取り戻すように訴えかけたのである。
かつてJames Brownが”Say It Loud, I’m Black and I’m Proud”で黒人達に勇気を与え、その曲自体が公民権運動を支えるテーマソングとなったように。
そして、Spike Leeの無冠の名作『Do the Right Thing』のテーマソング、Public Enemyの”Fight the Power”が権力や抑圧に対するアンサーであったように。
Beyonceは現代の人々に語りかけているのだ。白人黒人という肌の色を超越し、スターダムへとのし上がった彼女の与える影響は大きい。Beyonce、あなたこそがBlack Excellenceを体現している。
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