カンパニー松尾の「華麗なるおっぱい」 鈴木真夕編

by Keita Miki

スニーカーや古着と同じく、男ってやつはとにかく「おっぱい」に弱い。では、そんな僕らが夜な夜なお世話になっている"華麗なるおっぱい"は、一体どのように世に生れ落ち、どのような経緯を辿って我々の目の前に現れることとなったのか。もちろん、それが作中で語られている大人のビデオだって、たくさんあるにはあるのだが、そんなものは大抵早送りして、見もしないってのが男の性である。
けれども、そこには様々な価値観や考え、そして人生とストーリーが詰まっている。我らがハメ撮り隊長ことカンパニー松尾による人気連載『カンパニー松尾の「華麗なるおっぱい」』は、毎回、1人のAV女優にフィーチャーし、文字通りその”華麗なるおっぱい”の真相に迫っていくという、時に楽しく、時にちょっぴり切ないインタビュー企画(巻末にはカンパニー松尾による最近お気に入りの”カレー”を紹介するオマケ付き!)。
第9回のゲストとして登場してくれるのは、鈴木真夕。
※過去の 「華麗なるおっぱい」はこちらから。
※カンパニー松尾 × MasteredのコラボレーションTシャツはこちらからチェック。

Photo:HMJM | Interview:Company Matsuo | Text&Edit:Keita Miki | Starring:Mayu Suzuki

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私は未だに自分がAV女優って自覚が無くて、ほぼ一般人だと思って生きてるんですけど、ファンの方たちが私をAV女優として支持してくれる限りは、私はAV女優でいられるので。(鈴木真夕)

松尾:最近、撮影はどう?

鈴木:そんなに多くも無く、少なくも無く。もともと自分から「仕事入れて!」とも「休みたい!」とも言うことは無いので、来た仕事を請けるっていうスタンスですね。

松尾:歳はいくつだっけ?

鈴木:一応、非公開ってことにしてまして(笑)。なので、ご想像にお任せします。

松尾:あ、そうか(笑)。ご出身はどちらですか?

鈴木:東京です。でも、プロフィール上は千葉ってことになってます。最初にイメージビデオに出たときに、あまりやる気が無かったんで、マネージャーさんが勝手にプロフィールを決めたんですよね。それが未だに使われていて。もう10年以上前の話なんですけど。一応、身バレしないようにってことで千葉にしてくれたみたい。けど、普通に東京出身です(笑)。

松尾:まぁ、AV業界では良くある話ですよね。

鈴木:もう10年経ったから、時効かなって思いまして(笑)。

松尾:はい、そう思います。小さい頃はどんな子供だったんですか?

鈴木:大人しい子だったと思います。母親がすごく厳しい人だったので、駄々もこねない感じで。

松尾:今の鈴木さんのイメージとは随分違いますね。

鈴木:昔はトロかったし、大人しかったんです(笑)。シンプルに欲が無かったのかもしれません。クリスマスに「サンタさんに何をお願いする?」って聞かれても、全く決められなかったりとか。結局、全然欲しくないものをもらって、自分でも「なにこれ?」みたいな。欲しいものも、欲も無かったですね。

松尾:兄弟はいますか?

鈴木:姉が1人。

松尾:お姉ちゃんの方が活発だったのかな?

鈴木:当時はそうでしたね。

松尾:幼い頃って、兄弟がやったことを必然的にやるようになるもんね。

鈴木:そうそう。お姉ちゃんがカルボナーラを頼んだら、私もカルボナーラ。

松尾:自分の意思があまり無かったのかな。

鈴木:姉がやっていることが格好良いと思ってましたね。大人に見えたというか。

松尾:自我が芽生え始めたのは、いつ頃から?

鈴木:小学校6年生くらいからじゃないですかね。テレビのバラエティ番組とかを観るようになって。

松尾:え、それまではテレビ禁止だったんですか?

鈴木:禁止でしたね。お姉ちゃんが観てたら一緒に観られるけど、私だけでは観ちゃダメで。

松尾:あ……チャンネル権は存在せず。

鈴木:全く。0です。

松尾:辛くなかった?

鈴木:全然。それが普通だったので。

松尾:じゃあ、家では何して遊んでたの?

鈴木:漫画を読んでました。

松尾:漫画はOKなんだね(笑)。

鈴木:家にある漫画は。というか、家にあるものだったら漫画に限らず、全てOKでした。自分で買う権利は無かったですけど(笑)。

松尾:普通は妹の方が可愛がられるのにね。

鈴木:我が家は、全てにおいてお姉ちゃんファーストでしたよ。なので、読んでた漫画とかも世代が微妙にズレてるものばっかりで。

松尾:ちょっと渋目のね。

鈴木:そうなんですよ、すごい渋い趣味の人みたいになっちゃって(笑)。

松尾:運動は何かやってたの?

鈴木:やってなかったですね。身体が弱かったので木登りも禁止だったし、そもそも放課後に友達と遊ぶことが禁止でした。喘息持ちだったし、アレルギーも沢山あって。

松尾:じゃあ、小さいときは本当に小動物みたいだったんだね。

鈴木:ちょっと運動しようものなら転ぶって感じで。運動神経も悪くて、公園とかも禁止でしたね。

松尾:禁止事項が多かったんだ。

鈴木:そうですね。実家の庭に親戚が集まった時、みんなで木登りをしたんですけど、私だけ禁止だったり。

松尾:僕は前々から薄々勘付いていたんだけど、鈴木さんの実家ってさ、すごく大きい家だよね(笑)? 23区内で、庭に登れるような木がある家って。

鈴木:いやいや。

松尾:お嬢様ですよね?

鈴木:子供の頃から、親に「うちは貧乏だ」って聞かされて育ったんですけどね。

松尾:その嘘にはいつ頃、気が付いたんですか?

鈴木:大人になってからですよ。高校生の頃とかは、まだ気付いてなかったです。

松尾:そのうちに「あれ、実は貧乏じゃないんじゃね?」ってね(笑)。

鈴木:貧乏トークで言うと1つ面白い話があって。小学生の時、一輪車に乗ってたら、年上の子に急に後ろから蹴飛ばされたことがあったんです。その子は同じピアノ教室に通ってたので、そのことをピアノ教室の先生に話したら「あの子はピアノを買ってもらえなくて、家ではおもちゃのピアノで練習してるの。だから許してあげて」って言われて。だけど、貧乏なはずの我が家にはグランドピアノが2台あったんですよ。だから、子供の私は「うちは貧乏だけどピアノ2台あるし。普通にピアノ買えば良くない?」って全然納得がいかなくて(笑)。今思うと、すごく申し訳ない話なんですけど。

松尾:まぁ、実際は貧乏じゃなかった訳だからね。

鈴木:大人になるまでは、本当に全然気付きませんでしたよ。

松尾:それは鈴木さんがちょっと鈍感なんだよ。で、中学生になってからはどんな感じだったんですか?

鈴木:うーん、スポーツをしたいとも思わなかったし、勉強もまぁまぁって感じ。

松尾:将来の夢って何かあったの?

鈴木:それがずっと無くて。まぁ、今も無いんですけど。母が看護師なので、私も自然と看護師になるのかなって漠然と思ってましたかね。あとは子供の頃、おばあちゃんに良くお裁縫を教わっていて、おばあちゃんは私のことを洋服のデザイナーになるんじゃないかって思ってたみたいです。結果的には全く違いましたけど(笑)。あ、少し話がそれましたけど、中学に入ってからは、簡潔に言うと、非行に走るって感じでした(笑)。

松尾:大人しい子供だったのにね。一体何があったんでしょうか?

鈴木:私立の女子高に通っていたんですが、それも親に決められたというか、私に選択権は無くて。言われたとおりに受験をして、たまたま受かったから通ってたんです。

松尾:学校ではいじめとかもあったりしたの?

鈴木:ありましたよ。あの時代って全員にいじめが回ってくるというか、全員がいじめる側にも、いじめられる側にもなるんですよね。私には2、3回回ってきたんですけど、その時に「こんな狭いところにいて悩むのもなんかな」って思えてきて、「だったら学校なんて行かない方が良くない?」って。早く家を出たいなって思っていたし、そこから非行に走ったというか、親の言う事を聞かなくなりました。

松尾:けど、親御さんは厳しいって行ってたから「学校に行かない」なんて言ったら引きずり回されるんじゃない?

鈴木:とにかく布団から出なかったんです(笑)。お母さんも仕事があるから、最初は厳しく言ってきたんですけど、途中で突然諦めて。いじめのこととかを話したからかもしれないですけど。

松尾:学校休んで、家で何してたの?

鈴木:主にテレビを観てましたね。家にはいるけど、遊びに行くようなお金も無かったし。学校に行ったらお金をもらえるって感じだったんですよ、我が家は。交通費とか、友達と遊ぶお金とか。

松尾:なるほど。じゃあ、家にいると収入は0なんだ。どれくらいまでその生活が続いたの?

鈴木:中2から中3くらいまで。まぁ、半年ぐらいですね。そこから転校したんですけど、転校しても相変わらず学校には行かなくて。当時は、なんで学校に行かなきゃいけないのか分からなかったし、その理由を具体的に説明してくれる人も周りにいなかったので。

松尾:あまりお父さんが話に出てこないですが、お父さんはどんな感じだったんでしょう?

鈴木:あまり家に帰って来ないタイプの人だったんですけど、仲は良かったですよ。休みの日はずっと一緒にいたし。

松尾:教育的なことには関与してこなかったんですね。

鈴木:姉のことには関与してましたけど、私に関しては全く。でも、父にはとても可愛がられていましたよ。今でも父とは連絡を取りますし。

松尾:高校には進学したの?

鈴木:一応しましたけど、まともに行く気は無かったですね。渋谷が高校の定期圏内で、とりあえず毎日渋谷で遊んでました。

松尾:学校に行かずに渋谷に行く。ギャルですね。

鈴木:学校には一瞬寄って、授業は受けずにそのまま渋谷。

松尾:渋谷に遊びに行くようになったきっかけは?

鈴木:友達に誘われたからですよ。

松尾:それは地元とか高校の友達ってこと?

鈴木:いや、インターネットで知り合った友達です。

松尾:引きこもっている中学時代にインターネットに目覚めたんですね。

鈴木:そうそう。当時はSNSとか無くて、掲示板でしたけど……ってヤバイ。年齢がバレますね(笑)。

松尾:ネット上で出来たお友達は、どういう種類の友達だったの?

鈴木:共通の趣味を持った子が多かったですね。

松尾:そういえば鈴木さんの家は、チェーン店でご飯を食べちゃダメだったんですよね? ちゃんとしたレストランならOKで。

鈴木:家族ではホテルのバイキングしか行ったこと無かったですね。だから、ファミレスとか1度も行ったことが無くて、最初は全然何のことか分からなかった。

松尾:ファーストフードもNG?

鈴木:マックとモスは大丈夫でした。近所にあったので。でも、チーズバーガーを食べさせてもらえなかったんです。

松尾:どういうことですか?

鈴木:「チーズバーガー食べたい」っていうと「ハンバーガーにしなさい。チーズは後で挟んであげるから」って。結局、1回もチーズを挟んでもらったことは無いんですけど(笑)。だから、今はマックに行ったら、毎回チーズバーガーを頼んでます。