2019年LAクラフトビールの旅 後編

by Yu Onoda and Keita Miki

日本でも注目度が高まり続けているクラフトビールの世界。作り手であるブルワリーが日夜生み出す新たなテイストはもちろん、コンセプトや商品デザイン、マーチャンダイズやブルワリー併設の試飲が出来るタップルームの内装に至るまで、こだわりは徹底しており、その個性は多種多様にして、ファッションやアート、音楽との親和性も高く、一度ハマると素晴らしい世界が果てしなく広がる。
そんな飽くなきクラフトビール・フリークの要望に応えるべく、今年3月に東京は都立大学駅にオープンしたセレクトショップ、The Slop Shopのスタッフがクラフトビールの最前線、西海岸ロサンゼルスで視察、買い付けを敢行。その酩酊クレイジージャーニーの最新レポートである本特集は前編のLAインナーシティ編から『Coachella Festival』にも出店する噂のブルワリーも登場する後半のLA郊外編へ。不時着した砂漠で水を求めて彷徨う気分でお楽しみください。

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— 都立大に今年3月にオープンしたクラフトビールショップ、The Slop Shopのお二人に、近年、ルネッサンス期を迎えたと評されているLAのクラフトビールシーンをご紹介していただきたく、前回のインナーシティ編から今回は郊外編へ。素朴な疑問として、長らく、LAはクラフトビール不毛の地とされていたじゃないですか。その潮目が変わって、クラフトビールのシーンが根付き始めたのはいつ頃なんでしょうか?

村越:今回、ご紹介するLAシーンのパイオニア、Eagle Rock Brewingがスタートした2009年がターニングポイントと言われています。それ以前のLAではこれといったマイクロ・ブルワリーが長らく存在しない状態が続いていたんですけど、Eagle Rock Brewingのオーナーが90年代から趣味の自家醸造を少しずつ規模を大きくしていきながら、投資家を集め、市の製造認可を取って、ブルワリーを立ち上げたことが起爆剤になって、新興ブルワリーが増えていったということらしいです。

— 2009年というと、2008年のリーマンショック以降、投資マネーがクラフトビール業界へ向かった時期とも重なるのかな、と。ちなみに、郊外のブルワリーの特徴って、どんな感じなんでしょうか?

大曽根:インナーシティのブルワリーは、アメリカのスケールで考えると、土地が狭いので、まず、製造設備がコンパクトなんですね。そのうえでタップルームの内装や商品デザイン、マーチャンダイズはストリート系のヒップスター色が抑制、洗練された形で打ち出されていたり、設備は小規模ながら、作ってるビールは多種多様な需要に応える形で幅広いラインナップだったりするんです。それに対して、郊外のブルワリーはお洒落さのテイストが変わってくるというか、お洒落はお洒落なんですけど、もうちょっと大人な雰囲気というか、高級感があって、どっしりしてるという印象を受けました。